【2歳馬ジャッジ】ミッキーカプチーノが葉牡丹賞を好指数で圧勝 指数上はファントムシーフと両横綱の形に

山崎エリカ

12月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

12月1週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は葉牡丹賞を好指数、好内容で勝利したミッキーカプチーノ、阪神ダートの新馬戦を好タイム勝ちしたフルングニルなどが出た、12月3、4日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

12月3日(土) 中山9R 優勝馬 ミッキーカプチーノ 指数-15 評価AA
10月9日の東京新馬戦はラスト2Fを11秒3-11秒3で勝利し、なかなかの好指数、高評価となったミッキーカプチーノ。レースが終わった時点でもラスト2Fの優秀さから高評価できる馬だった。本馬の評価をさらにあげたのは、新馬戦で倒した馬たちが次走の未勝利戦で驚きの走りを見せたからだ。

3着だったグリューネグリーンが10月29日の東京未勝利戦を1クラス上の高指数で快勝、翌日10月30日の東京未勝利戦では4着馬ニシノプロポーズが1クラス上に準ずる好指数で勝利。同馬は新馬戦で本馬に6馬身半も離されての4着だった。この時点で上位2頭のミッキーカプチーノ、フリームファクシは相当な馬だと推測するのは容易だった。

フリームファクシは11月6日の阪神未勝利戦を1クラス上にあたる好指数で楽勝。ミッキーカプチーノが勝利した新馬戦の内容は、フリームファクシの方が上ではないかと見ていただけに、期待していたほどの指数ではなかった。しかし、4角で外に出したところで、前の馬が突然躓くアクシデントに巻き込まれる致命的な不利があったことを考えれば、評価を下げる必要はない。

京都2歳Sではグリューネグリーンが重賞勝ち。そして今回ついにミッキーカプチーノが出走。勝利するのは当然としてどのくらいの指数を記録するのか、レース前から期待が高かった。

レースは新潟未勝利戦を好指数勝ちしたパクスオトマニカが逃げる展開。ペースを落とせていれば2着候補の筆頭と見ていただけに、直線の最後で急失速したことはこのレースが緩みない厳しいペースだったことを裏付ける。緩みないペースになればレースは能力勝負、多少の出遅れがあったミッキーカプチーノにとっては好都合で、最後は悠々と突き抜けた。

記録した指数は現2歳世代牡馬では野路菊Sを勝利したファントムシーフに次ぐナンバー2にあたり、やはり強かった。今回の一戦は緩みないタフな競馬でミッキーカプチーノには多少疲労が残る可能性もあるが、万全なら現2歳世代牡馬の筆頭クラスの一頭として今後も活躍してくれるだろう。

12月4日(日) 中山3R 優勝馬 マイネルモーント 指数-6 評価A
新馬戦では直線で鋭く伸びて2着、次走未勝利戦では出遅れから外々を回らされるロスの大きい競馬で2着だったマイネルモーント。今回はデビュー3戦目、他の出走馬を見ると成績の悪い馬が多く、指数上は断然優位なメンバー構成だった。16頭立てながら単勝オッズ1.4倍に支持され、どのように勝つかが注目された。

スタートはこれまでよりも良く、13番枠だったが好位直後の外を追走。3~4角から位置を押し上げ、4角では先頭列に並びかけて最後の直線では早々と先頭。あとは他馬を突き放して3馬身半差でゴール。指数もなかなか良く、強かった。今回は随分とレース内容が良化しており、着実に力をつけている。地味なタイプではあるが、まだまだ伸びそうな予感。流れが厳しくなる重賞などで穴を開けそうな予感がある。

12月3日(土) 阪神1R 優勝馬 ユティタム 指数-11(ダート) 評価A
2着だった新馬戦は勝ち馬ペリエールが古馬2勝クラスレベルに準ずる指数を記録し勝利。同馬は次走オキザリス賞を勝利したことからも、ユティタムは未勝利クラスでは力が違いすぎた。単勝オッズ1.1倍の圧倒的な人気に支持されるのも当然だった。

1番枠でスタートの出遅れだけが不安材料だったが、スタートを五分に決めた。やや行きたがり鞍上が折り合いに苦労していたが、逃げ馬の外2番手でレースの流れに乗った。あとはどう勝つかだけで、3~4角で早々に先頭に立ち、そのまま8馬身差で圧勝した。

今回で記録した指数は古馬1勝クラス勝ちレベル。期待されたほどの指数ではなかったが、今回は夏以来のレースで折り合いを欠くロスもあっただけに、力を出し切ってのものではないはず。ここからの上昇に期待したい。

12月3日(土) 阪神5R 優勝馬 フルングニル 指数-13(ダート) 評価A
大外12番枠から五分のスタート。そこから行きっぷりよく進んでいき、他馬よりもひと回り大きな馬体、フットワークが目立った。道中は内から逃げたインテンソと並んで追走、その隊列のまま最後の直線に入ると、後ろから2着のブリリオが懸命に迫ってきたが、最後までフルングニルの脚は衰えず快勝した。

