【アルゼンチン共和国杯】基本的に軸は上位人気から 複穴候補は昇級初戦のブレークアップ

勝木淳

アルゼンチン共和国杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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3歳は4頭出走で4着以下なし

最終週にジャパンCが控える5回東京がはじまる。早くも今年の東京競馬最後の開催。競馬の一年は光のごとし。気がつけば大詰めを迎える。

開幕週はおなじみアルゼンチン共和国杯。ジャパンCの出走権がかかる前哨戦だが、ジャパンCとのつながりは正直薄かった。しかし、昨年連覇を果たしたオーソリティがジャパンC2着と気を吐いた。ダービー馬4頭そろい踏み、コントレイルの引退レースで、3着シャフリヤールとの間に割り込んだ。アルゼンチン共和国杯の流れは昨年で変わったのか。さて今年はジャパンCでも上位争いできる馬があらわれるだろうか。データは過去10年分を使用する。


過去10年アルゼンチン共和国杯人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%。東京芝2500m、ハンデ戦という舞台設定は目黒記念と同じ。同期間の目黒記念は【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%なので、ほぼ同じイメージ。人気に逆らいたくなる条件だが、過度に嫌うのは危険だろう。さらに2番人気【4-0-0-6】勝率、複勝率40.0%、3番人気【2-1-6-1】勝率20.0%、複勝率90.0%と9勝は3番人気以内。目黒記念は4勝なので、ここが大きな違い。軸は上位人気から冷静に選びたい。


過去10年アルゼンチン共和国杯年齢別成績,ⒸSPAIA


次に年齢の傾向。まず3歳【2-0-2-0】勝率50.0%、複勝率100%が目立つ。今年もGⅠ馬キラーアビリティがスタンバイ。ここはおさえたい。古馬は4歳【5-4-4-24】勝率13.5%、複勝率35.1%、5歳【1-5-4-40】勝率2.0%、複勝率20.0%、6歳【2-1-0-31】勝率5.9%、8.8%。基本的に若い馬から順番に組み立てよう。


過去10年アルゼンチン共和国杯斤量別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦なので斤量データもみる。古馬の基準になる57キロは【1-1-0-15】勝率5.9%、複勝率11.8%とそこまで機能していないが、その分、少し軽い56キロが【6-3-0-20】勝率20.7%、複勝率31.0%と頼りになる。なお3歳56キロは【1-0-0-0】。17年スワーヴリチャードがダービー2着からここを勝った。ややハンデを見込まれた3歳は注目。キラーアビリティはホープフルS勝ちがどこまで評価されるか。また57.5キロ【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%にも注意。相手関係によるが、重賞V歴の古馬が課せられるケースが多く、連覇のかかったオーソリティ、ルルーシュが1、3着。ダイヤモンドSを勝ったアドマイヤラクティが2着だった。テーオーロイヤルの斤量には注目したい。


複穴候補に入れたい、ブレークアップ

上位人気を軸に3歳を評価、ハンデ56キロ、57.5キロに注目。これら傾向をつかんだので、ここからは前走成績の傾向からさらに好走馬を探っていく。


過去10年アルゼンチン共和国杯前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では前走GⅠ【4-1-1-8】勝率28.6%、複勝率42.9%が目立つ。キラーアビリティの前走ダービーは【1-0-1-0】。上記のスワーヴリチャードのほかに15年レーヴミストラルがダービー9着から3着に巻き返した。キラーアビリティはダービー6着。皐月賞13着で崩したリズムは復調の兆し。この休養でさらに上向くことを期待したい。

次に前走GⅡは【4-4-2-53】勝率6.3%、複勝率15.9%と取捨が難しい。テーオーロイヤルのオールカマーは【2-2-1-17】勝率9.1%、複勝率22.7%。ここは4着以内【1-1-0-2】、5着は出走なし、10着以下は【0-0-0-6】。12着アドマイヤアルバは厳しいが、テーオーロイヤルは注目。オールカマーは秋始動戦。スローペースの競馬で距離を含め適性が合わなかった。比較的スタミナを問う東京芝2500mは歓迎、変わり身は期待できる。

同条件の目黒記念は【1-0-0-6】勝率、複勝率14.3%でそれほどつながらない。勝ったのは19年目黒記念5着ムイトオブリガード。10着以下【0-0-0-5】なので、ダンディズムも望みはある。前走は昇級初戦でゲート後手、先行優位の流れのなか、4コーナー13番手から脚は使った。伏兵候補に入れたい。

出走予定馬が多い京都大賞典は【0-1-0-25】複勝率3.8%と低調。13年アドマイヤラクティが京都大賞典4着から2着にきた。5着以下は【0-0-0-18】なので、穴候補をここからひねり出すのは危険ではないか。


過去10年アルゼンチン共和国杯前走3勝クラス組コース別成績,ⒸSPAIA


であれば思い切って格下の前走3勝クラス【1-3-4-15】勝率4.3%、複勝率34.8%はどうだ。ここはコース別に狙いを定めたい。前走東京芝2400mが【1-3-2-6】勝率8.3%、複勝率50.0%、複勝回収値142と穴の臭いがたちこめる。前走六社Sで先行抜けだしVのブレークアップが該当する。具体的に六社S【0-2-2-3】複勝率57.1%、複勝回収値200。17年7番人気2着ソールインパクト、18年11番人気3着マコトガラハッドなど。アルゼンチン共和国杯の複穴パターンだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


アルゼンチン共和国杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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