【セントウルS】ソングラインは“買い”か“消し”か 「マイルGⅠ馬のスプリント挑戦」を分析

東大ホースメンクラブ

マイルGⅠ馬のスプリント挑戦に関するデータ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

マイル王・ソングライン始動

今週日曜、中京競馬場でGⅡセントウルSが行われる。秋GⅠシーズン開幕戦・スプリンターズSへの重要な前哨戦に、重賞5勝馬メイケイエール、安田記念覇者ソングライン、ここ2戦で中京のオープン連続2着のダディーズビビッドなどが参戦する。

注目はソングライン。この春日本のマイル王を襲名した4歳牝馬は米GⅠ・BCマイル遠征も視野に、スプリントの舞台を始動戦に選んだ。この秋はスプリンターズSでもNHKマイルC勝ち馬シュネルマイスターの参戦が予定されている。そこで今週は「マイルGⅠ馬のスプリント挑戦」をテーマに、過去の同様の例を振り返っていく(データは1986年以降にJRAマイルGⅠを制した馬を対象とする)。

分水嶺は「2番人気」

マイルGⅠ馬のスプリント挑戦成績(1),ⒸSPAIA


<マイルGⅠ馬のスプリント挑戦成績(1)>
全体成績【10-15-8-60】勝率10.8%/連対率26.9%/複勝率35.5%
2番人気以内【8-11-1-9】勝率27.6%/連対率65.5%/複勝率69.0%
3番人気以下【2-4-7-51】勝率3.1%/連対率9.4%/複勝率20.3%
※1986年以降

まずはマイルGⅠを制した馬がのちに1200m重賞に挑戦した際の全体成績を確認する。なお、JRAの1200m重賞を既に勝ったことがあるケース(たとえば2013年安田記念勝ち馬ロードカナロアなど)は趣旨から外れるため除外する。

全体成績の複勝率は35.5%。おおよそ3頭に1頭しか馬券圏内に入っておらず、GⅠを制した脚力をもってしても簡単には通用していない事実が浮かび上がる。単勝回収率41%・複勝回収率86%と妙味も微妙なところだ。

ただし、2番人気以内に限れば話は別。7割近い複勝率を記録している上、複勝回収率が118%と黒字域に達している。該当馬のうち前走勝ち馬なら【4-6-0-2】と連対率が8割を超えている。ソングラインが2番人気以内に推されれば条件クリアだ。

対照的に3番人気以下では複勝率2割強にとどまっており、GⅠ・GⅡでは【0-3-3-34】と勝利がない。近年ではレッツゴードンキ、インディチャンプがGⅠの舞台で健闘しているものの、ラウダシオン・サリオス・グレナディアガーズが一定の評価を受けながら二桁着順に敗れており、消したほうが期待値は高い。

2着付けの選択肢も

マイルGⅠ馬のスプリント挑戦成績(2),ⒸSPAIA


<マイルGⅠ馬のスプリント挑戦成績(2)>
牝馬【7-10-3-28】勝率14.6%/連対率35.4%/複勝率41.7%
距離短縮【9-13-7-39】勝率13.2%/連対率32.4%/複勝率42.6%
中京芝1200m【1-8-4-24】勝率2.7%/連対率24.3%/複勝率35.1%
※1986年以降

その他の条件についても成績を概観していく。

ソングラインに追い風となるのは牝馬の好成績。レッツゴードンキ・グランアレグリア・レシステンシアといった面々がGⅠでも結果を残しているように牡馬よりも有意に数字が高く、スピード勝負に対応しやすいようだ。

前走から距離短縮となる馬でも4割強の複勝率で、複勝回収率105%は十分に威張れる数字。前走マイルだと【8-6-4-21】複勝率46.2%、前走東京芝1600mなら【4-2-2-8】。ちなみに、ここまではスプリンターズSに出走予定のシュネルマイスターにも当てはまる。その東京芝1600mで1着だと【3-0-0-0】と例は少ないものの全て連勝を決めている。

好データづくめのソングラインにとって、唯一の懸念は勝利が1例(2021年セントウルS・レシステンシア)しかない中京が舞台であること。ほとんどがGⅠ高松宮記念(高松宮杯)という事情はあるものの、軒並み敗北を喫している。ただ、複勝率はそう変わらないため、取りこぼしての2・3着というイメージで買う選択肢はありそうだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【セントウルS】メイケイエール、ソングライン、ボンボヤージも好走候補! コースデータから浮上する穴馬は
【京成杯AH】カギは芝1800m戦の中京記念 逆転候補はファルコニア、ミスニューヨークとシャーレイポピー
【紫苑S】今年もサークルオブライフなど春の実績馬が有力 上がり馬には気になるデータあり

おすすめ記事