【スプリンターズS】今年は主役候補3頭! メイケイエール、ナムラクレア、シュネルマイスターをデータで徹底比較

高橋楓

2022年スプリンターズS_3強のデータ比較,ⒸSPAIA

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3強の成績比較 シュネルマイスターが一歩リード?

スプリンターズSといえば1996年のフラワーパークとエイシンワシントンの着差1cmの大激戦や、1998年のタイキシャトルが引退レースで初めて連対を外したシーンなどが思い出される。あの名勝負も約四半世紀前。月日の流れの早さにはいつも驚かされる。

さて、今週はメイケイエールのGⅠ初制覇が期待されるスプリンターズSが行われる。とはいえ3歳牝馬のナムラクレア、実力馬シュネルマイスターなど決して楽なメンバー構成ではない。

そこで今回は上位人気が予想されるメイケイエール、ナムラクレア、シュネルマイスターの3頭を過去の成績や持ちタイムなどから比較してみたい。

スプリンターズS 出走有力馬3頭の各成績,ⒸSPAIA


まずはこの3頭のGⅠでの成績を振り返ってみよう。

メイケイエール【0-0-0-4】
ナムラクレア【0-0-1-1】
シュネルマイスター【1-2-1-1】

1番人気が予想されるメイケイエールは阪神JFで4着。その後、2021年は桜花賞18着、スプリンターズS4着。今年に入り高松宮記念5着とGⅠでは結果を残せていない。池添謙一騎手とのコンビで好成績を出し始めているが、少し不安要素ではある。

ナムラクレアは2021年の阪神JFで5着、今年の桜花賞では3着。ともにマイル戦で6番人気ながら善戦した。一方、シュネルマイスターは2021年のHHKマイルC王者。その後3歳馬ながら安田記念に挑戦し3着、秋にはマイルCSでも2着と世代を越えてマイル戦線で活躍してきた。今年のドバイターフで初めて着外に敗れたが、帰国初戦の安田記念で2着に入り、国内GⅠでは馬券圏外になったことはない。大舞台での安定感は頭一つ抜けている。

次に芝1200mの成績を見てみよう。

メイケイエール【4-0-0-3】
ナムラクレア【3-0-1-0】
シュネルマイスター【未経験】

メイケイエールがこの条件で負けたのはGⅠの2戦と、桜花賞後に挑み逃げの手を打ったキーンランドC。デビュー2連勝の内容や前走の走りを見ると現状は芝1200mがベストな条件と言えるだろう。

ナムラクレアは複勝率100%。2走前の函館スプリントSでは斤量50kgと有利だったとはいえ、並みいる古馬たちを一切寄せ付けない大楽勝劇を見せてくれた。前走の北九州記念は初めて1200m戦で黒星がついたが、1分7秒1の自己最速タイムをマークした。

シュネルマイスターは今回が1200m戦初挑戦。過去に経験した一番短い距離はデビュー戦の1500m。ちなみに母のセリエンホルデは2016年のドイツオークス馬で、主に2000m以上で活躍した中距離馬だった。それもあってか2戦目以降はマイル以上の距離を走っている。スプリント戦のスタート後のポジション争いについていけるかが大きなポイントになりそうだ。

メイケイエールの前走が秀逸! 3強の持ち時計などを比較

スプリンターズS 出走有力馬3頭のタイム別成績,ⒸSPAIA


次に3頭の1200m戦での持ち時計と上がり3ハロンの自己ベストを比較してみよう。

メイケイエール 1分6秒2(上がり3ハロンベスト32.9秒)
ナムラクレア 1分7秒1(上がり3ハロンベスト33.6秒)
シュネルマイスター 未出走(上がり3ハロンベスト32.9秒)

まずはメイケイエールから見ていこう。前走のセントウルSをレコードで勝利し重賞6勝目をゲット。2012年3月の馬場改修後に当該コースで1分6秒台を記録したのは、2016年の高松宮記念を1分6秒7で勝利したビッグアーサーと、0.1秒差で2着だったミッキーアイルのみ。それだけに1分6秒2という勝ちタイムがどれほど速いかが分かる。セントウルSは掲示板の5頭が1分6秒台で走っているため、馬場コンディションと展開がもたらした結果と言えるかもしれないが、軽視は禁物だ。

