【セントウルS】メイケイエール、ソングライン、ボンボヤージも好走候補! コースデータから浮上する穴馬は

勝木淳

セントウルSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

開幕週で先行勢に利がある舞台

北九州記念覇者ボンボヤージがサマースプリントシリーズ王者を狙い、メイケイエール、ソングラインは秋GⅠに向けて休み明けの一戦。サマーシリーズ最終戦とスプリンターズSの前哨戦、今年もセントウルSはそれぞれの出走意図がはっきりしている。

この10年間では13年ハクサンムーン、14年リトルゲルダ、19年タワーオブロンドンはここを勝ってサマー王者に輝き、2着でポイント加算した17年ラインミーティアを合わせると4頭。また12、13年2着ロードカナロア、18年ファインニードル、20年ダノンスマッシュ、21年レシステンシアなど実績馬も休み明けから好走している。

さて、今年は夏に走った馬と休んだ馬、どちらに凱歌があがるだろうか。今年も舞台は中京芝1200m。データは12年以降中京芝1200m、古馬のオープンと重賞29レースを集計、コース傾向を中心にとりあげる。

過去10年同舞台人気別成績,ⒸSPAIA


波乱の多い短距離戦ではあるが、中京芝1200mのオープン以上となると、1番人気【8-4-4-13】勝率27.6%、複勝率55.2%、2番人気【8-6-4-11】勝率27.6%、複勝率62.1%、3番人気【6-5-6-12】勝率20.7%、複勝率58.6%と上位人気は堅実。4番人気が【4-0-3-22】勝率13.8%、複勝率24.1%なので、ここに境目がある。以下はとりたてて傾向があるわけではなく、2、3着の人気薄はあり得る。昨年は1、2、4番人気。基本的には大きな波乱は少ないか。

過去10年同舞台脚質別成績,ⒸSPAIA


スタートから緩やかにのぼり、3、4コーナーくだり、直線急坂といった構成の中京芝1200mは比較的ハイペースになりにくく、平均的な流れになりやすい。とはいえ、昨年は前後半600m32.9-34.3の前傾ラップ。出走メンバー次第ではある。今年は6戦連続逃げたアスタールビーこそいるが、はたしてどうだろうか。

昨年も1、3着は先行型で2着は4コーナー6番手。基本的には前が優位。コースの位置取り別成績は先行【13-7-9-75】勝率12.5%、複勝率27.9%でトップ。逃げは【1-1-5-22】勝率3.4%、複勝率24.1%と3着が多い。差しは中団【12-17-11-178】勝率5.5%、複勝率18.3%まで。その中団も2着が多く、勝ちきれない。開幕週だけに基本的には先行勢をマークしたい。

穴候補は中京巧者ダディーズビビッド

コースの特徴は上位人気堅実、先行優勢。では前走戦歴の傾向はどうだろうか。距離に注目して掘り下げてみたい。

過去10年同舞台前走距離別成績,ⒸSPAIA


1200m戦なので、延長に当たる前走1200m未満は該当距離がJRAでは1000m戦のみ。該当馬は【0-0-1-10】複勝率9.1%。注目すべきは短縮の前走1200m超【13-16-9-143】勝率7.2%、複勝率21.0%。ここにメイケイエール、ソングラインが該当する。

過去10年同舞台距離短縮組距離別成績,ⒸSPAIA


短縮の距離内訳は1400m【9-13-7-102】勝率6.9%、複勝率22.1%、1600m【4-3-2-40】勝率8.2%、複勝率18.4%。前者はメイケイエール、ダディーズビビッド、後者はソングライン、ジャングロも該当する。ポイントはイメージしにくいマイルからの短縮も通用するという点だ。1200m未経験のソングラインも軽視はできない。またジャングロは1200m2勝で短縮は望むところだろう。

過去10年同舞台距離短縮組脚質別成績,ⒸSPAIA


ではその前走の位置取りはどうだったのか。逃げ【2-2-1-6】勝率18.2%、複勝率45.5%、先行【6-4-5-37】勝率11.5%、複勝率28.8%、中団【4-4-2-67】勝率5.2%、複勝率13.0%、後方【1-6-1-31】勝率2.6%、複勝率20.5%。全体的には前に行った馬の成績がいい。やはり1200m超でもスピードを見せていた馬を狙いたい。そうなると中京巧者ダディーズビビッドと、前走4コーナー5番手、危うさもあるが先行意識もあるメイケイエールだろうか。

過去10年同舞台前走同距離組着順別成績,ⒸSPAIA


では前走同距離【17-12-19-248】勝率5.7%、複勝率16.2%はどんな傾向か。着順別の成績を出すと、上位好走馬は前走2着【4-3-3-18】勝率14.3%、複勝率35.7%など好成績。前走5着【4-0-3-16】勝率17.4%、複勝率30.4%までで、6~9着だと【1-4-5-60】勝率1.4%、複勝率14.3%。ここにデータの段差がある。ボンボヤージ、サンライズオネストらが候補となる。

2022年セントウルSインフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


《関連記事》
トップはキタサンブラックの18億7684万円 アーモンドアイは何位?競走馬JRA獲得賞金ランキング
2022年上半期のGⅠデータまとめ 「平地は1番人気全敗」「武豊騎手がダービー6勝目」
クラブ選びや出資馬選定など一口馬主の始め方をご紹介! 毎月かかる費用などお金事情も詳しく解説

おすすめ記事