【紫苑S】今年もサークルオブライフなど春の実績馬が有力 上がり馬には気になるデータあり

勝木淳

紫苑Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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秋華賞に向けて重要トライアル

16年にGⅢになってから、紫苑S組は秋華賞で18年以外は連対馬を送っており、その存在感を増している。それは春のクラシック活躍馬の出走が目立つこととイコール。一昨年マルターズディオサ、昨年ファインルージュが休み明けでここを勝って、好発進。今年も春の実績馬が名を連ねる。ここを勝ち、勢いよく、二冠馬スターズオンアースが待つ最後の一冠に挑みたい。データは重賞昇格後の過去6年分を使用する。

過去10年紫苑S人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%、2番人気【3-0-0-3】勝率、複勝率50.0%と実績馬がそろう一戦とあって上位は堅実。6番人気【0-2-0-4】複勝率33.3%までの成績がよく、大穴もあるが、まずは上位人気勢から考えたい。

過去10年紫苑S脚質別成績,ⒸSPAIA


秋の中山は4月以来の開催、ひと夏越した直後とあって1年間でもっとも馬場状態がいい。その開幕週にある紫苑Sは先行優勢ではあるものの、逃げは【0-0-1-6】複勝率14.3%とイマイチ。開幕週のトライアルレース、小回り中山ということで、各馬の押し上げは早い。それでも先行は【2-2-2-13】勝率10.5%、複勝率31.6%と好成績。

しかし注意したいのは、最近の秋の中山は開幕週でも差し馬勢が活躍するという点。もともと芝2000mは最初の直線が長く、前半のペースが上がりやすい。その上、2度の坂越えと先行勢には辛いコースだ。中団【3-4-3-35】勝率6.7%、複勝率22.2%まではチャンス十分。それでも後方は【0-0-0-30】。まくり【1-0-0-1】勝率、複勝率50.0%を含め、ある程度の位置にいるか、コーナーで進出する器用さが欲しい。


オークス大敗馬も巻き返す

上位人気堅調、中団までにつけられる前半の脚が必要、という傾向をつかんだところで、次は前走成績から好走候補を絞っていきたい。

過去10年紫苑S前走クラス別成績,ⒸSPAIA


かつては夏に下級条件を勝った組も好走していたが、重賞昇格後はやはり前走GⅠ【3-3-3-20】勝率10.3%、複勝率31.0%、なかでも前走オークス【3-3-3-17】勝率11.5%、複勝率34.6%が強い。今年も2着スタニングローズなどそろった。

過去10年紫苑S前走オークス組着順別成績,ⒸSPAIA


オークスでの着順別成績はスタニングローズの2着【0-0-1-0】など好走した馬もいいが、オークス10着以下も【2-1-1-9】勝率15.4%、複勝率30.8%と巻き返す。競走除外のサウンドビバーチェはなんともいえないが、11着ライラック、12着サークルオブライフも再出発を決める可能性は十分ある。

今年のオークスは上記サウンドビバーチェがスタート地点で放馬、競走除外となり、発走時刻が遅れるハプニングがあった。その影響でレース前に気が抜けてしまった馬も多く、サークルオブライフも敗因としてそれをあげていた。レースは前半1000m通過1.00.6と極端に緩まず、後半800m11.6-11.3-11.7-11.8のロングスパート型。アートハウスらが早めに動き、最後はスタミナを問う流れだった。

ライラックもサークルオブライフも後方で終わってしまったが、これは真に受けたくない。ライラックは前後半800m47.6-47.6のイーブンペースだったフェアリーSを差し切り。いかにも中山向きのタイプだ。このときスターズオンアースを負かしており、早めにレースが動くトライアルもいいだろう。

オークス1番人気だったサークルオブライフはアルテミスSや阪神JFなど、エンジンのかかりは遅いものの最後まで伸びる競馬が目立つ。直線が長いコースの方がよさそうだ。ただ、休み明けのチューリップ賞は内枠から先行して3着に入ており、決めつけたくはない。前半もたつくようなら2、3着までといった場面もあるだろう。ただ、緩い流れになり、同じトライアルということでチューリップ賞のような競馬をすれば、話は別。展開と枠順はチェックしたい。

上がり馬は1、2勝クラスあわせて【2-2-2-42】。このうち前走1着は【2-1-2-26】勝率6.5%、複勝率16.1%。今年は北海道で勝ちあがった組が多い点が特徴だ。

過去10年紫苑S前走1・2勝クラス組コース別成績,ⒸSPAIA


今年は前走2勝クラス勝ちの馬が不在。1勝クラス勝ちのコルベイユが当てはまる前走函館芝1800は【0-1-1-2】複勝率50.0%。権利獲得の可能性はある。ここも連下候補として掘り下げたい。

過去10年紫苑S前走1・2勝クラス組脚質別成績,ⒸSPAIA


しかし、その位置取り別成績が厄介で、逃げは【0-0-0-5】で好走がない。紫苑Sの位置取り別成績で触れたが、逃げは苦戦傾向。前走1、2勝クラスを逃げ切った馬はやはり苦しい。トライアルでもあり、逃げたいクチは多いと想定され、展開上不利。結果的に実績上位馬優位のレースになる公算は高い。

2022年紫苑Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



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