ナムラクレアの持ちタイムは前走の北九州記念でマークした1分7秒1。直前まで稍重発表だったのでメイケイエールとの差はそこまで気にする必要はなさそう。とはいえ、少しレースレベルに疑問がある。稍重のなか行われた9レースの3歳以上2勝クラスの勝ち時計が1分6秒9でそれよりも0.2秒遅いことや、北九州記念を勝ったボンボヤージがその後セントウルSで10着に敗れているからだ。

シュネルマイスターは今回が初めてのスプリント戦になる。上がり3ハロンタイムを比較してみると、メイケイエールとシュネルマイスターが32.9秒、ナムラクレアは33.6秒。メイケイエールは過去12戦中2戦しか上がり最速を記録したことがなく、3歳以降は前から5番手以内につけ、切れる脚を使う他馬を抑え込むレースが多い。それだけに4コーナー5番手から32.9秒の上がり最速タイムを記録した前走は、他の馬はお手上げだった。

ナムラクレアはファンタジーSを2着した辺りまでは相手関係もあり、上がり最速を記録する競馬が続いていたが、その後は相手なりのレースとなっている印象。とはいえコースや距離が変わってもコンスタントに33.6~34.4秒の脚を使えるのがこの馬の強み。現状でメイケイエールに勝つには2kgの斤量差を活かし、前で競馬をすることになるだろうか。

シュネルマイスターは去年の安田記念以外つねに上がり3ハロン3位以内の末脚を使っている。ただし先述の2頭よりも後ろでの競馬が多いこと、エンジンの掛かりがやや遅いことを考慮したレース運びが出来るかが、今回は重要となりそうだ。

中山・芝1200m成績比較 横山武史騎手が複勝率40%越え

スプリンターズS 出走有力馬3頭の中山・芝1200m成績,ⒸSPAIA


最後に近10年間で行われた中山芝1200m戦の集計データから、それぞれの父の産駒成績と騎乗予定騎手の成績を比較してみたい。

ミッキーアイル産駒【0-1-0-12】
Kingman産駒【0-1-1-5】

メイケイエールとナムラクレアの父は同じミッキーアイル。2020年の新馬戦から産駒がデビューしたばかりなのでサンプルは少ないが、ミッキーアイル産駒が中山の芝1200m戦で未勝利だったのは少々意外だった。決して下位人気の馬ばかりではないので、少し気になるデータだ。

シュネルマイスターの父Kingmanの産駒はヨークテソーロとチルノの2頭しか走っていない。しかし、それぞれ人気薄で馬券内に絡んでいるところを見ると、決して苦手なコースではなさそうだ。

次に騎乗予定の3名の騎手の成績を見てみよう。

池添謙一【1-1-1-16】
浜中俊【1-0-0-15】
横山武史【8-6-7-36】

メイケイエールに騎乗予定の池添謙一騎手は栗東所属で騎乗機会は少ないが、13番人気のショウナンバビアナで勝った2021年セプテンバーSや、15番人気のマヤノリュウジンを3着に突っ込ませた2013年スプリンターズSなど決して悪い印象はない。単勝一桁台の馬で挑んだのは4回しかないだけに、そこまで気にする成績ではないだろう。

ナムラクレアに騎乗予定の浜中俊騎手も栗東所属で、中山芝1200mは年に3回程度しか騎乗していない。とは言え、今年のセプテンバーSをスノーテーラーで勝ったばかり。これ以外で馬券に絡めていないのは少々気がかりだが、バッサリと切るのは早計だろう。

最後にシュネルマイスターに騎乗予定の横山武史騎手。近年は人気馬に乗るケースも増え成績は上昇傾向。特別戦に限ると【2-4-4-13】と勝ち切れてはいないが、複勝率は43.5%とハイアベレージ。今回はしっかりとレース展開を読んで末脚を活かしたい。

今年はメイケイエールが主役となりそうだが、当日の気分を見てから決めたいタイプの馬。ポイントはシュネルマイスターの位置取りになりそうだ。


2022年スプリンターズS_3強のデータ比較,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。

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