走破タイムは同日1レースのユティタムが好指数勝ちしたレースよりも速い。テンの入りがこちらのレースの方が速かった点を考慮しても優秀なタイムだ。ラスト2Fは12秒6-12秒7とほぼ減速していない。走破タイムが速く、ラストまでしっかり走れており、当然のことながら指数は高くなった。今後の活躍がかなり期待できると言える。またこのレースの2着馬ブリリオも並の新馬戦なら勝利濃厚の指数で走っていた。

12月4日(日) 阪神5R 優勝馬 トンジンチ 指数-5 評価B
5番枠から好スタート、好ダッシュを決めて逃げたトンジンチ。このレースは芝1800mだが、芝1200mだったかと思わせるほどのスピードを見せた。いったんは後続を引き離したが、そこからはしっかりとコントロールしてマイペースの逃げ。3~4角では後続にやや差を詰められたが、まだ手応えには余裕があった。最後の直線を向くと、後続が失速していく中、悠々と逃げ切った。

前日よりも時計の掛かる阪神芝で今回の走破タイムはなかなか優秀。新馬戦としてもなかなか良い指数となったが、ラスト2Fは11秒2-11秒9と余裕がなかったのは減点材料。昇級後、即通用かは微妙だが、良いスピードとスタミナをバランスよく持っていそうな馬だけに、いずれ台頭してきそうだ。

12月4日(日) 阪神6R 優勝馬 インヒズアイズ 指数-12(ダート) 評価B
1番枠から好スタートを決め逃げる形となったインヒズアイズ。速いペースを刻んでの逃げとなったが、後ろの3頭も同馬から離れずに追走し、それ以降の馬たちが離される展開となった。緩みないペースを刻みながら、先行集団はそのまま直線に。

弱い馬から脱落していく消耗戦を最後まで粘り通したインヒズアイズが逃げ切り勝ち。新馬ながら古馬1勝クラス勝ちレベルの優秀な指数を記録した。2着バトゥーキも並の新馬戦なら勝てるだけの指数を記録し、上位2頭は優秀な指数を記録。ただ今回はラスト2Fが12秒3-13秒1と失速しているように、目いっぱいの走りを強いられた一戦。よって次走は全幅の信頼がおけるかは微妙も、能力の高さは確か。いずれ上昇していくだろう。

12月4日(日) 阪神9R 優勝馬 ミルトクレイモー 指数-13 評価A
新馬戦では後のサウジアラビアRCの勝ち馬ドルチェモアの3着。次走未勝利戦は後のデイリー杯2歳Sの3着馬ショーモンの2着。デビューから強敵と戦ってきたミルトクレイモーが化けたのは前走の福島未勝利戦で、1クラス上の指数を記録しての逃げ切り勝ちだった。

同馬は今回も3番枠からスタートし、直後は一番速く逃げようとしたが、さすがに昇級戦となると他馬も速く2番手からの競馬となった。前走で逃げて化けた馬だけに2番手からの競馬でも能力を出せるのかと疑問に思ったが、結果は2番手からの競馬でも全く問題なし。前走は逃げたことが勝因ではなく、単純に本格化だったようだ。

今回はレコード勝ちで記録した指数は今年の多くの芝2歳重賞と同等なもの。指数上はデビュー戦で負けたドルチェモアが2戦目のサウジアラビアRCで記録した指数に並んだ。おそらく今後、安定して走るタイプではなく、あまり人気にはならないタイプの馬だろうが、重賞で好走できる力はすでに持っている。

12月4日(日) 中京5R 優勝馬 ワンダイレクト 指数-3 評価B
1番枠から五分のスタートを決め、すっと中団の最内で折り合う競馬が出来たワンダイレクト。競馬センスの高さを感じさせた。そのまま最内をロスなく追走し、最後の直線では外に出され、ほぼ理想的な競馬運びで最後はしっかりと差し切った。

ラスト2Fは11秒1-11秒8と高い評価はできないが、上がり3Fタイム34秒1はこの日の中京芝では古馬を含めて最速の上がり3Fタイム。本馬は母がワントゥワン、祖母はワンカラット、ともに重賞で活躍した成長力の高い良血馬。今後なかなかの活躍を見せてくれそうだ。


2022年12月1週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA



※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ミッキーカプチーノの指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【2歳馬ジャッジ】函館芝1800mでラスト2F11秒3-11秒4 シーウィザードは大物の可能性十分
【2歳馬ジャッジ】ドゥーラが現2歳世代芝部門の最高指数を記録 モリアーナの強さも再認識
【2歳馬ジャッジ】評判馬フェイトが5馬身差圧勝で好指数マーク OP勝ちミシシッピテソーロ、重賞戦線で期待

おすすめ記事