【天皇賞(秋)】GⅠ馬5頭の豪華競演! シャフリヤールと3歳勢中心も、毎日王冠組ポタジェに変身の予感

勝木淳

天皇賞(秋)インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1番人気堅調も5歳に注意

エフフォーリア、コントレイル、グランアレグリア、三強の激突から早いもので1年が経った。秋の盾、その舞台は東京芝2000m。スピードとスタミナ、持続力がないと勝てない舞台であり、現代競馬で欠かすことのできない適性を問われる。昨年と同じく3歳なのか、それともダービー馬のプライドか、はたまた上がり馬のGⅠ初制覇か。今年も興味がつきない。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年天皇賞(秋)人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【5-3-1-1】勝率50.0%、複勝率90.0%でまず崩れない。この10年はすっかり手堅いレースになった。勝ち馬は5番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%までで、6番人気【0-0-4-6】複勝率40.0%以下は2、3着までといった感じ。まずは目つけは上位人気馬に置きたい。


過去10年天皇賞(秋)年齢別成績,ⒸSPAIA


昨年エフフォーリアの勝利で3歳は【1-1-1-9】勝率8.3%、複勝率25.0%。2000年以降でも02年シンボリクリスエスと合わせて2頭。斤量差2キロで、力を出す土台が整った歴戦の古馬を相手にするのは容易ではない。上記2頭はいずれもダービー2着馬であり、それはイクイノックスと共通する。2頭は器用な完成度の高い競馬を披露して勝った。古馬に対抗できる器用さと完成度があるか、見極めのポイントになりそうだ。

主力は4歳【3-6-4-27】勝率7.5%、複勝率32.5%、5歳【6-3-4-39】勝率11.5%、複勝率25.0%。5歳が勝ち切る傾向で、4歳は2、3着という図式は若干気になる。今年の主力は4歳シャフリヤール、ジャックドールで、相手候補に5歳パンサラッサ、ポタジェという構図。5歳勢の一発もあるかもしれない。


カギを握る毎日王冠

データからは5歳馬単勝の可能性を感じたところで、さらに前走戦歴をもとに各馬を分析してみたい。


過去10年天皇賞(秋)前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずシャフリヤールの前走海外【0-0-0-3】。サンプル数はたった3頭なので微妙ではあるが、いずれも馬券圏外と結果が出ていない。16年エイシンヒカリはシャフリヤールと同じプリンスオブウェールズSに出走し、6着。ここは12着に敗れた。もっともシャフリヤールはダービー馬であり、仕上げに定評があり、かつ海外遠征にも慣れた藤原英昭調教師が管理する。万全の状態で出てくるだろう。

前走(国内)GⅠ【4-7-4-24】勝率10.3%、複勝率38.5%。今年の登録で3頭いる前走日本ダービーは【1-0-0-1】。昨年のエフフォーリアと15年サトノクラウン17着の2頭。前者は日本ダービー2着、後者は3着だった。

今年の日本ダービーは前後半1000m58.9-59.0、1200mで区切ると1.10.6-1.11.3、2.21.9のダービーレコード。2着イクイノックスはゴール前、ドウデュースに迫る脚色を見せた。その脚力は評価したい。4着ダノンベルーガは上がり3位34.3。上位2頭とは差があったが、いくらか前にいた点が結果をわけた。東京は共同通信杯を上がり最速33.7で鮮やかに差し切った舞台でもある。7着ジオグリフは当時、福永祐一騎手も距離を敗因にあげていた。400m短縮は好材料だ。皐月賞Vはエフフォーリアと同じ。器用さではイクイノックスを上回る。


過去10年天皇賞(秋)前走GⅡ組レース別成績,ⒸSPAIA


シャフリヤール以外の古馬勢は前走GⅡ【6-3-6-90】勝率5.7%、複勝率14.3%に注目。毎日王冠【3-1-5-37】勝率6.5%、複勝率19.6%、札幌記念【1-1-0-15】勝率5.9%、複勝率11.8%、オールカマー【1-0-0-21】勝率、複勝率4.5%、京都大賞典【1-0-0-13】勝率、複勝率7.1%といった感じ。最近はGⅠからGⅠへというローテが主流で、ここ2年は不発ではある。とはいえ、今年はシャフリヤールと3歳を除くと大半がここに該当するので、注意したい。


過去10年天皇賞(秋)前走毎日王冠組着順別成績,ⒸSPAIA


中2週の毎日王冠はかつて主流ステップだったが、近年あまり評価されない傾向。馬券圏内は19年アエロリット3着が最後。そのときも毎日王冠2着だったが、距離延長がマイナス材料にとられ、6番人気にすぎなかった。今年は毎日王冠5着ノースブリッジ、6着ポタジェが登録。前走毎日王冠5着は【0-0-1-2】複勝率33.3%。16年ステファノスが6番人気3着だった。同6~9着は【1-1-0-11】勝率7.7%、複勝率15.4%。12年エイシンフラッシュが毎日王冠9着から1着。15年ステファノスは7着から2着だった。いずれも藤原英昭厩舎だ。

今年の毎日王冠は200m通過後の10.6から最後まで11秒台が続く緩まない競馬。マイル戦寄りの流れになり、上位は1600m適性のある馬が入った競馬。5、6着は適性が合わなかった。それゆえ、スタートが問題なければノースブリッジはもっとパフォーマンスをあげるだろう。ポタジェは大阪杯を勝ったGⅠ馬。2000mで変わり身を見せる可能性は高く、2戦の敗戦で見限るのは早い。

次に札幌記念について。ジャックドールが該当する前走札幌記念1着は【0-1-0-2】。18年サングレーザーが2着に好走。パンサラッサの前走同2着は【1-0-0-2】。16年モーリスが勝利した。3着以下は【0-0-0-11】なので、11着ユーバーレーベンは苦しいか。オールカマー経由の好走は18年レイデオロの連勝。4着バビットは展開に恵まれた面もあり、かつ今回はパンサラッサ、ジャックドールが参戦、先手をとれない公算が高い。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



天皇賞(秋)インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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