【毎日王冠】 秋の東京開幕カードは激戦の予感 サリオス復活に期待も、侮れない4歳ノースブリッジ、ダノンザキッド

勝木淳

毎日王冠インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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10年で1番人気7勝

さあ秋の東京開催がはじまる。4回東京最終週は天皇賞(秋)、そして5回東京はジャパンC。ここからが競馬の秋真っ盛り。2022年の総まとめとなる各カテゴリーのチャンピオンを決めるレースが目白押しだ。さてどんな結果が待っているのか。今から楽しみでならない。

4回東京開幕週はおなじみ毎日王冠。勝ち馬にはタケシバオー、カツラギエース、オグリキャップ、サイレンススズカ、グラスワンダーなど名馬の名がズラリ。昨年はシュネルマイスターが後方から上がり33.0の豪脚を披露した。秋の東京開幕週らしい決め手勝負の舞台でもある。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年毎日王冠人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は昨年のシュネルマイスターを含め【7-0-0-3】勝率、複勝率70.0%。勝つか負けるか極端。7勝はとにかく目立つ数字。今年もこの傾向通りだろうか。その分、2番人気は【0-2-0-8】複勝率20.0%とやや不振。昨年はダノンキングリーが2着に来たものの、案外人気に応えられないケースが多い。かわって3~5番人気の好走確率が高く、人気薄は14年8番人気エアソミュールが勝ったが、評価としては連下候補まで。上位人気馬同士の激戦という傾向が強い。


過去10年毎日王冠年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別で目立つのは3歳【4-2-0-11】勝率23.5%、複勝率35.3%だが、今年は不在。古馬勢は4歳【3-2-5-19】勝率10.9%、複勝率34.5%、5歳【2-3-3-25】勝率6.1%、複勝率24.2%、6歳【1-3-1-19】勝率4.2%、複勝率20.8%。若い組優勢だが、ベテランも連下なら十分ありうる。サリオス、レイパパレ、ポタジェといったGⅠ馬を、同じくGⅠ馬のダノンザキッド、重賞馬ノースブリッジやレッドベルオーブらが逆転できるか。


逆転候補最有力はノースブリッジ

ではここからは前走成績に注目し、上記図式のなかで抜け出す馬がいるかみていきたい。


過去10年毎日王冠前走クラス別成績,ⒸSPAIA


伝統のGⅡ、天皇賞(秋)ないしその先に向けてのステップレースらしく、前走GⅠは【5-6-3-36】勝率10.0%、複勝率28.0%。内訳で目立つのは3歳限定の日本ダービーやNHKマイルC、そして安田記念【2-3-2-20】勝率7.4%、複勝率25.9%。昨年の1、2着馬も前走安田記念。17年以降、該当馬がいる年はすべて3着以内馬を送る近年の有力ローテだ。


過去10年毎日王冠前走安田記念組着順別成績,ⒸSPAIA


前走安田記念の着順別成績はサリオスが当てはまる3着【1-0-0-1】勝率、複勝率50.0%を含め、4着以内が【2-3-2-6】勝率15.4%、複勝率53.8%と好走が条件。2年前の毎日王冠以来、勝利から見放されているサリオスも安田記念3着は再浮上のきっかけになる。

古馬のほかのGⅠでは同じ中距離の宝塚記念が【0-1-1-6】複勝率25.0%。そこまで有力なデータとはいえないが、この組は凡走馬がほとんどであり、10着以下【0-1-0-2】複勝率33.3%。16年3番人気2着アンビシャスは宝塚記念16着から巻き返した。ポタジェは東京実績もあり、昨年のこのレース3着。大阪杯を勝ったときのような先行態勢がとれれば残り目はある。なおレイパパレの前走ヴィクトリアマイルは出走なし。東京コースへの適性はその前走で判断していいものか。


過去10年毎日王冠前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


次にノースブリッジ、ダノンザキッドらが当てはまる前走GⅢ【2-3-5-37】勝率4.3%、複勝率21.3%について。毎日王冠ではやや格下感があるものの、今年はこの組もカギを握る。そのレース内訳は6月の同舞台エプソムC【2-1-2-7】勝率16.7%、複勝率41.7%や関屋記念【0-2-0-3】複勝率40.0%など好走はすべて左回りのレースだ。

ノースブリッジが該当する前走エプソムC1着は【2-1-1-3】勝率28.6%、複勝率57.1%。15年1番人気1着エイシンヒカリ、16年1番人気1着ルージュバックが勝利した。ノースブリッジのエプソムCは重馬場で行われ、前半1000m通過59.7、最初と最後の200mを除き、すべて11秒台という緩まない緊張感ある流れだった。これを3番手から押し切ったノースブリッジはいかにもモーリス産駒らしい持久力に富む。スローを嫌って自分でペースを握る可能性もある。

ダノンザキッドが当てはまる前走関屋記念について。13年6番人気2着ジャスタウェイは関屋記念2着、14年11番人気2着サンレイレーザーは関屋記念7着だった。ダノンザキッドが3着だった関屋記念はやや重で前後半800m48.4-44.9の超スロー。1、2番手が入れ替わって決着した。中団から上がり最速32.6を繰り出したダノンザキッドは流れが向かず、再評価したいが、再度スローになると差して3着までという場面もある。だが、ノースブリッジとの共存はあり得るタイプで、その点はうまく馬券に組み入れたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。

毎日王冠データインフォグラフィック,ⒸSPAIA



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