【京王杯SC】優位は実績最上位のメイケイエール　逆転候補はシャインガーネット、タイムトゥヘヴン、ワールドバローズ

2022/05/08 17:00

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

京王杯スプリングＣ

GⅡ

5月14日(土)　東京11R

4、5歳優勢もベテラン勢に注意

安田記念は以前から中距離中心に使われ、スピードとスタミナを兼備した馬が優位とされてきた。本番より200m短い1400mで行われる京王杯SC組は前哨戦の割に苦戦傾向。近年では安田記念を目指すというより、1400mのスペシャリストにとっての春最大目標になりつつある。

今年の顔ぶれもスプリント寄りのメイケイエール、シャインガーネットやマイル戦が主戦場のタイムトゥヘヴン、ラウダシオンと、ともすると東京マイルは微妙に距離が長いといった馬たち。混戦模様で迷いが生じそうな一戦。ここが目標という意気込みを買いたい。ここでは過去10年間のデータを使用して傾向を探っていく。

過去10年京王杯SC人気別成績,ⒸSPAIA

1番人気は【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%と極端な傾向。必ずしも信頼できる数字ではなく、スプリント、マイル両戦線の交差点といったこのレースの特徴がみえる。買う側の評価に迷いもあるということだ。

2番人気【2-2-3-3】勝率20.0%、複勝率70.0%が連軸向きで、複勝率ベースだと7番人気【0-2-2-6】複勝率40.0%までは十分買える。10番人気以下【1-3-1-63】勝率1.5%、複勝率7.4%なので、手広く考える必要はあるが、人気上位7頭のなかに好走馬がいる確率が高い。

過去10年京王杯SC年齢別成績,ⒸSPAIA

年齢別成績では4歳が【4-0-4-34】勝率9.5%、複勝率19.0%、以下5歳【3-4-4-35】勝率6.5%、複勝率23.9%、6歳【1-3-2-34】勝率2.5%、複勝率15.0%、7歳以上【2-3-0-25】勝率6.7%、複勝率16.7%。勝率では4歳がリード、複勝率は5歳が上位ではあるものの、6歳以上も決して見劣らない。今年も上位人気は4、5歳中心の公算が高いが、ミッキーブリランテらベテランの実績馬も視野に入れたい。

前走東京新聞杯【2-3-1-0】

7番人気以内互角、4、5歳中心も6歳以上に要注意といった傾向を踏まえつつ、ここからは前走成績に注目したい。

過去10年京王杯SC年齢別成績,ⒸSPAIA

GⅡ格らしく前走クラスの分布は概ね重賞組が優勢。特に前走GⅠは【5-2-2-25】勝率14.7%、複勝率26.5%と勝率最上位。このうち前走高松宮記念が【5-2-2-23】勝率15.6%、複勝率28.1%と大半を占める。今年は5着メイケイエール、7着シャインガーネットなどが出走予定だ。

過去10年京王杯SC年齢別成績,ⒸSPAIA

その着順別成績は4着以内【1-1-0-3】もいいが、6～9着【1-1-2-8】勝率8.3%、複勝率33.3%、10着以下【3-0-0-12】勝率、複勝率20.0%と巻き返しも目立つ。1200mは合わなかった馬が1400mで息を吹き返すというのがひとつのパターン。Vマイル除外でここに回る公算が高いシャインガーネットは昨年こそ6着だが、3歳時にファルコンS勝ちがあり、1400m替わりは好材料。

ただし20年2番人気1着ダノンスマッシュのように延長をこなした例もあるので、高松宮記念最先着のメイケイエールも評価したい。

高松宮記念組の出し入れの参考に位置取り別成績をみる。スピードを生かせた先行【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%とそこから一歩引いた中団【3-2-1-9】勝率20.0%、複勝率40.0%が好成績。流れについていけなかった後方は【0-0-1-9】複勝率10.0%なので、1400mに対応できるスピードは必要になる。上記3頭は高松宮記念で中団から競馬した。当日の馬場と展開がスピード優位ならメイケイエール、若干時計を要するなら、シャインガーネットも出番がありそうだ。

次に前走GⅢ【4-6-3-41】勝率7.4%、複勝率24.1%について。その内訳は東京新聞杯【2-3-1-0】勝率33.3%、複勝率100%、ダービー卿CT【2-2-2-20】勝率7.7%、複勝率23.1%のマイル重賞が上位。今年は東京新聞杯7着ワールドバローズが出走予定。これは注目したい。

またダービー卿CTから1着タイムトゥヘヴン、8着ミッキーブリランテなどがスタンバイ。その着順別成績は3着以内【2-1-1-5】、6着以下【0-1-0-10】なので、タイムトゥヘヴンが優勢だ。マイルからの短縮組が好成績を上げる一方で、同じ1400mの前走阪急杯が【0-0-0-9】。4着リレーションシップは全4勝中3勝が1400mの距離巧者。適性は上位だが、GⅠ組やマイル重賞好走馬との力関係がカギを握る。得意距離でデータを覆せるか、注目したい。

ライタープロフィール
勝木淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬伝説の名勝負』シリーズ全4作（星海社新書）。