【マイルCS】京都マイルは複勝率100% 東大HCの本命は条件好転のソウルラッシュ

東大ホースメンクラブ

マイルCSの脚質別の複勝率(京都開催の直近7回)

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秋のマイル王決定戦

今週日曜日、京都競馬場でGⅠ・マイルCSが行われる。安田記念2着からこのレース連覇を狙うナミュール、富士Sの勝ち馬ジュンブロッサム、1年ぶり復帰戦の府中牝馬Sを快勝したブレイディヴェーグ、そしてヨーロッパからGⅠ・3勝馬チャリンが参戦する。

安田記念に引き続き国内外の一流マイラーが集結。最強決定戦にふさわしいレースとなった。過去10年のうち、京都開催7回(14~19、23年)のデータをもとに馬券を組み立てる。

今年はスローペース濃厚

マイルCSの別成績,ⒸSPAIA


<マイルCS 脚質別成績>
逃げ【1-0-0-6】勝率14.3%/連対率14.3%/複勝率14.3%
先行【0-1-3-20】勝率0.0%/連対率4.2%/複勝率16.7%
差し【4-6-2-45】勝率7.0%/連対率17.5%/複勝率21.1%
追込【2-0-2-30】勝率5.9%/連対率5.9%/複勝率11.8%

まずは脚質データから検討する。前で運ぶ馬が苦戦しており、逃げ馬は16年ミッキーアイル以外に好走がなく、先行馬は未勝利で2着1回。連対率、複勝率が最も優秀なのは中団からの差し馬だ。

また末脚だけで決まらないのが特徴で、上がり3F最速馬が【2-0-1-6】、2位が【2-0-1-5】と差し届かない例も多い。そして上がり6位以下から10頭が3着以内に入っている。つまり「中団で待機し、そこそこの脚を使った馬」がよく馬券に絡んでいることになる。

ただし今年は少々事情が異なる。逃げそうな馬がバルサムノートくらいしかおらず、同馬はスタートに難がある。よってスローペースになる可能性は考慮したい。

スローペースの場合、参考になりそうなのが2019年。マイスタイルがハナを切って前半800m47秒2。これがデータ対象7戦で最も遅かった。結果は4角5番手のインディチャンプが勝利、3番手のダノンプレミアムが2着、マイスタイルも10番人気ながら4着に粘った。これを踏まえて、今回は先行馬からも相手を選びたい。

前走富士S組を深掘り

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<前走富士Sの着順別成績>
1着【1-1-0-2】勝率25.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%
2~4着【0-1-0-13】勝率0.0%/連対率7.1%/複勝率7.1%
差し×5着以内【2-2-0-6】勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率40.0%

今年は7頭が該当する前走富士S組。彼らは前哨戦で一度力比べが済んでいるわけだが、本番でどう変わるかを考える。

富士Sの着順と本番の着順は相関が強くない。富士Sの勝ち馬が【1-1-0-2】、2~4着馬が【0-1-0-13】と苦戦。5~7着から【2-1-0-8】と3連対(14年ダノンシャーク富士S7着→マイルCS1着、17年ペルシアンナイト5着→1着、18年ペルシアンナイト5着→2着)がある。

その理由はコースの違いにある。富士Sは過去10年で上がり3F2位以内馬が13連対を占め、末脚勝負になることが多い。しかし前述の通り、マイルCSは末脚が着順に直結しない。このギャップが影響していると考える。

ペルシアンナイトは3年連続でマイルCS馬券圏内、ダノンシャークも前年3着の実績があった。得意舞台でない東京で凡走した後、本番の京都で逆転したという形だ。

これを今年に当てはめる。ジュンブロッサムは4角10番手から上がり33秒1で勝利。いかにも東京の舞台が合った結果だった。前走富士Sで4角10番手以下の馬は【0-0-0-13】。人気馬は多くないが、15年マイルCSでサトノアラジン3番人気4着の例がある。評価を落としたい。

2着のソウルラッシュは道中8番手から上がり5位の33秒3。切れ味勝負で負けたものの、京都では逆転可能だ。

4着セリフォスも衰えを感じる部分はあるが、マイラーズCのような走りができればもう一発あってもおかしくない。前で競馬をしていたアルナシーム、バルサムノート、コムストックロードは条件こそ良くなったが、そもそもの力不足の印象が否めない。

初GⅠタイトルへ

◎ソウルラッシュ
今年に入っての3戦は全て馬券圏内。6歳になって充実期を迎えている。富士Sは2着に敗れたが、本番の京都マイルは【1-1-1-0】の好相性だ。

昨年は4角8番手から上がり5位タイを記録。前述した本レースの好走パターン通りの走りを見せたが、ナミュールの末脚に屈して2着。ただナミュールの方に展開がハマったレースだった。軸としての信頼度はこちらが上だ。

◯ナミュール
昨年は4角15番手から直線ごぼう抜きで勝利。例年の好走馬とは全く違う、外れ値のようなレースぶりだった。その後は勝利こそないがドバイ、東京と異なるコースで馬券圏内を確保。適性云々ではなく実力で結果を残している。

懸念点は安田記念以来5か月ぶりのレースであることと、スローペースの可能性が高いこと。直線も東京より短く、上がり3F上位の脚でも差し損ねるリスクが高まっている。連覇ももちろん考えられるが、懸念点があることから2番手とした。

▲チャリン
先行勢ではこの馬が筆頭候補。GⅠ・3勝はいずれも前々の競馬で勝利。特に前走クイーンエリザベス2世Sでは、ドバイターフ勝ち馬ファクトゥールシュヴァルに並びかけられてから驚異的な粘りを見せ、最後は逆に突き放した。欧州の芝で走ってきたタフさは日本でも武器になる。

思えば安田記念も先行馬不利の傾向だったが、今年は香港馬ロマンチックウォリアーが4角5番手から勝利。東京の長い直線でも日本馬は届かなかった。

外国馬の先行粘り込みに日本の常識は通用しない。もちろんチャリンが日本の馬場で結果を残せるかは全くの別問題だが、注意は必要だ。

以下ジュンブロッサム、セリフォスまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽マイルCS予想▽
◎ソウルラッシュ
◯ナミュール
▲チャリン
△ジュンブロッサム
×セリフォス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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