【皐月賞】必勝ポジションで今週こそ! 東大HCはキラーアビリティ横山武史の勝利に期待

東大ホースメンクラブ

皐月賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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生涯一度の晴れ舞台

今週は中山芝2000mを舞台に、牡馬クラシック開幕戦・GⅠ皐月賞が行われる。2歳マイル王ドウデュース、2歳中距離王キラーアビリティのほか、東スポ杯2歳S圧勝から直行の異例ローテで臨むイクイノックス、共同通信杯を快勝したダノンベルーガ、弥生賞で初重賞制覇を飾ったアスクビクターモアなど多士済々のメンバーが揃う。混戦模様の今春GⅠの例に漏れず、出走馬全頭にチャンスがある難解な一戦だ。

3歳馬にとって生涯一度の晴れ舞台。栄冠に向けて激走する駿馬を心より応援するとともに、競馬ファンの我々も三冠初戦を幸先よく的中したいところ。過去のデータをひもときながら、一冠目の称号に最も近い馬を探していく(なお使用するデータは特筆なき限り過去10年の皐月賞)。


現代の「皐月賞ポジション」

過去10年の皐月賞4角順位別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の皐月賞・4角順位別成績>
1~3番手【0-4-4-26】勝率0.0%/連対率11.8%/複勝率23.5%
4~7番手【9-4-4-29】勝率19.6%/連対率28.3%/複勝率37.0%
8番手以下【1-2-2-88】勝率1.1%/連対率3.2%/複勝率5.4%

20を超える多頭数での施行が当たり前だった昔日のダービーには、1コーナーを10番手以内で通過しなければ勝てないという「ダービーポジション」なる言葉があった。これを現代のクラシックに置き換えるならば、ダービーにおいてではなく「皐月賞ポジション」が存在することを意識しておきたい。

皐月賞の必勝パターンは「4角で逃げ、番手を前に置く先行集団に位置すること」。事実、4角4~7番手の馬が近10年で9勝を挙げている。唯一の例外は4角10番手から追い込んだ2016年のディーマジェスティだが、この年はリオンディーズが暴走気味にハナを進み、前半5F58.4秒から追い込みが決まるレアケースだった。

4角3番手以内の馬も2008年のキャプテントゥーレ以降勝利がなく、さらに前走で逃げた馬に限ると1998年のセイウンスカイが最後の皐月賞馬となる。

「皐月賞ポジション」から勝利をつかんだ9頭を精査すると、8頭が前走で4角を2~4番手で通過している。例外は2015年のドゥラメンテ(前走4角7番手)だが、同馬は共同通信杯を初角3番手で通過しながら直後にアンビシャスに寄られて位置を下げている。トリッキーな中山芝2000mでは先行勢に取りつけるセンスと機動力が大きな武器になるようだ。


勝利には「前走重賞連対」が必須条件

過去10年の皐月賞前走着順別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の皐月賞・前走着順別成績>
1着【8-7-5-50】勝率11.4%/連対率21.4%/複勝率28.6%
2着【2-1-2-28】勝率6.1%/連対率9.1%/複勝率15.2%
3着以下【0-2-3-65】勝率0.0%/連対率2.9%/複勝率7.1%

皐月賞でもう一つ重要となるのが前走着順。過去10年の勝ち馬は全て前走重賞で連対しており、仕上げがメイチでない前哨戦でも大崩れしないことが必須となる。この条件を満たす馬は単勝回収率139%、複勝回収率90%。2017年の覇者アルアイン(9番人気)を筆頭に穴馬の好走もあり、妙味の面でも評価できる。

「前走GⅠ勝ち」は【2-1-0-0】。2019年1着サートゥルナーリア、2020年1着コントレイル、2着サリオスと3頭全てが好走した。2頭の2歳GⅠ馬の比較なら、近年勝ち馬のいない弥生賞組ドウデュースより、直行のキラーアビリティを評価したい。

共同通信杯連対からの臨戦は【5-0-1-5】、複勝率54.5%。このうち、前走で57kgを背負っていると【2-0-0-1】と好走確率が上がる。ジオグリフは先を見据えた仕上げ、重賞実績による斤量差があっての2着。巻き返しがあり得る。

また、前走3着以下から本番で馬券圏内に巻き返した5頭のうち、2021年3着のステラヴェローチェを除く4頭に中山芝2000mの経験があった。戦績のきれいな馬が上位人気を占めそうだが、該当馬を2、3着で拾っておくと高配当のチャンスがあるかもしれない。


終わり良ければすべて良し

◎キラーアビリティ
枠順の並びと「皐月賞ポジション」を奪える確率を考え、2枠4番の絶好枠を引いた同馬を本命に指名する。GⅠ勝ちの実績もさることながら、未勝利戦で刻んだラスト3F12.2-11.8-10.8の加速ラップは圧巻。1986年以降の2000m戦でラスト1F10.8以下のケースは5例あるものの、キラーアビリティ以外はドスローの逃げ切り。一方こちらはレコード勝ちかつ4角7番手から差しており、2着が桜花賞で6着健闘したパーソナルハイだったことも付加価値となる。

ホープフルSは好枠から、今回のデモンストレーションになる見事なレース運び。同様のプランで経済コースを進みつつ、直線ではいつでも前を捉えるポジションが確保できそうだ。鞍上は春のGⅠで苦戦が続く横山武史騎手だが、どのレースでも大きなミスはなかった。キャロットファーム所属馬とともに戦ったGⅠ・4連戦の締めくくり。勝利で飾ってほしい。

◯ジオグリフ
1986年以降、共同通信杯で57kgを背負い連対した馬は過去9頭いるが、ナリタブライアン・ビワハヤヒデ兄弟など7頭がのちのGⅠ馬となり、3歳春以降に計20のGⅠ勝ち鞍がある。ジオグリフは共同通信杯で先行策を取り、ダノンベルーガには差し切られたものの2着を死守。歴史的名馬と肩を並べる条件をクリアした10頭目となった。

ノドに懸念のある馬だが、週末の中山は一雨ありそうで不安は軽減される。かつては札幌2歳Sを大マクリで圧勝し、朝日杯FSでは2番人気に支持された素質馬。名手・福永祐一騎手を鞍上に迎え、逆襲のランに期待したい。

▲ドウデュース
3番手は2歳マイル王者。新馬戦の勝ちっぷりから距離は2000mでも問題なく、むしろマイルGⅠも勝ったことがレースセンスのなせる業と見る。弥生賞はベストなレース運びとはいかずも勝ち馬とクビ差の2着で、なんら評価を下げる必要がない前哨戦だった。

武豊騎手はナリタタイシンで追い込んで以降、皐月賞ではダービーを見据えた後方待機策を取るケースが非常に多くなった。したがって「ポジション」を取る可能性は低いと考えられるが、脚力は当然ながら世代トップクラス。あっさりのシーンがあっても。

以下、弥生賞覇者アスクビクターモア、ホープフルS2着ジャスティンパレス、京成杯勝ち馬オニャンコポン、共同通信杯馬のダノンベルーガまで印を回す。イクイノックスは中山とすこぶる相性の悪いキタサンブラック産駒かつ大外枠。初物に対応する難しさとオッズを考えて消しとした。馬券は◎をアタマ固定、◯を2、3着に固定して印に流す3連単と、◯から印への馬連とする。

▽皐月賞予想▽
◎キラーアビリティ
◯ジオグリフ
▲ドウデュース
△アスクビクターモア
×ジャスティンパレス
×オニャンコポン
×ダノンベルーガ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開、新入部員は随時募集中。



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