【スワンS】路盤が締まり「高速化」「先行有利」 展開に左右されない自在性が持ち味のルークズネスト

三木俊幸

2021年スワンS出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

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先週末は今開催で最も乾燥した馬場

京都競馬場のスタンド名にも使用されている「スワン」という名を冠した名物レースのスワンS(GⅡ・芝1400m)、今年は阪神競馬場を舞台に争われる。直近2年は本番のマイルCSで3着内に好走した馬はおらず、直結度という面では疑問符がつくレースではあるが、今年も1400mという条件を得意とするスペシャリストたちが集結した。

馬場傾向と出走各馬の馬場適性からレースを占っていく。まずは先週末の阪神芝コースの傾向から振り返ろう。

10月23日(土)はクッション値9.3、ゴール前含水率9.0%の良馬場。中間は火曜日に1.5mmの雨量を計測したのみで、今開催を通じて初のクッション値9台だった。芝コースでは合計5レースが行われ、勝ち馬の4角通過順を見ると、4角先頭が2頭、2番手が1頭、4番手が1頭、5番手(9頭立て)が1頭という内訳で、前週までと比較すると先行有利の傾向が見られた。

2、3着の結果を見ても、9頭立てで前半1000mが59.8と流れて4角5番手→7番手→8番手で決着した芝1800mの2歳未勝利戦以外は、いずれも4角6番手以内。極端な差しは届きづらい馬場だったと言える。

菊花賞当日の24日(日)はさらに乾燥が進み、クッション値9.6、ゴール前含水率8.6%。芝6レース中4角先頭だった馬が2勝、4角2番手と3番手が1勝ずつ。2、3着馬も12頭中7頭が4角3番手以内と、前日の土曜日よりさらに前残りの傾向が強まっていた。

さらに日曜日は3レースに行われた芝1400mの2歳未勝利戦で1:20.9、5レースの芝1800m、2歳新馬戦で1:47.3がマークされるなど、時計面でも高速化していた。

その理由として、今開催前にエアレーション作業、シャタリング作業が行われて柔らかい馬場でスタートしたものの、レースを使われるごとに路盤が締まってきたことがあげられる。個人的には4週目あたりからそうした傾向が現れるかと予想していたが、3週目で早くも傾向が見られだした。前週の雨の影響を受けた中でレースが行われたことと、乾燥が進んだことが要因だったと考える。

1400mのスペシャリストたちの評価は

2021年スワンSの馬場適性チャート,ⒸSPAIA



今週はスワンSが行われる土曜日にかけて雨予報が出ていないため、引き続き乾燥した状態の馬場が予想される。重賞ということもあり、差し馬の台頭も可能ではあるものの、先行有利の傾向が続きそうだ。そうした点を踏まえ、出走各馬の馬場適性から検討した結果、6頭を注目馬としてピックアップ。特に注目したい本命候補には☆をつけている。

【ダノンファンタジー】
道中11番手追走となった3走前の阪急杯では届かず5着に敗れたものの、4走前の阪神Cでは4番手から抜け出して後続に0.3秒差をつけて勝利している。マイル戦では少し足りないというレースぶりで、5勝をあげている阪神コースも得意なだけに条件は合っている。

【☆クリノガウディー】
3走前の安土城Sは57.5kgのハンデを背負い、5番手追走から1:19.2というレコードタイムで快勝。2着のシヴァージはスプリンターズS3着という結果を残している。2歳時の新馬戦と朝日杯FSを除くと3着内に入った5レースが左回りなだけに、右回りへの対応に不安は残るが、その点を克服できれば重賞タイトル獲得の可能性も十分あるだろう。

【☆ルークズネスト】
4走前のシンザン記念は内を通った先行馬有利の中、外差しの競馬で2着。勝ち馬ピクシーナイトがスプリンターズSを勝利しているということからも評価できる。3走前のファルコンSは3角からグレナディアガーズに並ばれたものの、ゴール前の追い比べを制して1:20.1という好タイムで勝利した。展開に左右されない脚質の自在性を武器に、しぶとさを活かせる展開に持ち込めば勝ち負けになりそうだ。

【ステルヴィオ】
前走の京成杯AHは3番手からレースを進めたものの、ゴール前で失速し7着だった。それでも着差は0.4秒差、休み明け、斤量58kgを背負っていたことを考慮すると悪くはないと言える。昨年の京王杯SCとスワンSで2着となっていることから距離短縮は歓迎。一叩きされた上積みにも期待する。

【マイスタイル】
2走前の関屋記念では逃げてしぶとく粘り、勝ち馬から0.2秒差の4着。好走時と凡走時の差が激しいタイプではあるものの、一昨年のスワンSでは3着となった実績もある。今回はすんなり逃げられた場合の前残りを考えて押さえておきたい。

【リレーションシップ】
中京芝1400mで連勝してきた時の勝ちタイムは1:20.3(1勝クラス)、1:20.5(2勝クラス)。そして前走の戎橋Sは1:20.4と速いタイムの決着にしっかりと対応できている。前走は差す形の競馬となったが、先行することも可能なだけに馬場を味方にできる穴候補として取り上げておく。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。



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