2歳重賞攻略データ! 勝率5割の最強厩舎と、「逃げ経験」に注目して穴を探す方法

SPAIA編集部

2歳重賞に関するデータ,ⒸSPAIA

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2歳重賞といえばこの厩舎

今週の土曜は京王杯2歳S、ファンタジーSと二つの2歳限定重賞が施行される。そして来週以降もデイリー杯2歳S、東スポ杯2歳S……など、年末までの2か月で8つの2歳重賞が行われるシーズンがやってきた。

今回はこの「2歳重賞」にスポットライトをあててデータを分析する。未知の部分が多く、戦績からの予想が難しい若駒の戦いを考える上でのヒントを探ってみよう(データは2012年1月1日~2022年10月30日。JRAのみ)。

2歳重賞の厩舎別成績,ⒸSPAIA



まずは厩舎に着目。既にご存じの方も多いだろうが、まず2歳重賞といえばこの厩舎を紹介せねばなるまい。そう、中内田充正厩舎だ。過去10年の成績は驚異の【11-3-1-7】勝率50.0%、連対率63.6%。もちろん勝率はトップ、単複回収率も100%を超えている。さらに主戦の川田将雅騎手が継続騎乗したケースは【6-1-0-1】で連対率87.5%。先日のアルテミスSで2着だったリバティアイランドが川田騎手で阪神JFに出てくれば大本命だ。

中内田厩舎ほどイメージは強くないだろうが、須貝尚介厩舎【11-7-4-22】勝率25.0%、連対率40.9%。単回収率180%、複回収率135%は優秀のひとこと。こちらは牝馬、1600m以上が得意条件で、ここに限定すれば【7-1-0-5】で勝率53.8%まで上昇する。

ほか、勝利数上位は矢作芳人厩舎、友道康夫厩舎、安田隆行厩舎など。特に、友道厩舎は武豊騎手を起用したケースで【2-0-3-0】といずれも好走。昨年の朝日杯FSを制したダービー馬ドウデュースもこのコンビだった。

また、国枝栄厩舎は【4-4-0-10】で、特に新馬戦で2・3着に敗れていた馬が【3-1-0-2】と好成績。国枝厩舎といえばアーモンドアイやアパパネ、アカイトリノムスメなど、エース級でも初戦を落としている馬が少なくない。逆説的に、新馬戦でちょっと負けているぐらいなら全く悲観する必要はなく、むしろ2歳重賞において狙いどころとなるようだ。

2歳重賞データインフォグラフィック,ⒸSPAIA

「逃げ」の悪影響を考える

「逃げ」の競馬が、若駒の気性面に悪影響を及ぼすという見方は少なくない。反対に、中団以降でじっくりと折り合いをつけ、末脚を伸ばす騎乗ぶりが“教育的”と評されることもある。では、2歳馬に「逃げ」の競馬を覚えさせることの影響が、果たして実際にデータに現れているのかを確認してみよう。

2歳重賞、逃げ経験の有無別成績,ⒸSPAIA



まず大づかみに、逃げた経験の有無で成績を出してみる。なおデータの都合上、JRA所属の馬のみカウントしている。「逃げ経験あり」の馬は勝率4.1%、連対率10.4%、複勝率17.3%に対し、「逃げ経験なし」は勝率8.8%、連対率16.7%、複勝率24.4%。確かに「逃げ経験なし」の方がいい成績を残している。それぞれの組について、もう少し掘り下げてみよう。

2歳重賞、逃げ経験ありの馬の成績,ⒸSPAIA



全体成績の悪かった「逃げ経験あり」の馬だが、1400m戦では単132%、複136%と高回収率。短距離重賞に関しては大きな減点の必要もなさそうだ。ただ、やはり1800m以上では106頭が出走してわずか2勝。勝率1.9%、単回収率11%は悲惨な数字だ。しかも、このうちの1勝は12頭立てのうち、7頭が「逃げ経験あり」という特殊なメンバーに恵まれた感もあった。

折り合い面への影響について、少し視点を変えて見てみる。初めて逃げを経験したレースより短い距離では勝率5.4%、長い距離では2.3%。先の話ともつながるが、マイル戦で逃げの競馬をしていた馬が、1400mの重賞へ短縮して穴を開けるシーンはそれなりにある。単に「逃げたことがある=折り合いに悪影響」というのではなく、どの距離で逃げたのか、も重要といえそうだ。

ちなみに、こちらの組でむしろ積極的に買いたい条件もある。それが、OPや重賞に上がってから初めての逃げを打った馬。言い換えると、新馬や未勝利戦で我慢を教えていて、かつ上級の相手にハナを切れるスピードがあるということ。こちらが逃げ経験後の2歳重賞に出てきた際は勝率7.7%、単回収率257%、複回収率105%。今年の2歳馬で言えば、ウメムスビ、アリスヴェリテ、チャンスザローゼスなどは、暮れまでに重賞を使ってくれば要警戒だ。

2歳重賞、逃げ経験なしの馬の成績,ⒸSPAIA



最後に、「逃げ経験なし」についてもデータを確認する。こちらのグループが最もホットな距離は1200mで、単回収率143%、複回収率114%。意外な気がして内訳を見てみたが、なるほど、2歳重賞で1200mは函館2歳Sと小倉2歳Sだけ。どちらも前残りの新馬戦を押し切った馬が集結するレースのため、控えて勝ってきた馬が相対的に走りやすいのだろう。

「逃げ経験あり」組と比べる意味で1800m以上での成績を見てみると、勝率9.9%はおよそ5倍。中長距離の重賞では逃げた経験が邪魔になる。ただ、「逃げ経験なし」でも回収率は単69%、複63%とあまり高くない。

どうやら、こちらの組にはスピードがなくて単に「逃げられない」馬も混ざっており、それが数字を下げているようだ。ということで、スピードがある程度担保される「前走4角3番手以内」で成績を調べると勝率10.9%、単回収率110%に上昇。さらに、「前走4角3番手以内から1着」ならば勝率12.9%、単回収率133%となる。今週でいえば京王杯2歳Sに登録しているアンタノバラード、オオバンブルマイ、スピードオブライト、ファンタジーSに登録しているレッドヒルシューズあたりがここに合致しており、穴候補になってきそうだ。



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