【ユニコーンS】未来のダート王者を占う重賞 2015年はソダシの母・ブチコと今も現役ノンコノユメが対戦

緒方きしん

ユニコーンS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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未来のダート王を輩出するユニコーンS

エプソムCは今年も1番人気馬が4着に敗れる波乱。8番人気ガロアクリークの猛追をクビ差で凌ぎ勝利をもぎ取ったのは、4番人気ノースブリッジだった。金鯱賞を制したジャックドールに続き、モーリス産駒からマイルよりも長い距離での活躍馬が登場した。

さて、今週はユニコーンS。素質溢れる3歳ダート馬が集結する一戦で、これまで多くの活躍馬を輩出してきた。過去の勝ち馬も、タイキシャトル、アグネスデジタル、カネヒキリやルヴァンスレーヴなど、時代を彩ってきた名馬たちがズラリと並ぶ。

今年も楽しみな素質馬が顔を揃えた。サウジダービー2着セキフウ、全日本2歳優駿2着コンバスチョン、現在3連勝中のリメイク、ダート転向後は無敗のモーリス産駒・ハセドンも同じく3連勝中。ダート未経験勢からは、NHKマイルC5着のインダストリア、ファルコンSとアーリントンCで2着のタイセイディバインらが参戦する。まさに才能のぶつかり合いになりそうなメンバーだ。今回は、ユニコーンSの歴史を振り返る。

伏兵が活躍するアツい重賞

ユニコーンS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年で1番人気馬は2勝。2007年に1番人気ロングプライドが制して以降、14年連続で1〜3番人気馬が制してきたが、昨年は7番人気のスマッシャーが勝利。久々に伏兵が勝ち星を掴み取った。さらに14番人気サヴァが2着に残り、馬連は506.0倍という高配当になっている。

2020年まで人気馬が勝ち続けていたとはいえ、力関係がはっきりしていない3歳ダート戦ということもあり、伏兵の好走も珍しくない。2020年には11番人気ケンシンコウが3着、2015年には9番人気ノボバカラがノンコノユメの2着に入り馬連は91.8倍となった。

また、1番人気が馬券圏内に必ず来るとも限らない。波乱となった昨年の1番人気ラペルーズが13着になった以外にも、2019年のデアフルーグは7着、2017年のリエノテソーロも7着、2014年のアジアエクスプレスは12着など、苦戦することも多い。特にアジアエクスプレスは単勝1.3倍の圧倒的人気を集めていたこともあり、1着レッドアルヴィスは3番人気ながら単勝は13.1倍、4番人気コーリンベリーとの馬連は81.3倍となっている。

ダート界を盛り上げ続ける10歳馬ノンコノユメ

2015年ユニコーンS勝ち馬ノンコノユメの父は、トワイニング。アメリカで6戦5勝という戦績を残した重賞馬で、1994年に引退してからは日米豪で種牡馬として活躍した。日本では2007年東スポ杯2歳S勝ち馬フサイチアソート、2010年平安S勝ち馬ロールオブザダイスなどを輩出。しかし6月21日にノンコノユメが勝利した翌週、大動脈破裂でこの世を去った。

同年のユニコーンSで2着だったノボバカラの父はアドマイヤオーラ。こちらは名牝ビワハイジを母に持つ良血馬で、現役時代には2007年シンザン記念でダイワスカーレットを撃破するなどの活躍を見せたが、2015年3月3日に急逝してしまう。さらにノンコノユメが次走のJDDで撃破したクロスクリーガーもまた、アドマイヤオーラの産駒だった。

ノンコノユメは秋の武蔵野Sでも古馬を相手に勝利し、4連勝。チャンピオンズCとフェブラリーSでは敗れたがどちらも2着と、ダート界での地位を築き上げた。しかし次第に馬っ気が増したため、去勢してセン馬に。そうした試行錯誤もありながら4歳、5歳を未勝利で過ごしたノンコノユメだったが、6歳に根岸S→フェブラリーSと連勝し、遂に古馬GⅠタイトルを獲得した。

さらに7歳シーズンには地方移籍すると、以降も2019年帝王賞で8番人気3着、2019年東京大賞典で5番人気2着、2021年帝王賞10番人気2着など、波乱の立役者として活躍している。

ソダシの母、ブチコも5着に

今年で10歳となったノンコノユメとノボバカラは今も現役を続けている。一方で、2頭が戦ったユニコーンSで5着だったブチコは5歳で引退し、今を時めく白毛のアイドルホース・ソダシを送り出している。競馬界を大いに盛り上げる功労馬たちだ。

また、トワイニング産駒とアドマイヤオーラ産駒で決着した2015年に負けず劣らず、2021年に掲示板に入った馬たちの父は、それぞれマジェスティックウォリアー、アイルハヴアナザー、ヘニーヒューズ、マクフィ、ディスクリートキャットなど実に多彩。今年もラニ、イスラボニータ、キタサンブラックやArrogateなどの産駒たちが出走を目指している。父を見ながら観戦するのも楽しいレースと言える。

ここから王道を歩む馬、自身が活躍できる場所を求め地方へと移籍する馬、はたまた海外で戦う馬も出てくるかもしれない。さらには3歳で引退する馬から、10歳まで活躍を続ける馬も出てくるかもしれない。そんな無限の可能性を秘めた若駒たちの激突を見守りたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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