【スプリングS】アサヒもアライバルもキケン! 狙うはドーブネ、グランドライン、サトノヘリオス、アルナシームだ

勝木淳

スプリングSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

好走ゾーンはキャリア2~6戦

牡馬クラシック第一冠・皐月賞への出走権をかけた戦いはいよいよ佳境に入る。皐月賞を4週間後に控えたスプリングSは本番より200m短い芝1800m、間隔が詰まるという設定から、賞金的に皐月賞出走を確定させた馬の参戦は少ない。

今年はソリタリオが2勝+重賞2着、収得賞金1700万円で皐月賞出走への目途を立てている。もちろん、ソリタリオとてスプリングSの内容次第で距離適性を考え、路線転換を図る可能性もあるので、単なる叩き台ではないだろう。今年も各陣営の思惑が交錯、皐月賞出走枠を巡る激戦になるだろう。ここでは過去10年間のデータからレース傾向について考える。


過去10年スプリングS人気別成績,ⒸSPAIA


皐月賞主役級というより、皐月賞に出走したい馬たちによる争いらしく、1番人気【2-5-2-1】勝率20%、複勝率90%と馬券圏内こそ堅実ながら、勝ち切る場面は少ない。また2番人気が【0-1-2-7】複勝率30%と不振である点も合わせ、主役が順調にという結果は少ない。勝ち馬はおおむね6番人気以内、複勝圏内は7番人気以内、だが10番人気以下も【1-0-2-40】と可能性がないこともない。じっくり検討を重ねたいレースだ。


過去10年スプリングSキャリア別成績,ⒸSPAIA


春のトライアルはキャリア成績も重要。新馬勝ちたてのキャリア1戦は【0-0-0-3】。7戦以上【0-0-1-16】。ここを除く、2戦【2-1-1-12】勝率12.5%、複勝率25%から6戦【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%が好走ゾーン。なかでも4戦【4-3-3-28】勝率10.5%、複勝率26.3%、5戦【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%の成績がいい。ソリタリオ、アサヒ、サトノヘリオス、ディオなどが該当する。


共同通信杯4着以下【0-0-0-9】、京成杯【0-0-0-12】

ここからはキャリア2~6戦について、前走クラスからさらに詳しく重点的にみていきたい。


過去10年スプリングSキャリア2~6戦前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2~6戦について前走クラス別成績を出すと、いくら経験を積んだとて、前走が未勝利戦だと【0-0-1-6】複勝率14.3%。好走は21年1番人気ボーデン3着しかいない。目につくのは前走GⅠ【2-3-1-6】勝率16.7%、複勝率50%。半数が優先権を獲得した。その内訳はホープフルS【0-1-0-2】複勝率33.3%、朝日杯FS【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%。

ただし前走が朝日杯FSだった9頭すべて前走4着以内。凡走馬の出走はこの10年なし。朝日杯FS7着ドーブネはやや微妙。ちなみに00年以降までデータを広げると、04年6番人気キョウワスプレンダ2着がいる。同馬は朝日杯FS9着だった。ドーブネに関して補足するなら、朝日杯FSで位置取りが中団だった馬は【1-2-1-1】。マイル戦で先行するより控えた組に安定感がある。父ディープインパクト、母系はジャイアンツコーズウェイからストームキャットとさかのぼれ、組み合わせとしてはマイル限界という印象はない。

ホープフルSは【0-1-0-2】と数が少ないので、なんとも評価しづらいところだが、当時9着グランドラインは逃げて目標になった。前々走葉牡丹賞勝ち馬ボーンディスウェイは弥生賞ディープインパクト記念3着、距離短縮で巻き返す余地はある。13着サトノヘリオスは2勝馬だけに侮れない。前走は鞍上との呼吸が合わず、向正面で脚を溜められなかった。4コーナーで強引に大外を回っては失速止むなしといったところだろう。


過去10年スプリングSキャリア2~6戦前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


次は前走GⅢ【2-3-1-27】勝率6.1%、複勝率18.2%についてレース別内訳をみる。ソリタリオの前走シンザン記念は【0-0-0-1】、数が少なく評価できない。一方、ビーアストニッシド、アサヒの共同通信杯は【1-2-0-10】勝率7.7%、複勝率23.1%。前走2着以内【1-2-0-1】、3着は出走ゼロ、4着以下【0-0-0-9】。やはりアサヒは共同通信杯で賞金加算できなかった時点で追い詰められた。アライバルの京成杯は【0-0-0-12】。こちらも皐月賞出走は黄色信号か。


過去10年スプリングSキャリア2~6戦前走1勝クラス組着順別成績,ⒸSPAIA


最後に前走1勝クラス【6-4-3-32】勝率13.3%、複勝率28.9%。つばき賞0.2差2着アルナシームについて考えたい。同馬が該当する前走1勝クラス・1800mは【2-0-1-10】勝率15.4%、複勝率23.1%と悪くない。ただ1勝クラス組は、当然ながら弥生賞ディープインパクト記念のアスクビクターモアのように勝って2勝目をあげた直後が【5-3-0-18】勝率19.2%、複勝率30.8%と優勢。しかしながら2着なら【0-0-3-4】複勝率42.9%と権利とりはギリギリ成功といった例が多い。ここもしっかり馬券に拾っておきたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


スプリングSインフォグラフィック,ⒸSPAIA



《関連記事》
3連単の最高額は2073万8890円 2021年中央競馬の高額配当ランキング
ルメール騎手の鉄板条件は 頭に入れておきたい2021年の傾向振り返り
1位は「1.8秒差」つけたサイレンススズカ&メジロブライトの伝説2レース! JRA平地重賞の着差ランキング

おすすめ記事