【天皇賞(秋)】モーリス産駒、圧巻の複勝率5割超 東大HCが東京芝2000mを徹底検証
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA
コース紹介
今週は東京芝2000mを舞台に、秋古馬三冠初戦・GⅠ天皇賞(秋)が行われる。昨年のダービー馬にしてドバイSC覇者のシャフリヤール、美しき栗毛の逃亡者・ジャックドール、ドバイターフを勝ったパンサラッサら強力な古馬勢と、春二冠連続2着から悲願のGⅠタイトルを目指すイクイノックス、皐月賞を快勝したジオグリフ、ダービー1番人気4着の悔しさを晴らしたいダノンベルーガの3歳世代が激突。伝統の盾を争うにふさわしい豪華メンバーが出揃う一戦だ。
当該コースの重賞は天皇賞(秋)と、オークストライアル・GⅡフローラSの2レース。今週は「東京芝2000m」の特徴をデータで分析していく(使用するデータは2017年10月28日~2022年10月23日)。
まずはコース紹介。1コーナー奥に設けられたポケット地点をスタート、間もなく2コーナーを迎えるため、外枠の馬は内に切れ込みにくく距離ロスが大きくなりやすい。向正面で上ったのち3コーナーに向かってなだらかな下りを通過、大ケヤキに迎えられる4コーナーを過ぎると最後の525.9mに及ぶ直線で高低差2mの坂が待ち受ける。末脚とスタミナの総合力が問われるチャンピオンコースだ。
天皇賞(秋)で18年連対がない8枠
<東京芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【27-22-19-167】勝率11.5%/連対率20.9%/複勝率28.9%
2枠【21-18-21-185】勝率8.6%/連対率15.9%/複勝率24.5%
3枠【22-21-28-190】勝率8.4%/連対率16.5%/複勝率27.2%
4枠【28-26-16-209】勝率10.0%/連対率19.4%/複勝率25.1%
5枠【21-38-34-208】勝率7.0%/連対率19.6%/複勝率30.9%
6枠【25-23-31-249】勝率7.6%/連対率14.6%/複勝率24.1%
7枠【32-26-23-280】勝率8.9%/連対率16.1%/複勝率22.4%
8枠【31-33-35-284】勝率8.1%/連対率16.7%/複勝率25.8%
枠別成績では勝率・連対率トップの1枠が目立つ。先行馬にせよ差し馬にせよ道中で経済コースを取れる利点は大きく、白帽を引き当てた馬は評価を一段階上げておきたい。その他、唯一複勝率が3割を超える5枠にも注目。天皇賞(秋)でも2019年2着ダノンプレミアム、2020年2着フィエールマン、2021年3着グランアレグリアと目下3年連続で好走馬を送り出している。
対照的に、ハイレベルなレースで厳しいのが8枠。東京競馬場のコース改修を経た2003年以降の天皇賞(秋)では【1-0-3-47】複勝率7.8%、複勝回収率18%。改修元年の2003年こそシンボリクリスエスが大外枠から快勝したものの、それ以降は勝ち馬はおろか連対馬すら出ていない。人気馬が桃帽を引けば買い目から消して馬券の妙味を高めたいところだ。
<東京芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【38-28-22-127】勝率17.7%/連対率30.7%/複勝率40.9%
先行【88-82-73-465】勝率12.4%/連対率24.0%/複勝率34.3%
差し【58-73-73-591】勝率7.3%/連対率16.5%/複勝率25.7%
追込【21-21-37-579】勝率3.2%/連対率6.4%/複勝率12.0%
脚質別成績では当然ながら逃げ・先行優勢。ただし他コースほど好走率や回収率が高くないことは頭に入れておきたい。能力で劣る馬が逃げ残るケースはそれほど多くなく、実力をフェアに試される舞台という側面が見えてくる。
天皇賞(秋)でも東京改修後の2003年以降に限ると逃げは【0-1-2-16】と未勝利。馬券になった3頭は2008年のダイワスカーレット(2着)、2018年のキセキ(3着)、2019年のアエロリット(3着)といずれも世代の一線級。パンサラッサが偉大な先輩たちに肩を並べるか注目したい。
