【チューリップ賞】これぞ正真正銘のトライアル この敗戦でレシステンシアは視界良好?

勝木淳

チューリップ賞インフォグラフィックⒸSPAIA

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一転してスローペースに

桜花賞トライアルのチューリップ賞は阪神外回りの3歳限定戦らしく例年はスローペースになることが多いが、レシステンシア登場とあってその通りにはならないのではないかと思われていた。阪神JFは自ら先手を奪い、前半800m45.5-後半800m47.2のハイペースで一気に逃げ切った。勝ち時計1.32.7はレコードタイム。一気に桜花賞候補に躍り出た。

桜の女王にもっとも近い主役登場のチューリップ賞は同じよう内枠から先手をとったものの前半800m47.1と暮れのGⅠとは真逆に近いラップでゆったりと入った。

後半800m46.2と上がりの勝負に持ち込み、最後は切れ味勝負で、阪神JFで下したマルターズディオサ、クラヴァシュドールに先着されてしまった。この2頭にとってはレシステンシアがペースを落としてくれたのが幸いした形になったが、クラヴァシュドールは暮れよりも前で競馬を展開し、しっかりレシステンシアを意識して捕らえた。

マルターズディオサは暮れのレースを踏まえてレシステンシアを深追いしない作戦で、しっかり脚を溜めて弾けさせた。どちらもレシステンシア対策を入念に施し、それをトライアルレースで実行、結果を出した。

スローペースに落とした意味とは

阪神JF
12.2-10.5-11.0-11.8-12.0-11.2-11.5-12.5
チューリップ賞
12.2-11.2-11.7-12.0-12.2-11.3-10.9-11.8

レシステンシア敗北の謎かけを解かなければならない。なぜ阪神JFで圧勝した馬が同じようなレースをしなかったのか。いくつか考えられる。

まず阪神JFは自身にとってもダメージが大きかったレースだったということ。前半600m33.7とスプリント戦でも速いようなラップを刻み、残り600mから11.2でスパート。これで涼しい顔で勝てるわけもなく、ダメージもあっただろう。チューリップ賞はトライアル、本番は中4週の桜花賞だから、ここで無用なダメージは負えない。安全策で休み明け緒戦を乗り切ったという見方があげられる。

さらに阪神JFは驚異的な記録ではあったが、スピードに任せて勝てるほどこの先は甘くはない。ましてや三冠を意識するようであれば、どこかで脚質転換ではないがひと溜め利かせて末を伸ばすレースが必要となってくる。

レシステンシアがペースを落として競馬ができるか否か、折り合いを欠くなど弱点があるかなどを見極める必要があった。そのためのレースであれば、最後は切れ味勝負で阪神JF2、3着馬に負けた事実を持って、本番では再び自身の弱点を消すような長所をフルに生かすレースをするだろう。弱点をしっかり露呈させたことでかえって桜花賞はレシステンシアで決まりではないかとさえ思ってしまう。

いずれにしても桜戦線は阪神JF上位3頭に絞られたといえよう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「 築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

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