【2歳馬ジャッジ】ダノンフェアレディが重賞を狙える高指数を記録 3億円ホース・スターウェーブも好素材
山崎エリカ
ⒸSPAIA
6月1週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は3着以下を7馬身以上離して高指数を記録したダノンフェアレディや東京芝で上がり3F33秒4をマークした3億円ホース・スターウェーブなどが出た、6月1、2日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
6月1日(土) 東京5R 優勝馬 ウィンターベル 指数0 評価B
3番枠から軽くアオって出遅れたが、すっと行き脚がついて先行策。外から2頭が前を主張したので、いったん控えて位置を下げ、その2頭の外から進出していく形。3角手前で2番手に上がって、4角では逃げ馬と1馬身半差で直線へ向いた。直線序盤は口向きが悪く、すっと反応せずにラスト2Fでも伸びそうで伸びきれず、逃げ馬とは1馬身差。ラスト1Fで逃げ馬がやや甘くなったところを差し切ってクビ差で勝利した。
走破タイム1分37秒6は平凡。新馬戦としては、疲れを残さないためには良いことだ。しかし、上がり3Fタイム34秒3は当日芝レースの古馬たちと比較すると優秀とは言えない。
ラスト2Fは11秒4-11秒6。以前と比較してラスト1Fの数字に下駄が履かされるようになった感じがあり、やはり優秀とは言えない。結果、指数も平凡という評価となった。
例年、東京の新馬戦初日と言えば、GⅠ級の素質を感じさせる馬たちが多数出ているが、今年はやや期待はずれな結果となった。ただ今回の勝ち馬ウィンターベルは、スタートでロスがありながら勝利しており、着差以上の強さと評価できる。次戦での上積みが期待できるだけに、楽しみはありそうだ。
6月2日(日) 東京5R 優勝馬 ミリオンローズ 指数-4 評価AA
1番枠から五分のスタート後に首を上げてしまったが、そこからすっと加速して先行し、好位の最内を追走した。道中も逃げ馬の後ろで折り合ってスペースを作って進み、3~4角でじわっとその差を詰めて直線へ。直線序盤で逃げ馬の内からすっと抜け出してラスト2Fで先頭に立った。このまま独走かと思われたが、追ってくる馬たちの末脚が鋭く、ラスト1Fで詰め寄られるもなんとか半馬身差で押し切った。
ミリオンローズの上がり3Fタイムは33秒4秒。これはなかなか優秀と言える。ラスト2F11秒0-10秒9は、以前の数字に均すならラスト1F11秒2か11秒3くらいの価値で、これもなかなか優秀と言えるだろう。
またこの新馬戦では最後に伸びてきた2着エンブロイダリー、3着クライスレリアーナの末脚にも光るものがあった。ミリオンローズが独走Vとならなかったのは、2頭の末脚が優秀だったからという評価になる。
特に2着馬エンブロイダリーの上がり3Fタイム33秒2は、メンバー最速だっただけに高評価だ。4着以下が離されていることからもこの一戦は上位が強かったのだろう。今後が楽しみな3頭だ。
6月2日(日) 東京6R 優勝馬 スターウェーブ 指数-5 評価AA
3番枠から好スタートを決めて先行したが、内外から前を主張する馬たちがいたので、それらを行かせてすっと折り合った。道中は先団馬群からやや離れた5番手を追走し、脚をタメて3角へ。3~4角では中目から楽々と好位列の直後まで差を詰め、直線序盤では外を狙ったが進路がなく、切り替えて内を突いた。狭い間をすっと割って抜け出すと、ラスト2Fではもう先頭。本馬の後ろから抜け出したカルデライトに内から迫られる苦しい形ではあったが、ラスト1Fでもうひと伸びして1馬身1/4差で押し切った。
この日の東京芝は超高速馬場でスタートしたが、後半になるにつれて徐々に時計が掛かる傾向。5R新馬戦の勝ち馬ミリオンローズもスターウェーブも上がり3Fタイムは33秒4。走破タイムではスターウェーブの方が優秀で、指数評価は必然的にスターウェーブの方が上となる。
また、3着以下にはしっかり差をつけており、当然このような着差をつけた勝ち馬は評価できる。セレクトセールで3億円の馬らしく、なかなか強いようだ。ただ、このレースでそこまで余力があったかどうかは現時点で評価が難しい。次戦についてはこの馬が持っている潜在能力次第。疲れを取り、差す競馬なら、一段階上の走りを見せる可能性を感じる。
6月1日(土) 京都5R 優勝馬 ダノンフェアレディ 指数-8 評価AA
スタート直後は外のショウナンザナドゥの方が速かったが、1番枠ということもあってハナを主張。スローではあるが、新馬戦特有の超スローというほどではないペースで逃げて、3角では2番手外のショウナンザナドゥと3/4差ほど。4角で同馬に並びかけられたが、直線序盤で追われると2馬身半まで差を広げた。それを目標に仕掛けたショウナンザナドゥにラスト1Fで半馬身差まで詰め寄られたが、3着以下には7馬身以上の差をつけての勝利だった。
当日4Rの同距離で行われた3歳未勝利戦が走破タイム1分32秒6に対し、この新馬戦が1分33秒8だからそこまで速いように感じないが、実は4Rは1勝クラス級の指数を記録したハイレベルな一戦だった。道中のペースは新馬戦の方が明らかに遅く、上がり3Fタイムは断然上。よって、この新馬戦は高指数評価となった。
2着ショウナンザナドゥはこの週に行われた他の新馬戦に出走していればどこでも勝てた計算で運がなかった。今回の上位2頭は当然、今後に大きな期待がもてる。ただ、どちらも新馬戦としてはちょっと頑張りすぎた感があり、今後の使われ方がカギとなりそう。疲れを取って万全の状態になれば、2頭とも重賞を狙える馬になるだろう。
6月2日(日) 京都5R 優勝馬 キトンインザスカイ 指数-1 評価A
10番枠から好スタートを決め、内に切れ込みながら前へ。逃げてしまいそうな勢いだったが、がっつり抑えて内のエルモッソペンドロを行かせた。3角では同馬と1馬身半差の2番手。3~4角でもその差を維持して直線へ。ラスト2Fでも追い出しを我慢し、ラスト1Fで追われて先頭に立った。後続の追い上げも激しかったが、最後にもうひと伸びして1馬身半差で完勝した。
ラスト2Fは11秒7-11秒5。特筆すべき数字ではないが、レースセンスの良さ、最後にもうひと伸びしたバネには非凡なものを感じさせた。母メジロトンキニーズはダイヤモンドS2着など長距離で活躍。半姉クールキャットはフローラS勝ち。半兄トリオンフは芝中距離重賞を3勝と好指数で走ったレースも多く、噛み合えばGⅠが狙えた実力馬だった。芝1400mでデビューだが、地味ながら大きな成長力で、将来的には芝中長距離で本領を発揮する馬になっていきそうな気配を感じる。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ダノンフェアレディの指数「-8」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.8秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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