年度代表馬はどっち? コントレイルとアーモンドアイの2020年をデータで振り返る
SPAIA編集部
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異例続きだった2020年の競馬
先日の有馬記念をもって2020年の中央競馬も終わり。2頭の無敗三冠馬誕生に加え、アーモンドアイの芝GⅠ最多勝更新、クロノジェネシスの春秋グランプリ制覇など数々の歴史的瞬間が生まれた。何より、コロナ禍の中で無観客という形ながら競馬の火を絶やさなかった関係者のみなさまに最大限の敬意を表したい。
さて、来週には早くも東西の金杯から2021年の競馬が始まるわけだが、せっかくの年の瀬。異例続きだった2020年の年度代表馬に選ばれるのはどの馬か、有力各馬の成績を振り返っておきたい。
実質的な候補は2頭
年度代表馬の選出は記者投票。とはいえ、事実上その年のGⅠ最多勝(タイ)馬から、勝ったGⅠレースの格やパフォーマンスを加味して選出されるのが慣例となっている。ちなみに、筆者は投票権を持っていない立場と断っておく。
では、2020年にGⅠレースを複数勝利した馬を見ていこう。
GⅠ3勝
コントレイル 皐月賞・日本ダービー・菊花賞
デアリングタクト 桜花賞・オークス・秋華賞
アーモンドアイ ヴィクトリアマイル・天皇賞(秋)・ジャパンカップ
グランアレグリア 安田記念・スプリンターズS・マイルCS
GⅠ2勝
クロノジェネシス 宝塚記念・有馬記念
ラッキーライラック 大阪杯・エリザベス女王杯
事実上の候補はGⅠ3勝で並んだ4頭。短距離GⅠで3勝のグランアレグリアだが、スプリント・マイルを主戦場にする馬で年度代表馬を獲得したのはタイキシャトル、ロードカナロア、モーリスの3頭だけ。軽視されがちな路線ということで脱落か。
残る3頭だが、過去の牡馬クラシック三冠馬は(JRA賞の前身時代から)全てが年度代表馬に選出されたのに対し、牝馬三冠馬は同年にジャパンCを制したアーモンドアイ、ジェンティルドンナの2頭だけ。デアリングタクトも次いで脱落しそうだ。
コントレイルとアーモンドアイの2020年
さて、選ばれるのはコントレイルかアーモンドアイか。史上最高レベルの選考となる2頭の2020年成績を振り返ってみよう。
まず年間成績ではコントレイルが5戦4勝、2着1回。アーモンドアイは4戦3勝、2着1回と、コントレイルが一歩リード。
GⅠはどちらも3勝。勝利したレースの「格」というと定義が曖昧だが、一応、年間獲得賞金を基準にしてみるとコントレイル約6億8500万に対し、アーモンドアイは約6億1700万(付加賞込み)で、こちらもコントレイルが若干優勢。
だが、アーモンドアイに投票する記者の気持ちも分かる。デアリングタクトも含めた3頭の三冠馬が集結し、世紀の一戦として世界的な注目を集めたジャパンカップ。そこでコントレイルを直接負かしたからだ。
クラシックの価値と直接対決の結果。どちらに重きを置くかは意見の分かれるところだが、参考として過去の「年間GⅠ勝利数がタイ、直接対決あり」というケースを探してみる。
直近でこの状況があったのは2016年。JRAでの平地GⅠを複数勝ったのはキタサンブラック(天皇賞(春)、ジャパンカップ)とサトノダイヤモンド(菊花賞、有馬記念)だけだった。
年間成績でもキタサン【3-2-1-0】、サトノ【4-1-1-0】と後者が上回っており、有馬記念の直接対決でもサトノがゴール前の急追でキタサンを捕らえた。しかし、この年の年度代表馬に選出されたのはキタサンブラック。「この年は」という注意つきだが、直接対決の結果は優先されなかった。
上記はあくまで一例だが、これを参考に当記事の年度代表馬予想はコントレイルとする。無敗のクラシック三冠馬。その馬が「年度代表馬に選ばれるか」が論じられる年など今後数十年は訪れないだろう。2020年の日本競馬は素晴らしかった。さて、2021年はどんなドラマが見られるだろうか、期待を胸に本年を締めくくりたい。
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