【POG】5月生まれドウデュースがダービー制覇 GⅠ馬の「生まれ月」を徹底調査

東大ホースメンクラブ

ダービーまでの2、3歳GⅠ、生まれ月別勝利数,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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ダービーからダービーへ、競馬界の年明け

ダービーまでの2、3歳GⅠ、生まれ月別勝利数,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


先週の日本ダービーではドウデュースが世代の頂点に立った。戦前の4強ムードを断ち切った豪脚は鮮やかの一言で、武豊騎手とオーナーのキーファーズが夢見た凱旋門賞制覇へ一歩前進。秋のロンシャンで日本馬の悲願成就なるか注目が集まる。

一方で今週からは早くも2歳戦がスタート。ダービーを区切りとする競馬界の「新年」が幕を開ける。それと同時に、愛好家の方にとってはPOGの指名馬に頭を悩ませる時期でもある。前述のダービー馬・ドウデュースは5月生まれ。一般的に2、3歳戦では不利とされる“遅生まれ”の馬であった。今週のコラムは「生まれ月」をテーマに、過去の2歳~3歳春GⅠ勝ち馬の傾向をデータで検証していく。(データは1986年以降)。

3、4月生まれでGⅠ全体の6割超を奪取

生まれ月別 2、3歳限定GⅠ勝利数(1986年以降),ⒸSPAIA


まずは2、3歳限定GⅠの勝ち馬を生まれ月別で確認していく(集計は3歳春、ダービーまで)。

最も多かったのは4月生まれ。三冠馬コントレイル、三冠牝馬アパパネなど68頭で延べ84勝を積み重ねている。全体における割合は33.2%。現3歳世代における4月生まれの頭数がおおむね3割程度で、標準的な数字といってよいだろう。

2番手で追うのが3月生まれ。ブエナビスタが阪神JF・牝馬二冠を制して最多の3勝を挙げたのを筆頭に、日本競馬の至宝ディープインパクト、のちにGⅠ・9勝馬となるアーモンドアイ、二冠馬ドゥラメンテなどもここに該当。71勝・シェアは28.1%で、4月生まれとあわせて6割を超える勝ち星がある。

続いてナリタブライアンなどがいる5月生まれ(39勝、シェア15.4%)、ジェンティルドンナなどの2月生まれ(38勝、15.0%)がランクイン。

早生まれの1月勢は意外にも15勝のシェア6.2%にとどまるが、出生頭数との比率ではおよそ1.5倍。ダービー馬はマカヒキとロジャーバローズの2頭を輩出し、仕上がりの早さがモノを言う2歳戦においては、2019年朝日杯FSサリオス、2020年ホープフルSダノンザキッド、2021年ホープフルSキラーアビリティと3年連続でGⅠウィナーを輩出している。

そして最も希少なのが6月生まれ。30年以上の歴史でわずか6勝、最後の勝ち鞍は2006年カワカミプリンセスのオークス。その他1988年オークス馬コスモドリーム、1990年桜花賞アグネスフローラ、1993年皐月賞ナリタタイシン、2002年皐月賞ノーリーズンが該当。2歳戦を勝ったのは1989年の阪神3歳S(当時)を制したコガネタイフウただ1頭だ。

ちなみに同区分で7月以降に生まれ、GⅠに出走した馬は2006年NHKマイルCのキンシャサノキセキ(9月24日生まれ。南半球産)だけで、勝ち馬ロジックから0秒2差の3着に健闘している。南半球産馬から、いつの日か「超」遅生まれのGⅠウィナーが誕生するかもしれない。

2歳GⅠは「1月生まれのノーザンF生産馬」

2歳GⅠ 生まれ月別成績(1986年以降),ⒸSPAIA


<2歳GⅠ 生まれ月別成績(1986年以降)>
1月【7-9-2-50】勝率10.3%/連対率23.5%/複勝率26.5%
2月【14-15-21-153】勝率6.9%/連対率14.3%/複勝率24.6%
3月【17-27-21-296】勝率4.7%/連対率12.2%/複勝率18.0%
4月【29-19-28-283】勝率8.1%/連対率13.4%/複勝率21.2%
5月【9-7-5-133】勝率5.8%/連対率10.4%/複勝率13.6%
6月【1-0-0-10】勝率9.1%/連対率9.1%/複勝率9.1%

次に2歳GⅠにおける生まれ月別の成績を概観する。

前述した通り1月生まれの活躍が目立つ。ノーザンファーム生産馬に限ると【7-6-1-13】と過半数が馬券圏内に入り、単複回収率ともに100%を上回る。ホープフルSにはノーザンファーム生産の1月生まれ馬が3頭出走し2勝2着1回とパーフェクト連対を決めている。暮れまで覚えておきたいデータだ。

僅差で続くのが2月生まれで、こちらは穴馬券をよく出している。近年では2021年ホープフルS8番人気3着のラーグルフ、2020年朝日杯FSを7番人気勝ったグレナディアガーズ、2019年阪神JF6番人気2着のマルターズディオサなどが高配当を演出。以下4月生まれ、3月生まれも悪くない。

一方で遅生まれは苦しい戦いを強いられ、好走率が一段落ちる。このハンデを克服して勝ち切った馬はナリタブライアンやアドマイヤドン、メジロドーベルなどのちに更なるGⅠ勝ちを積み重ねる大物がずらりと並ぶ。冒頭で述べた通り、昨年の朝日杯FSを勝ったドウデュースも5月生まれで、先週のダービーでついに世代の頂点に立っている。

3歳GⅠは「3月生まれのノーザンF生産馬」

3歳GⅠ 生まれ月別成績(1986年以降),ⒸSPAIA


<3歳GⅠ 生まれ月別成績(1986年以降)>
1月【8-13-9-115】勝率5.5%/連対率14.5%/複勝率20.7%
2月【24-33-25-427】勝率4.7%/連対率11.2%/複勝率16.1%
3月【54-60-51-776】勝率5.7%/連対率12.1%/複勝率17.5%
4月【55-45-60-875】勝率5.3%/連対率9.7%/複勝率15.5%
5月【30-21-28-420】勝率6.0%/連対率10.2%/複勝率15.8%
6月【5-2-2-47】勝率8.9%/連対率12.5%/複勝率16.1%
9月【0-0-1-0】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率100.0%
※ダービーまでの馬齢限定GⅠのみカウント

最後にダービーまでの3歳限定GⅠについても見ていく。

1月生まれのアドバンテージは依然として残るものの、2歳戦に比べると遅生まれとの差がぐっと縮まってくる。1月生まれ馬がこの時期のGⅠで1番人気に支持された際は【0-0-2-5】と連対がない。2歳戦の活躍から過剰に人気が集まり、力をつけてきた他馬に逆転を許すというシーンが多々見られる。

そのほかで強調したいのが3月生まれで、特にノーザンファーム生産馬は【21-17-11-109】と複勝率が3割を超える。さらに3番人気以内に支持されていた馬は【21-10-6-13】複勝率74.0%、ダービーでは【5-3-3-2】複勝率84.6%を記録。着外に敗れたリアルスティールとサートゥルナーリアも4着で大崩れがない。今年唯一該当したイクイノックスはドウデュースとタイム差なしの2着に頑張っており、来年のダービーまで覚えておきたいデータだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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