【天皇賞(春)】ドゥレッツァが最強ステイヤーの座へ 直近9年の勝ち馬は菊花賞で好走歴あり
門田光生
ⒸSPAIA
前走着順が直結する傾向
2024年4月28日に京都競馬場で行われる第169回天皇賞(春)。ステイヤーにとって最大の目標といえるこのレースは、直近15年で13回が17頭立て以上で行われている。出走頭数が12頭前後だった2000年付近のことを思うと、よく盛り返してきたと思う。また、同じ3000m級の重賞、阪神大賞典も出走頭数が10頭前後だった暗黒時代から脱却しつつある。
長距離戦は序盤がスローになるケースが多く、退屈に思う人がいるのも分かるが、場内を沸かせる大逃げ、そして大マクリが起こるのも長距離戦の醍醐味。はたして天皇賞(春)にはどのような傾向があるのか。今回はGⅠということで、過去15年の成績を基にして検証していきたい。
☆所属
美浦所属馬が7勝(10連対)、栗東所属馬が8勝(20連対)。勝率、連対率、複勝率とも美浦所属馬が上回っている。地方馬、外国馬の連対はなく最高着順は2013年レッドカドー(英国)の3着。近5年も同様の傾向、勝ち馬も美浦所属馬が3勝と多く出ている。
☆性別
性別では、連対馬30頭すべてが牡馬、セン馬。牝馬は13頭しか出走しておらず、2021年カレンブーケドールの3着が最高着順となっている。
☆年齢
勝ち馬が出ているのは4~6歳の3世代。4、5歳馬が勝ち馬を6頭ずつ出しており、勝率もこの2世代が上位。連対率と複勝率だと4~6歳でほぼ差はない。7歳以上は2着馬が2頭いるだけで、近5年で連対した馬はいない。
☆前走クラスと主な前走
連対した30頭は、すべて前走で重賞を走っていた。そのうち、26頭がGⅡクラス。日経賞と阪神大賞典がそれぞれ9頭の連対馬を出しているが、出走頭数も多く勝率、連対率ともに目立った数字ではない。
好走率が高いのは大阪杯。GⅡ時代を含め出走頭数が少ない割に馬券に絡む率が高い。逆に、前哨戦で結果が芳しくないのはダイヤモンドS。22頭が出走しているが、連対したのは2015年フェイムゲーム(2着)しかいない。なお、前走が条件戦、もしくはオープン組からは連対馬は出ていない。
☆前走着順
前走1着馬が7勝(15連対)、同2着馬が4勝(5連対)。前走2着以内の好走パターンが目立っている。一方、前走が6着以下だと勝利1.3%、連対率3.8%と結果が出ていない。
☆その他
その他で気になったデータを挙げていく。まずは前走人気。前走1番人気だった馬が他に比べて好走率が高くなっている。続いて前走距離。前走が2400mだった馬から勝ち馬が出ておらず、2着馬も2019年のグローリーヴェイズだけ。最後にローテーション。前走から中2週以内は連対馬が出ていない。
菊花賞好走馬に注目
天皇賞(春)のデータをまとめてみよう。
【好走率アップ】
A「美浦所属馬」
B「前走大阪杯」
C「前走2着以内」
D「前走1番人気」
【好走率ダウン】
E「前走6着以下」
【勝ち馬なし】
F「7歳以上」
G「前走ダイヤモンドS」
H「前走2400m」
【連対馬なし】
I「牝馬」
J「前走OPクラス以下」
K「中2週以内」
まず、「連対馬なし」に該当する馬を除外。残った馬でプラスデータを多く持つのは、ドゥレッツァ(A・C・D)とタスティエーラ(A・B・D)の2頭。今回、好走率が高い大阪杯組は、タスティエーラだけ。ただ、同馬は「好走率ダウン」のE「前走6着以下」にも当てはまっている。同項目を近5年で調べてみると【0-0-0-22】となり、1頭も馬券に絡んでいない。
対して、ドゥレッツァはマイナスデータに一つも引っかかっていない。また、2015年以降の勝ち馬を調べると、15年ゴールドシップ(菊花賞1着)、16、17年キタサンブラック(菊花賞1着)、18年レインボーライン(菊花賞2着)、19、20年フィエールマン(菊花賞1着)、21年ワールドプレミア(菊花賞1着)、22年タイトルホルダー(菊花賞1着)、そして23年ジャスティンパレス(菊花賞3着)。いずれも菊花賞で好走した馬である。昨年菊花賞1、2着のドゥレッツァ、タスティエーラの本命、対抗で異存はないだろう。
3番手以下だが、チャックネイト(6歳)とワープスピード(5歳)は、ともにA・Cのプラスデータを2つ、マイナスデータなし。5歳世代の方が6歳世代より好走率が高いので、ワープスピードを上に取る。最後の1頭はサヴォーナ。菊花賞好走馬が活躍していると書いたが、ゴールドシップ以外はすべて4歳か5歳馬だった。4、5歳馬、かつ菊花賞に出走したのは、ドゥレッツァ、タスティエーラ以外だとサヴォーナだけ。菊花賞の成績は5着と上述の先輩たちには少し劣るが、マイナスデータもE「前走6着以下」だけなので穴候補として押さえておきたい。
◎ドゥレッツァ
◯タスティエーラ
▲ワープスピード
△チャックネイト
×サヴォーナ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年のゴールデンウィークは、いつもに増してハードスケジュール。当週に園田競馬場へやってくるという、グルメキッチンカーだけを楽しみにして、黙々と仕事をしています。
《関連記事》
・【天皇賞(春)】重賞連勝中テーオーロイヤルの勢いを重視 データは勝率28.6%の大阪杯組が優勢
・【天皇賞(春)】「前走で阪神大賞典勝ち」は複勝率77.8% テーオーロイヤル最有力もドゥレッツァの成長力にも注目
・【天皇賞(春)】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事