【ユニコーンS】トレンドはオープン組 ヴァルツァーシャルが前走「馬体重」と「着順」好データに合致

門田光生

ユニコーンSの前走着順別成績(過去10年 ※2013年は3着同着),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

出世レースを制するのは? 前走重賞組よりオープン組が狙い

2022年6月19日に東京競馬場で行われる第27回ユニコーンS。近5年だと2017年サンライズノヴァ(南部杯)、2018年ルヴァンスレーヴ(チャンピオンC)、2019年ワイドファラオ(かしわ記念)、2020年カフェファラオ(フェブラリーS)と、のちに大きいレースを制する馬が勝っており、文字通り出世レースとして存在感を見せている。

上記の4頭はいずれも3番人気以内に支持されており、ここ10年の平均単勝配当も6倍を切るという本命レース。ただし、3連単は5年連続で万馬券、昨年は80万弱の高配当が飛び出した。このことからヒモ荒れする傾向と予想できるが、果たしてどんなデータが出てくるのだろうか。今回も過去10年の成績を基にして勝ち馬を探していきたい。

ユニコーンS出走馬の所属,ⒸSPAIA
ユニコーンS出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
美浦所属4勝(8連対)、栗東所属6勝(12連対)、そして地方所属馬は1頭で着外。勝率、連対率も栗東所属馬の方が上だが、大きな差はなく栗東優位とまでは言えない。余談だが、栗東所属馬の成績は【6-6-6-66】。6のゾロ目は幸運か、それとも不吉なのか。個人的には単発(パチンコ。一般的に奇数が確変)を思い出すので、あまり好きではないです。

牝馬で連対したのは2013年サウンドリアーナと、2014年コーリンベリー(いずれも2着)の2回だけ。牝馬の出走頭数自体が少ないのも傾向のひとつで、近くに川崎で行われる関東オークス(3歳牝・ダート2100m)の存在も影響しているのだろう。なお、今年は登録馬全頭が牡馬となっている。

ユニコーンS出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走
前走をクラス別に見ていこう。前走重賞組(JRA)は【1-0-0-10】とさっぱりだが、11頭とも芝の重賞だから仕方がない。ちなみに前走が条件戦を含む芝のレースだと【1-0-0-14】。唯一の連対馬は、前走でNHKマイルCを走っていた2020年のワイドファラオだ。

好成績を挙げているのは【2-1-0-5】の前走地方組で、連対した3頭はいずれも兵庫チャンピオンシップを使っていたが、今年は該当馬がいない。

最も連対が多いのはオープン組の14連対。ここ5年の連対馬10頭中、9頭が前走オープン組。近年のトレンドでもあるようだ。また、ドバイやサウジ帰りの馬は5頭出走しているが、2013年ケイアイレオーネの3着が最高着順で過信は禁物。

ユニコーンS出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
勝ち馬の最少キャリアは2020年カフェファラオの2戦。キャリア3戦から勝ち馬は出ていないから、一昨年は例外といっていいかもしれない。キャリア4~7戦まで複数の勝ち馬を出しており、このあたりが本線。キャリアが8戦を超えると1着馬が出ておらず、キャリア9戦以上だと連対馬もいなくなる。

ユニコーンSにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
ユニコーンSにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
その他のデータで気になったものを取り上げていく。まずは前走馬体重。ダートは馬格がある方が有利な傾向で、このレースも同様。具体的には、前走を470キロ以上で出走した馬が18連対している。また、前走4着以内の馬も同様に18連対。この2つのデータはクリアしておきたいところ。

一方、マイナスデータでは、中2週以内だと【1-0-1-20】。余裕を持ったローテーションの方が好結果につながっているようだ。

前走着順に注目

ここでユニコーンSのデータをまとめてみる。まず好走確率が上がるのはA「前走がオープン」B「前走馬体重470キロ以上」C「前走4着以内」。好走確率が下がってしまうのはD「前走が重賞」E「キャリア8戦」F「中2週以内」。連対データがないのはG「キャリア9戦以上」H「海外帰り」。

今回の登録馬で、プラスデータをすべて満たして、かつ割引データを持たないのはヴァルツァーシャル、ハセドン、リメイクの3頭。ここで注目したいのは前走着順。ハセドンとリメイクは前走1着、ヴァルツァーシャルは前走4着。前走1着馬は【3-5-7-61】と8連対だが、勝率は3.9%で威張れる数字ではない。

対する前走4着は【2-1-1-5】で、サンプル数が少ないものの勝率22.2%だ。というわけで、今回はヴァルツァーシャルを狙ってみたい。2走前の末脚が強烈で、重賞でも通用するはずだ。相手はハセドンとリメイクが有力候補となる。

ほかの有力馬を探してみよう。

前走で芝、もしくはJRAの重賞を使って連対したのは2019年のワイドファラオだけ。そのワイドファラオと同じNHKマイルC経由組はインダストリアとタイセイディバインの2頭。タイセイディバインは連対例がない「キャリア9戦以上」に引っかかるので、インダストリアの方を押さえたい。

あとは前走オープンで3着と好走しているバトルクライもマークする。キャリア8戦が割引だが、9戦以上と違って連対馬は出ているので押さえておいた方が無難だ。

前走で1勝クラスを走っていた馬は過去に55頭いて、連対したのは2012年のストローハット(1着)だけ。そのストローハットは初ダートの前走を快勝し、ユニコーンSでも1番人気に支持されたほど。早くからダートに使っていれば、少なくともこの時期に1勝クラスを走っていることはなかったと思われる。

今年登録している、前走1勝クラスを走った6頭でそのパターンに当てはまる馬はいないので、すべてノーマークとしたい。また、前走を海外で走った馬も同様に結果が出ていないということで、コンバスチョンとセキフウの能力は認めつつ、今回は見送りとしたい。

◎ヴァルツァーシャル
◯ハセドン
▲リメイク
△インダストリア
×バトルクライ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ジャンクフードが大好きなんですが、最近は食べた翌日、高確率で胃がキリキリします。以前はポテトLサイズを2つ頼んでいたのですが、今はとても無理です。歳ですね……。

《関連記事》
【ユニコーンS】馬券のカギは青竜S組の取捨にあり!  データはハセドン、ヴァルツァーシャルに追い風
【マーメイドS】格上挑戦がもっとも決まる波乱の古馬重賞 今年はヴェルトハイムの出番だ!
「ハンデ重賞」を東大HCが徹底分析! 「.5kg」は激走のサイン

おすすめ記事