【安田記念】ドバイ帰りシュネルマイスターに暗雲  ロータスランド、レシステンシアに激走の予感アリ!

勝木淳

安田記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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4歳優勢も5、6歳も複勝圏内なら

東京競馬場GⅠ・5連戦の最後は春のマイル王決定戦。4週間前のNHKマイルC、3週間前のヴィクトリアマイルからそれぞれ登録馬がおり、スプリント、ダート、海外、前哨戦と多種多様な臨戦過程が並ぶ。アーモンドアイ、グランアレグリアがいない今年は縦横の比較がしにくく、難解な勝負。春のGⅠ・5連戦のラスト、ここで当たれば、すべてを拭い去れそうな気がする。データは過去10年間のものを使用する。

過去10年安田記念人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気別成績。アーモンドアイを破ったグランアレグリアも1番人気での勝利はなく、1番人気はアーモンドアイ3、2着。グランアレグリア2着。この点も反映され、1番人気は【3-3-2-2】勝率30.0%、複勝率80.0%と連軸向き。反面、アタマをとれない。1番人気の勝利は15年モーリスが最後。同馬も翌年はロゴタイプの逃げに屈し、1番人気2着だった。

以後は2~4番人気はほぼ互角の成績。3番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%が目立つ程度。8番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%など伏兵の突っ込みも十分考えられる。10番人気以下【0-2-4-64】複勝率8.6%と複穴出現の確率もある。馬券は絞らずにゾーンを広く待ちたい。

過去10年安田記念年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では今週から組み込まれる3歳【0-0-1-2】。3着は昨年のシュネルマイスター。やはり世代限定のマイル戦を勝ち抜く強さは欲しい。主力は4歳【4-2-2-25】勝率12.1%、複勝率24.2%。グランアレグリアも4歳1着、5歳2着。スピードとその持続性を試される舞台では若さが優位に立つ。とはいえ、5歳【3-5-3-41】勝率5.8%、複勝率21.2%、6歳【3-2-3-37】勝率6.7%、複勝率17.8%とこの2世代も馬券圏内に来る可能性は互角だ。


海外帰りは前走1着が必要

格たる軸馬不在。大混戦の春のマイル王決定戦は人気、年齢ともに明確な差は見当たらず、どこからでも入れる状況に変わりなし。前走成績から絞り込んでみたい。

過去10年安田記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA


6月に入るこの時期は、多様な臨戦過程の馬が揃いクラスもバラバラ、GⅠ【3-5-2-30】勝率7.5%、複勝率25.0%が辛うじてリード。また前走海外は【1-1-1-15】勝率5.6%、複勝率16.7%。今年はドバイ帰りのヴァンドギャルド、シュネルマイスターが登録。海外組は前走1着【1-1-1-3】勝率16.7%、複勝率50.0%、2着以下【0-0-0-12】と勝利が条件。上記2頭はドバイターフ3、8着だった。はたして。

過去10年安田記念前走国内重賞レース別成績,ⒸSPAIA


国内重賞について内訳を出すと、目立つのは少数精鋭の高松宮記念【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%。今年は1、2着ナランフレグ、ロータスランドなど4頭が登録。10年で7頭なので、今年は異例。注目したい。

高松宮記念組の前走着順別成績は2着以内【2-0-0-0】。13年ロードカナロアが連勝、20年グランアレグリアは高松宮記念2着だった。好走が条件だとすると、ナランフレグとロータスランドになる。ナランフレグは昨年8月朱鷺S10着以来の1200m超出走。マイル戦は2歳11月ダートのカトレア賞以来2度目なので、未知数。春の香港がなく、秋のスプリンターズSまで間が開きすぎてしまうための苦肉の策でもある。

であればロータスランドは適性を感じる。それこそ1200mは高松宮記念が初出走。昨夏米子S、関屋記念を勝ったサマーマイルチャンピオン。東京マイルは昨年富士S10着のみだが、プラス18キロで勝った京都牝馬Sあたりから一段パワーアップした印象もあり、今回は面白そうだ。

レシステンシアの連続好走も

次に前哨戦を中心にこの春のマイル戦線からここで好走する馬を探していきたい。

過去10年安田記念前走京王杯SC組脚質別成績,ⒸSPAIA


頭数が多く確率は低いものの、京王杯SC【2-2-1-25】勝率6.7%、複勝率16.7%は着度数別ではトップ。といっても今年は3着タイムトゥヘヴンのみ。だが、その位置取り別成績をみると、1400mの京王杯SCで後方から競馬した馬は【2-2-1-7】勝率16.7%、複勝率41.7%。逃げ、先行、中団あわせて【0-0-0-18】なので、1400mの流れに乗れなかった馬の巻き返しが中心。タイムトゥヘヴンはこれに合致。つくづく除外対象は残念だ。回避馬が出るようなら狙いたい。

過去10年安田記念前走マイラーズC組人気別成績,ⒸSPAIA


もう一つの前哨戦マイラーズC【1-0-5-33】勝率2.6%、複勝率15.4%と、こちらも数が多いので目立たないが、3着が5頭も出ている点は見逃せない。ここはマイラーズCでの人気が目安。1番人気【0-0-2-6】複勝率25.0%を筆頭に3番人気以内【1-0-3-14】。6~9番人気【0-0-2-10】が気になるものの、まずはマイラーズC上位人気に注目。1番人気2着ホウオウアマゾン、2番人気7着カラテが該当。6番人気1着ソウルラッシュを入れつつ、この3頭が候補か。

過去10年安田記念前走マイラーズC組人気別成績,ⒸSPAIA


2着ファインルージュ、3着レシステンシア、5着ソングラインと上位馬が登録してきた前走ヴィクトリアマイル【0-4-0-11】複勝率26.7%について。さすがに牝馬で中2週という短い出走間隔、かつ東京マイルGⅠ連続出走とあって、勝ち馬は出ていないが2着馬は4頭出ている。

同じマイル戦ということで、位置取り別成績をみると、流れに乗っていたかが重要で、後方だった馬は【0-0-0-3】、逃げ、先行、中団は【0-4-0-8】。前から順番に優位であるデータから、レシステンシア、ファインルージュ、ソングラインの順番で評価。レシステンシアは5歳になって、本来の距離適性が出つつあるようで、いまならスプリントよりマイルがいいのではないか。

ダノンザキッドの前走中山記念は【0-1-0-2】。17年中山記念3着からロゴタイプが好走した。またカフェファラオのフェブラリーSは【0-0-0-1】、12年スマイルジャック8着のみ。芝適性は函館記念9着だけでは判断が難しい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


安田記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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