【天皇賞(秋)】「前走ダービー2着」×「連対率100%」は昨年の勝ち馬と同じ 3歳馬イクイノックスに期待

門田光生

天皇賞(秋)の前走着順別成績(過去10年,ⒸSPAIA

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有力3歳馬が参戦

2022年10月30日に東京競馬場で行われる第166回天皇賞(秋)。今年は皐月賞馬ジオグリフをはじめとして、クラシックで好走した3歳馬が3頭登録してきた。これに昨年のダービー馬シャフリヤールを初めてとする古馬勢が立ちはだかる。3歳馬、そして遠征帰りとなる馬の成績はどうなのか。今回も過去15年のデータを基にして検証していきたい。

天皇賞(秋)出走馬の所属,ⒸSPAIA
天皇賞(秋)出走馬の性別,ⒸSPAIA
天皇賞(秋)出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦所属12連対(6勝)、栗東所属馬18連対(9勝)。ただし、栗東所属馬の方が出走頭数は多いいので、勝率、連対率で見ると大きな差はない。

性別で比較すると、出走した21頭中、7頭が連対している牝馬の活躍が目立っている。特に牝馬の4歳世代は【3-2-1-3】となり、出走した半分以上が連対。今年の登録馬だと、マリアエレーナとユーバーレーベンが該当する。

年齢別でも、その4歳世代が勝率、連対率でトップ。また、5歳馬は最多の7勝を挙げており、勝率も4歳馬とほぼ互角。これが6歳以上となると数字が大きく下がってしまい、該当する94頭中、連対したのは2009年の1着馬カンパニー(牡8)のみ。今回、話題の3歳世代はここ15年で18頭が挑戦し、勝ったのは昨年のエフフォーリアだけ。

天皇賞(秋)出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
天皇賞(秋)出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
連対馬30頭は、いずれも前走でGⅠかGⅡを走っていた。馬券に絡んだ45頭に広げても、3着馬が1頭いるだけ(2007年カンパニー、関屋記念)。カンパニーが例外として出てくるのは、年齢に続いて2回目。つまり、この馬自体が例外馬だったということだろう。

相性のいいステップレースは、GIだと宝塚記念と安田記念、GⅡだと毎日王冠だ。特に安田記念は【2-2-1-5】で連対率が40%と優秀な数字を残している。今年は宝塚記念と安田記念組がいないので、ここでは毎日王冠組が有利としたい。逆に結果が出ていないのはオールカマーと京都大賞典。出走頭数は前者が34頭、後者は21頭いるが、それぞれ1着が1頭だけ。ほかはすべて馬券圏外となっている。

天皇賞(秋)出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走3着以内だった馬が22連対。特に、前走2着馬は【7-1-4-27】で、勝率が17%を超えている。

天皇賞(秋)出走馬のプラスデータ,ⒸSPAIA
天皇賞(秋)出走馬のマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になるデータを挙げてみる。まず前走人気だが、1番人気に支持されていた馬が10勝。勝率、連対率ともにほかの人気を圧倒している。

マイナスになるデータは、前走馬体重が458キロ以下だった馬。25頭が該当し、最高着順は2着(2007年アグネスアーク)だけ。

続いては前走1着馬のうち、コンマ3秒以上の差をつけて勝った馬。こちらは該当する9頭すべてが連対を外している。この中には2010年アーネストリー(2番人気→3着)、2013年トウケイヘイロー(2番人気→10着)、2019年サートゥルナーリア(2番人気→6着)、そして2020年クロノジェネシス(2番人気→3着)も含まれており、これを生かせればおいしい配当にありつけるかも。

例外馬として出てきたカンパニーも実はこのデータに該当(2007年出走時)しているが、この時は3着とデータの壁を破れなかった。

海外帰りはマイナス

天皇賞(秋)のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「4、5歳」B「牝馬」C「毎日王冠組」D「前走2着馬」E「前走1番人気」。

好走確率が下がってしまうのはF「6歳以上」G「前走が京都大賞典かオールカマー」H「前走馬体重が458キロ以下」I「前走1着馬で0.3秒以上差」。連対データがないのはJ「前走がJRAのGⅠ、GⅡ以外」となる。

まずは扱いが難しい、海外帰りとなるシャフリヤールから見ていこう。前走を海外で走った馬は3頭いて、2014年4番人気→6着エピファネイア(QE2世C・4着)、2016年2番人気→12着エイシンヒカリ(プリンスオブウェールズS・6着)、2017年8番人気→13着ネオリアリズム(QE2世C・1着)。すべて馬券圏外で、しかも人気以上に走れていない。シャフリヤールは2016年のエイシンヒカリのパターンに似ており、人気を考えても今回は切るのが正解だろう。

好走率の高い牝馬はどうか。牝馬で馬券に絡んだ馬の名前を挙げると、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、クロノジェネシス、グランアレグリアなど、超のつくGI級ばかり。今年の登録馬では、昨年のオークス馬ユーバーレーベンが実績最上位となるが、上記の名牝と比べると、さすがに見劣りしてしまう。ただ、のちにこの馬が名牝と呼ばれる可能性が全くないわけではなく、押さえは必要だろう。

注目の3歳馬だが、4、5歳馬に比べると勝率で下回っているのは事実。ただ、注目すべきなのは3頭ともダービーからの直行組ということ。これに当てはまるのは、ここ15年で2頭しかおらず、うち1頭が昨年の勝ち馬エフフォーリア(もう1頭は2015年17着サトノクラウン)。サンプルは少ないが、勝率50%に賭けてみるのもありだ。

3頭の中では、D「前走2着馬」に該当するイクイノックスが最有力。ダービー2着、さらに連対率100%での挑戦はエフフォーリアと全く同じ。これが今年も馬券に絡めば、来年からはトレンドとして注目されるだろう。先取りの意味でも積極的に狙っていきたい。直行組を重視という観点から、今年に限ってはジオグリフ、ダノンベルーガの2頭も押さえておいた方がいいだろう。

古馬ではA「5歳馬」D「前走2着」のパンサラッサと、A「4歳馬」でC「毎日王冠組」のノースブリッジ。ともにマイナスデータがなく、馬券圏内に食い込んで何らおかしくない。ただし、ここ15年で逃げ切った馬はおらず、2着だった2008年ダイワスカーレットが最高着順。逃げ馬のパンサラッサは押さえでいいだろう。

◎イクイノックス
○ノースブリッジ
▲ジオグリフ
△ダノンベルーガ
×ユーバーレーベン
×パンサラッサ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。 先日、とあるイベントに出かけた際、とあるアーティストのライブに出くわしました。しかも、普段よく聞いているバンド。私生活では運気が下がり気味と感じていただけに、これを契機に上向いてくるかもと期待しています。

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