改修後の19レースでは差し馬が13勝と台頭しているように、末脚が最重要。一つの指標となるのが前走の上がり3ハロンタイムで、同3位以内だった馬が【12-8-10-96】単勝回収率132%を記録。2018年のレイデオロから4連勝中だ。
抜群の適性、モーリス産駒
<東京芝2000m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【33-37-33-183】勝率11.5%/連対率24.5%/複勝率36.0%
ハーツクライ【18-22-17-127】勝率9.8%/連対率21.7%/複勝率31.0%
ロードカナロア【6-10-10-38】勝率9.4%/連対率25.0%/複勝率40.6%
モーリス【10-6-4-15】勝率28.6%/連対率45.7%/複勝率57.1%
種牡馬別の勝利数ではディープインパクト、ハーツクライの2強。だが双方とも平均人気を平均着順が下回っており、複勝回収率はともに60%台と強調材料に欠ける。
天皇賞(秋)での通算成績はディープインパクトが【1-8-2-41】複勝率21.2%、毎年のように多数の産駒をターフに送り出しながら勝ったのは2014年のスピルバーグのみで、近4年連続で最高着順が2着に終わっている。一方ハーツクライは【1-0-0-8】、のちに世界一のレーティングを記録する2013年1着ジャスタウェイを除くと好走がない。
一方、新興勢力で複勝率4割を超えているのがロードカナロアとモーリス。特にモーリスは過半数が馬券に絡むなど素晴らしい適性を披露しており、3番人気以内に限れば【8-3-3-3】複勝率82.4%。ジャックドールに秋盾親子制覇のチャンスが到来している。その他有力馬ではキタサンブラック(イクイノックス)【2-3-1-14】複勝率30.0%、ドレフォン(ジオグリフ)【0-1-0-2】複勝率33.3%となっている。
<東京芝2000m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【37-16-22-51】勝率29.4%/連対率42.1%/複勝率59.5%
福永祐一【9-8-3-27】勝率19.1%/連対率36.2%/複勝率42.6%
川田将雅【5-8-1-22】勝率13.9%/連対率36.1%/複勝率38.9%
C.デムーロ【1-1-0-7】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率22.2%
騎手別成績ではルメール騎手がトップ。前走重賞で上がり最速だった馬に騎乗した際は【3-0-1-0】で、天皇賞(秋)ではレイデオロ1着、アーモンドアイ1着、グランアレグリア3着が該当。騎乗予定のイクイノックスはダービーで上がり最速、この条件をクリアしている。
ジオグリフに騎乗する福永祐一騎手も複勝率4割超え。ただ継続騎乗では【0-1-0-10】と不振に陥っている不思議なデータは指摘しておきたい。ダノンベルーガとのコンビで挑む川田将雅騎手は好走率こそ高いものの、単勝回収率35%・複勝回収率62%と妙味の面では強調しにくい。
シャフリヤールの鞍上は短期免許で来日するC.デムーロ騎手。ここ5年では上記3人と比して見劣りする数字が出ているが、過去全期間に広げると【4-1-3-15】複勝率34.8%とまずまずの数字に。天皇賞(秋)には2回騎乗してともに15着だが、どちらも二桁人気の馬であった。
その他、藤岡佑介騎手(ジャックドール)は【2-1-0-7】複勝率30.0%。吉田豊騎手(パンサラッサ)は【1-6-4-35】複勝率23.9%で、逃げた際は【1-2-2-0】のパーフェクト、単勝回収率218%・複勝率376%を記録している。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。
《関連記事》
・【天皇賞(秋)】GⅠ馬5頭の豪華競演! シャフリヤールと3歳勢中心も、毎日王冠組ポタジェに変身の予感
・【天皇賞(秋)】ジャックドールは消し、3歳馬たちの取捨は枠次第! ハイブリッド式消去法が導き出した本命候補3頭は
・【天皇賞(秋)】「前走ダービー2着」×「連対率100%」は昨年の勝ち馬と同じ 3歳馬イクイノックスに期待
おすすめ記事