【エプソムC】道悪ならSadler's Wellsら欧州血統が浮上 有力馬ではトゥデイイズザデイが該当

坂上明大

2024年エプソムカップの注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

春の東京GⅠが終了し、今週はエプソムCが開催。GⅠシーズンと夏競馬のはざまにあり、芝1800mという条件設定からも多路線から賞金加算を狙う馬が集まる一戦です。今年も様々な路線から有力馬が参戦しており、能力比較、舞台適性、成長曲線など多くのファクターが入り乱れる難解なレースとなりそうです。本記事では血統面を中心に、エプソムCのレース傾向を整理していきます。

まず、ポイントとして挙げたいのは4歳馬の活躍が目立つということ。日本の主流条件のため世代交代も早いのは安田記念と同様の傾向。さらに、5歳以上の実力馬はGⅠ競走に出走している可能性が高いため、5歳以上の出走馬のレベルは必然的に低くなる傾向にあります。それに対して、4歳時であれば素質馬であっても賞金が足りないケースも少なくないため、エプソムCは「4歳馬の出世レース」と位置づけられる重賞ともいえるでしょう。


エプソムCの年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<エプソムCの年齢別成績(過去10年)>
4歳【5-5-4-24】勝率13.2%/連対率26.3%/複勝率36.8%/単回収率71%/複回収率169%
5歳【4-2-2-35】勝率9.3%/連対率14.0%/複勝率18.6%/単回収率59%/複回収率44%
6歳【1-3-3-28】勝率2.9%/連対率11.4%/複勝率20.0%/単回収率63%/複回収率64%
7歳以上【0-0-1-43】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率2.3%/単回収率0%/複回収率11%

適性面については、道悪適性が近年のテーマ。開催後半に行われることから馬場の消耗が進んでおり、さらに梅雨入り前後に行われるため雨の影響も受けやすいのがエプソムC。絶好の馬場状態で行われることが多い毎日王冠とは同コースであっても好走血統が大きく異なるため、日本の主流血統とは少々異なった馬の方が走りやすいレースとなりそうです。

注目血統はNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingなどの欧州血統で、特に良馬場以外では同血脈を持つ馬の成績は非常に優秀。良馬場以外で行われた2018年(重)、2019年(稍重)、2020年(不良)、2022年(重)、2023年(稍重)はいずれもNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingを持つ馬が勝利しています。

エプソムCの血統別成績(良馬場以外・過去10年),ⒸSPAIA


<エプソムCの血統別成績(良馬場以外・過去10年)>
Nureyev【4-2-3-23】勝率12.5%/連対率18.8%/複勝率28.1%/単回収率123%/複回収率179%
Sadler's Wells【2-1-2-7】勝率16.7%/連対率25.0%/複勝率41.7%/単回収率87%/複回収率90%
Fairy King【0-1-1-1】勝率0.0%/連対率33.3%/複勝率66.7%/単回収率0%/複回収率166%

反対に良馬場時は単勝オッズ20倍以上の人気薄の好走はなし。日本の主流条件で素質馬が力を出し切りやすい舞台のため、素直に能力の高い馬を狙うのがベターでしょう。現時点では週末まで晴れ予報ではありますが、当日までしっかりと馬場状態をチェックしたいレースです。


血統解説

・レーベンスティール
リアルスティール×トウカイテイオーらしいスレンダーな体つきですが、母母父リアルシャダイから受け継ぐ馬力も兼備しており、3歳時には中山芝2200mのセントライト記念を勝利。身体が締まってきた現在は小回りコースの中距離戦がベスト条件でしょう。東京芝1800mは得意条件とはいえず、今回は4歳馬の上昇度に期待したいところです。

・ジェイパームス
母キラーグレイシスは米2歳GⅠハリウッドスターレットSの勝ち馬で、半兄キラーアビリティは2021年ホープフルS優勝馬。本馬はWild Againの3×5が特徴的なジャスタウェイ産駒で、血統上はハイペース適性の高い先行粘着型という印象です。東京コースにこだわって使ってきていますが、古馬になった現在は小回りコースの引き締まった流れがベスト。今回は連勝の勢いに期待という4歳馬です。

・トゥデイイズザデイ
力の要る馬場で注目したいのは母父にSadler's Wells系Kitten's Joyを持つ本馬。母がRobertoの4×5を持つ配合形でもあり、このような馬場は大歓迎のディープインパクト産駒です。5歳馬ではありますが、今回がキャリア13戦目と経験も浅く、広義ではエプソムC向きの実績馬とも言えるのではないでしょうか。

2024年エプソムCの有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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