【朝日杯FS】Cアナライズからはドルチェモアを推奨! 前走着順や人気など複数の好走データに合致

貴シンジ

朝日杯FS過去8年の前走着順別成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の阪神JFでは推奨したリバティアイランドが1番人気1着。完成度が高く中団前目のポジションから横綱競馬で押し切った。ペースも流れていただけに正真正銘の2歳女王と言って差し支えないだろう。来年の桜花賞が早くも楽しみだ。

さて、今回は12月18日(日)阪神競馬場で行われる朝日杯FSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった19頭を検討対象とし、阪神開催に変わってからの過去8年データを採用する。

好走&消しデータ

勝ち馬は前走も1着

前走着順別成績,ⒸSPAIA


最初は前走着順別のデータから見ていく。朝日杯FSでは前走1着馬が非常に強く【8-5-6-50】。阪神に変わってからの8年間は全てこのデータに当てはまった馬が勝利している。2着以下は【0-3-2-56】と2着馬までしか出せていない上に複勝率も低い。2着以下から臨戦の馬を買い目に入れる際は慎重な判断が必要だろう。

今回中心視されるダノンタッチダウンも前走デイリー杯2歳S2着からの臨戦のため、1着馬が出ていないゾーンに当てはまる。また前走が芝重賞以外で2着以下だった馬は【0-0-0-17】で複勝率0%となっている。

【前走が芝重賞以外で2着以下の出走予定馬】
・キョウエイブリッサ
・スズカダブル
・ティニア
・ミシェラドラータ
・ロードラディウス

前走2番人気以内に支持された馬の好走が目立つ

前走人気別成績,ⒸSPAIA


続いては前走人気別データを見る。2歳王者決定戦ということもあり、前走人気も重要なファクターの一つだ。前走1番人気【5-3-5-20】、2番人気【3-1-1-21】で勝ち馬は全て2番人気以内。3番人気以下だった馬は【0-4-2-65】となっていて2着までが精一杯だ。

なお前走GⅡで1番人気かつ1着だった馬は【1-2-2-0】と複勝率100%の激熱データだが、今年は該当馬がいない。デイリー杯2歳S勝ちオールパルフェは前走3番人気、京王杯2歳S勝ちオオバンブルマイは前走10番人気といずれも3番人気以下からの臨戦のため、逆風となるデータだ。

【前走2番人気以内の出走予定馬】
・ダノンタッチダウン
・ティニア
・ドルチェモア
・ドンデンガエシ
・レイベリング

Sadler's Wells、Fairy Kingの血を持つ馬の好走が目立つ

Sadler's Wells、Fairy King内包馬,ⒸSPAIA


血統面からはSadler's Wells、Fairy Kingの全兄弟の血を持つ馬に注目したい。欧州競馬の主流血統であるSadler's Wellsが2歳マイルGⅠで好成績というのは意外かもしれない。ただ2歳馬が阪神の急坂をこなし、GⅠの舞台で好走するには前述2頭のようなタフさと底力に優れた血を持っていることも重要な要素だと考えられる。

【Sadler's Wells、Fairy King内包の出走予定馬】
・ティニア
・ニシノベストワン
・フロムダスク
・レイベリング
・ロードラディウス

前走不利データ:サウジアラビアRCのドルチェモア

サウジアラビアRC 前走脚質別成績(過去7年),ⒸSPAIA


データから絞り込みを行い1着候補として残ったのはドルチェモア、ドンデンガエシ、レイベリングの3頭。この中で強い前走不利データを持っているのドルチェモア。同馬の前走はサウジアラビアRC1着。サウジアラビアRCが東京競馬場で重賞となってからの7回では、前走で逃げた馬の成績は【0-0-0-6】と馬券絡みは一度もなかった。

ドルチェモアの新馬戦は鮮やかな逃げ切り勝ちで、このデータに当てはまっていた。しかし、見事にサウジアラビアRCを勝利して見せた。2番手追走から上がり最速で抜け出しているだけに、前走のメンバーでは能力上位は明らか。勝ち時計1分33秒4は東京競馬場の2歳芝1600m戦では歴代3位の好タイム。直線のスピード性能は高く、GⅠの舞台でも通用する可能性は高い。

血統解説:ドルチェモア、レイベリング

・ドルチェモア
日本での牝祖は祖母バイザキャット。同馬は競走馬としては目立った実績を残すことはできなかったが、繁殖としては優秀。本馬の母で13年桜花賞馬のアユサン(父ディープインパクト)と17年阪神JF3着のマウレア(父ディープインパクト)を輩出した。祖母以前はアメリカで繋がってきたファミリーだが、活躍馬を多く輩出していたわけではない。

潮目が変わったのは3代母Buy the FirmがトップフライトH(GⅠ・ダート1800m)を勝利してから。Buy the Firmは父がAffirmedでパワーと成長力があるタイプだったが、芝向きの産駒も出す種牡馬だったことからも、芝適性が全くない一族ではない。そこからStorm Cat→ディープインパクトとつけることで、早熟性とスピードを兼ね備えた母アユサンや叔母マウレアが出て一族に勢いが出た。

本馬は父がルーラーシップで父と母の良いところが存分に出ている印象、パワーもありスピード性能も高い。先行力があり自分でレースが作れる堅実なタイプと言えるだろう。注目血統に挙げたSadler's Wells、Fairy Kingは持っていないが、2頭と同一の牝系で血統構成が近いNureyevを内包している。パワーもあるファミリーだけに阪神コースへの不安も少ない。

・レイベリング
本馬は英国産馬でファミリーは祖母Bellaridaを根幹として繁栄している。仏1000ギニー(GⅠ・芝1600m)勝ちのTeppal、ロートシルト賞(GⅠ・芝1600m)勝ちのWith Youなど多くのGⅠ勝ち馬が名を連ねる活力ある一族だ。本馬は愛メイトロンS(GⅠ・芝1600m)2着のLily's Angel(父Dark Angel)の半弟という血統で、この一族らしい質の高い末脚を初戦から披露した。

父はFrankelで注目血統のSadler's Wellsを持っている点は好材料。とはいえ仕上がりの早い配合ではない点は注意が必要だ。初戦も末脚こそ一級品だったが勝ち時計は平凡なため、ここで好走するためにはパフォーマンスを数段上げる必要がある。加えて輸送や右回りなど未知の部分も多い。軸にするのは難しいが買い目には入れておきたい惑星候補だ。

血統的な裏付けがあり堅実なドルチェモアを推奨

今回のコンプレックスアナライズではドルチェモアを推奨馬とする。

前走のサウジアラビアRCはグラニットが1頭飛ばして逃げたためレース自体の流れは速かったが、馬群全体はスローペースの流れ。そんな中でドルチェモアは自ら動いてグラニットを捉え、後続を引き離したわけだから評価は高い。時計も十分評価できるもので、GⅠの舞台でも信頼できるパフォーマンスだった。また前述でも解説したように血統的な裏付けもある。先行力もあるタイプだけに大崩れは考えにくい。

また、末脚を長く使えるドンデンガエシ、素質を感じさせるレイベリングも買い目には入れておきたい。前走1着データには当てはまらなかったが、実力上位のダノンタッチダウンも抑えが必要になるだろう。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。

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