高速ダート、池添謙一騎手と好相性 オルフェーヴル産駒の「買える条件・買えない条件」

東大ホースメンクラブ

オルフェーヴル産駒の買える・買えない条件,ⒸSPAIA

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あの凱旋門賞から早10年

先週日曜、フランス・パリロンシャン競馬場にてGⅠ凱旋門賞が行われた。数多のスターホースが日の丸を背負って走った夢舞台に、タイトルホルダー・ドウデュース・ディープボンド・ステイフーリッシュが果敢に挑戦。降り続いたあいにくの雨で日本とは全くの別競技となった極悪馬場に苦しみ、タイトルホルダーの11着が最先着。今年も世界最高峰の舞台は大きな壁として立ちはだかった。

レースが終わり、近年日本馬が頂点に最も近づいた2012年の凱旋門賞を見直した方も多いだろう。最後の直線で大外から持ったままで進出し、栄光まであと一歩だった栗毛の三冠馬、オルフェーヴル。ゴール前で伏兵ソレミアに交わされた悔しさもさることながら、衝撃的パフォーマンスは年々凄みを増すように思われる。

あれから10年、種牡馬入りしたオルフェーヴルは産駒デビュー6年目を迎え、芝・ダートともにGⅠ級の大物を競馬場へと送り出してきた。京都大賞典にも同馬を父に持つアイアンバローズとディアマンミノルが出走し、秋の大舞台に向けて始動する今週、改めてオルフェーヴル産駒の戦績を概観しつつ、馬券で狙える条件・狙えない条件を調査していく(データはJRAのみ)。

オルフェーヴル産駒・主な活躍馬,ⒸSPAIA


まずはオルフェーヴル産駒のここまでの蹄跡を振り返ってみよう。

2017年に産駒デビュー。初年度から阪神JFをラッキーライラックが制し、GⅠ初制覇を早々と達成。同期にのちのGⅠ・9勝馬アーモンドアイがいたために牝馬クラシックは無冠に終わったものの、京都・阪神の2場でエリザベス女王杯を連覇、大阪杯も制して4つのGⅠタイトルを獲得した。2018年クラシック世代はエポカドーロも皐月賞を制し、ダービーで2着に入る活躍。上々のスタートを切った。

JRA・GⅠは上記の5勝にとどまるものの、国内外で猛威を奮った怪物らしく子どもたちも様々なフィールドで躍動していく。筆頭格はやはりマルシュロレーヌ。ダート初挑戦となった桜島Sを圧巻の勝ちっぷりで制してから牝馬の交流重賞戦線で最上位クラスに君臨し、勇猛果敢に挑んだデルマー・BCディスタフを勝利。日本馬にとって鬼門中の鬼門だったアメリカダートGⅠを手中に収める快挙を達成した。

その他、かしわ記念を制した牝馬ショウナンナデシコ、青葉賞、アルゼンチン共和国杯連覇、ジャパンC2着、ドバイSC3着と左回りの中距離路線で安定した成績を残すオーソリティなどが代表産駒となる。

名コンビは健在

オルフェーヴル産駒を「買える条件」,ⒸSPAIA


<オルフェーヴル産駒を「買える条件」>
ダート重・不良:勝率8.2%/連対率14.0%/複勝率23.3%/単勝回収率148%
池添謙一:勝率13.1%/連対率25.2%/複勝率32.7%/単勝回収率111%
福島:勝率11.5%/連対率19.0%/複勝率26.8%/単勝回収率169%

次に回収率の高い「買える条件」についてチェックする。

高速傾向のある渋ったダートでの好成績が特徴的で、重・不良馬場では150%に迫る単勝回収率をマーク。芝・ダートともに活躍馬を出していることもあり、他のダート種牡馬よりも潜在的な芝適性を持つ産駒が多く、スピードが求められる条件で相対的に浮上する傾向にあるようだ。特別戦に限ると単勝回収率は300%を超えるため、雨馬場なら近走成績が振るわなくてもチェックしておきたい。

現役時代に名コンビとして鳴らした池添謙一騎手は産駒とも相性が良く、堂々の複勝率3割超え。他騎手からの乗り替わりでは【8-6-3-40】勝率14.0%、単勝回収率173%まで向上する。重賞タイトルは福島記念(バイオスパーク)のみだが、平場を中心に活用したいデータだ。

競馬場別では福島で圧巻の数字を残している。2018年シーズンから5年連続で単勝回収率120%以上をマークし、今年は【6-3-7-23】複勝率41.0%、単勝回収率371%とまさに向かうところ敵なしだ。人気薄が勝ち切るケースもよく見られており、11月から始まる3回開催で狙い打ちたい。

長い目で見守りたい

オルフェーヴル産駒を「買えない条件」,ⒸSPAIA


<オルフェーヴル産駒を「買えない条件」>
2歳戦:勝率6.8%/連対率14.5%/複勝率23.1%/単勝回収率47%
1600m:勝率6.7%/連対率12.6%/複勝率19.8%/単勝回収率51%

最後に「買えない条件」をピックアップ。

2歳戦から活躍した産駒はラッキーライラックが思い浮かぶものの、全体としては低調。古馬になってから本領を発揮するタイプで(4歳以上では単勝回収率102%)、2歳新馬に限れば単勝回収率39%とさらに厳しい数字となる。デビューからいきなり、というタイプではなく、長い目で見守っていきたいところだ。

主な距離別成績では1600mを最も苦手としており、ダートでは【4-2-5-79】複勝率12.2%、単勝回収率27%・複勝回収率35%、得意としている高速馬場(稍重~不良)での連対がない。芝の重賞ではラッキーライラックをはじめ、NHKマイルCで3着に入ったギルデッドミラーなどぽつぽつと好走例があるものの、評価を落とした方が期待値は高そうだ。

オルフェーヴル産駒の買える条件・買えない条件,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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