【ヴィクトリアマイル】ソダシ、デアリングタクト、レイパパレら主役多数! ポイントは東京マイル適性の見極め
勝木淳
ⒸSPAIA
上位人気馬は苦戦傾向
牝馬三冠デアリングタクトの復帰を含めGⅠ馬5頭。昨年、今年で重賞を勝利した馬は14頭も登録してきた。グランアレグリアが抜けていた昨年とは対照的な実力伯仲の一戦。ハイレベルな戦いを期待したい。ここでは過去10年間のデータを使用、レースの傾向を確認してみたい。
古馬牝馬路線は春がマイル、秋は中距離が主戦場。カテゴリーが異なるため、どうしても線でつながりにくい。人気別成績もそれを反映、1番人気【3-2-0-5】勝率30%、複勝率50%と案外勝てていない。13年ヴィルシーナ、20年アーモンドアイ、21年グランアレグリアの3勝。このうち前年、エリザベス女王杯出走はヴィルシーナ1頭。アーモンドアイは牡馬相手の中距離、グランアレグリアは短距離、マイル、中距離と歩んで、ここを勝利。古馬牝馬路線には乗っていなかった。
今年はダートからソダシ、久々のデアリングタクト、大阪杯2着レイパパレ、短距離路線からレシステンシアと主役は多く、1番人気候補がズラリと並ぶ。
また2番人気【0-0-1-9】複勝率10%、3番人気【0-1-1-8】複勝率20%と上位人気は苦戦傾向。5番人気【2-0-3-5】勝率20%、複勝率50%、7番人気【1-1-2-6】勝率10%、複勝率40%など一枚落ちると評価された馬たちの激走がある。波乱も視野に入れたいレースだ。
単なる速さ比べにならず、スピードと持続力を総合的に試される舞台では、必ずしも若い馬が優位とはいえない。年齢別では4歳【4-6-3-63】勝率5.3%、複勝率17.1%、5歳【4-3-6-55】勝率5.9%、複勝率19.1%とこのふた世代が互角。さらに6歳【1-1-1-24】勝率3.7%、複勝率11.1%、7歳【1-0-0-5】勝率、複勝率16.7%。年齢で切り捨ててしまうのは危険だ。
評価を落とす前走古馬牝馬重賞組が狙い
冒頭で、昨年から今年にかけて重賞勝利をあげた馬が14頭いると書いたが、このうち東京のマイル戦だったのはソングラインの富士Sのみ。人気別傾向を考えても、上位人気に並ぶだろう実績馬たちの壁は高くないかもしれない。牡馬相手に戦ってきた馬に加え、古馬牝馬路線経由にも注目し、穴馬を探してみたい。
主要なステップレースのうち格最上位の阪神牝馬Sが【4-4-5-60】勝率5.5%、複勝率17.8%。以下、中山牝馬S【2-2-0-8】勝率16.7%、複勝率33.3%、福島牝馬S【0-1-2-22】複勝率12%。間隔がつまる福島牝馬Sは苦戦。対して大阪杯【2-1-1-1】勝率40%、複勝率80%、高松宮記念【1-0-2-16】勝率5.3%、複勝率15.8%。大阪杯経由のレイパパレ、アカイイトは評価しつつ、昨年同じローテで6着だったレシステンシアは疑ってもいい。また大阪杯組は4番人気以内【2-1-1-0】。レイパパレもアカイイトも好走する可能性がある。
前走高松宮記念は位置どりがポイント。逃げはゼロ、先行【0-0-0-3】、中団【1-0-2-9】勝率8.3%、複勝率25%。スプリント戦でスピードを発揮した経験より、中団から差す競馬をした経験を買いたい。シャインガーネットがこれに該当する。逃げた馬は参戦ゼロではあるが、レシステンシアは昨年6着という結果を考えても、距離延長がプラスになるとは考えにくい。
次に主要ステップ阪神牝馬Sについて。今年は前後半800m46.8-46.0と若干緩めの流れになり、伏兵メイショウミモザがインを立ち回り、殊勲の星をあげた。勝ち時計1.32.8はとりたてて強調できるものではない。メイショウミモザのほかには2着アンドヴァラナウト、3着デゼル、5着マジックキャッスルが登録。
着順別の傾向では3着以内【1-3-4-18】、5着【1-0-1-2】。5着マジックキャッスルは先行勢とインが有利な馬場で外枠、後方から進め、直線も外から。流れと逆の競馬で5着なら、評価は落とせない。昨年3着時の勢いこそ感じないが、牝馬限定GⅠであれば好走する余地はある。
東京マイルとは親和性がなさそうな中山牝馬Sだが、21年10番人気2着ランブリングアレー、19年5番人気1着ノームコアなど穴も出現し、近年好相性。今年の直行組は3着ミスニューヨーク、5着テルツェット、9着ローザノワールがいる。
着順傾向も5着以下【2-1-0-3】と不気味な一致をみせる。中山芝1800mから東京マイルに変わり、条件好転といったタイプを探したい。3着ミスニューヨークは小回り向きの差しタイプ。狙うなら昨年14着と大敗したテルツェットか。重賞2勝は中山と函館だが、どちらも流れ乗って勝利したという内容ではなく、3勝クラスを突破した節分Sを見る限り、東京の適性はある。
ソダシのフェブラリーSやデアリングタクトのQE2C、ソングラインの1351ターフSなど上位人気に例外ローテが多いので、最後にすべてまとめて前走距離比較を出す。高松宮記念と大阪杯の関係から分かるように、距離延長【2-1-3-44】勝率4%、複勝率12%、同距離【3-5-4-57】勝率4.3%、複勝率17.4%、距離短縮【5-4-3-46】勝率8.6%、複勝率20.7%と長い距離を経験した組が優位。
東京マイルの持続力勝負がいかにも合いそうなソダシを頭に入れつつ、別路線組はデアリングタクト、シャドウディーヴァをあげたい。デアリングタクトは約1年1カ月ぶりの実戦。牝馬三冠に敬意を表しつつも、状態をしっかりジャッジしたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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