東大ホースメンクラブ

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秋競馬を彩る外国人ジョッキーたち
牡牝三冠最終戦、天皇賞(秋)など数々の名勝負が生まれ、ますます熱さを増す秋競馬。今週は地方でJBC諸競走が行われ、来週からの中央では年末までノンストップ、豪華絢爛な8週連続GⅠが待っている。
ターフが最も盛り上がりを見せるこの季節、見どころの一つとなるのが海外から短期免許で来日する名手たちの手綱さばきだ。先週から3人のジョッキーが日本での騎乗をスタート、来週以降も各国から続々ビッグネームが参戦する予定となっている。
中でも注目はイタリアが誇る凱旋門賞ジョッキー・C.デムーロ騎手と、国内外で多数GⅠを制し、日本でもおなじみのライアン・ムーア騎手。今週は過去のデータを紐解きながら、両騎手の「買える条件・買えない条件」を調査していく。(データはJRAのみ)
C.デムーロ×阪神芝は買い、2歳戦除くGⅠは……
<C.デムーロ騎手 条件別成績>
全体成績【175-139-149-662】勝率15.6%/連対率27.9%/複勝率41.2%
阪神芝【29-19-17-74】勝率20.9%/連対率34.5%/複勝率46.8%
前走上がり最速【32-27-17-68】勝率22.2%/連対率41.0%/複勝率52.8%
左回り【36-30-37-189】勝率12.3%/連対率22.6%/複勝率35.3%
GⅠ【3-3-2-31】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率20.5%
※通算成績
まずはC.デムーロ騎手について各種成績を確認していく。
2011年の初騎乗以降、先週まで積み上げた勝利数は175。全体の単勝回収率86%・複勝回収率88%は水準より高い数字となっている。2019年・2020年は来日がなかったものの、久々に来日した昨年は【18-10-6-32】勝率27.3%・連対率42.4%・複勝率51.5%、単勝回収率124%と文句のない成績だった。
回収率が高い条件は阪神芝コース。2割を超える勝率、単勝回収率183%はベタ買いでも大幅な黒字が見込める。特に中穴を好走に導くケースが多く、3~7番人気に限ると【14-7-12-42】。依然として44.0%の複勝率があり、単勝回収率227%・複勝回収率111%。該当例があれば買い目に入れておきたい。
前走で上がり最速をマークした馬とも相性が良い。馬力に優れるタイプと手が合うようで、過半数が3着以内に入っている。芝では単勝回収率145%にアップ、さらに1600m戦【6-9-2-10】複勝率63.0%、1800m戦【6-4-3-8】複勝率61.9%などでは狙いが立ちやすい。
対照的に買いにくいのは左回り。右回りの複勝率43.2%・単勝回収率97%に対して左回りは複勝率35.3%・単勝回収率56%にとどまる。大半を占める東京コースで苦戦しており、過信は禁物だろう。
GⅠでも主役級の信頼度があるとは言い難く、平均人気6.2という事情はありつつも複勝率はようやく2割に乗る程度。6度の連対のうち5度が2歳GⅠで、これを除くと【1-0-2-28】。2013年桜花賞のアユサンが唯一の勝利で、2014年フェブラリーSのベルシャザール3着を最後に丸8年以上馬券に入っていない。
ムーア騎手はノーザンファーム生産馬とのコンビが吉
<ムーア騎手 条件別成績>
全体成績【122-97-60-349】勝率19.4%/連対率34.9%/複勝率44.4%
ノーザンF生産馬【47-29-19-83】勝率26.4%/連対率42.7%/複勝率53.4%
重賞【14-6-6-42】勝率20.6%/連対率29.4%/複勝率38.2%
2歳戦【59-41-22-118】勝率24.6%/連対率41.7%/複勝率50.8%
距離延長【24-20-14-107】勝率14.5%/連対率26.7%/複勝率35.2%
※2012年以降
次にムーア騎手についても同様にデータをチェックする。日本での初騎乗は2004年と、20年近く前のことになるが、ここでは2012年以降のデータから抽出する。
さすが世界のトップジョッキーといった数字が並んでおり、好走率はC.デムーロ騎手を上回る。しかし過剰人気の傾向からか全体の単勝回収率は72%で、収支プラスにはひと工夫が必要になりそうだ。
まずわかりやすい買い時はノーザンファーム生産馬とのコンビ。勝ち星の3分の1以上を同牧場の生産馬で挙げており、単勝回収率は101%とわずかながら大台を上回る。1番人気では【32-7-6-16】勝率52.5%と凄まじい決定力を披露しており、アタマ固定で点数を絞っても勝算がある。
ビッグレースでも好走率があまり落ちず、重賞では芝・ダートともに単勝回収率100%超。特に堀宣行厩舎とのタッグでは【10-2-4-14】複勝率53.3%・単勝回収率152%と素晴らしい。かつてアルバートと長距離戦線を席巻し、モーリスでマイル、中距離路線を統一したのが印象深いが、そのイメージに逆らわず馬券を仕込みたいところだ。
2歳戦でもキッチリと結果を出しており、特に1200m戦【5-5-2-6】複勝率66.7%・単勝回収率120%、2000m戦【15-9-5-22】複勝率56.9%・単勝回収率131%で妙味がある。ここまで紹介した買い条件が複合していれば鉄板級だ。
唯一の泣き所といえるのが、距離延長となる馬への騎乗。単勝回収率56%、1年ごとに区切っても2012年以降で100%を超えたことが一度もなく、このうち前走で逃げ~先行だった馬は単勝回収率23%と非常に厳しい。複勝率自体はそれほど悪くないものの勝ち切れないケースが多く、断然人気なら2・3着までという扱いが高配当への道といえるだろう。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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