【新潟大賞典】長い直線でのスピードが最重要 国内6戦すべて上がり最速のレーベンスティールに注目
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は5月5日(日)に新潟競馬場で行われる新潟大賞典について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった20頭を検討対象とし過去10年のデータを使用する。
重要データ:直線が長く瞬発力が求められるコース
新潟大賞典は新潟競馬場の外回りコースを使用するワンターンの2000m戦という条件だ。最後の直線は約659mと日本の競馬場では最長の距離を誇るコースで、上がり3Fの速さが必要になってくる。過去10年、当レースでの上がり3F6位以下だった馬が1頭も勝っていないことからも、上がりの重要性がわかるだろう。
とはいえ、当日の上がり3Fタイムは走ってみないとわからないので、まずは参考になるデータとして前走の上がり3F順位別成績を見る。
1位は【4-3-2-12】で単勝回収率176%、複勝回収率105%と優秀な数字で、重要な要素となっていることがわかる。2位は【1-0-3-17】で単勝回収率26%、複勝回収率59%、3位は【2-0-0-8】で単勝回収率336%、複勝回収率94%となっており、1~3位の馬をトータルすると【7-3-5-37】で単勝回収率146%、複勝回収率84%となる。4位以下の馬が【3-7-5-89】で単勝回収率34%、複勝回収率88%なので勝ち馬を探すという点で参考になるデータだ。
加えて、前走だけに限らず、それ以前も上がりの脚が使えている馬なのかどうかをチェックすることも重要。レーベンスティールは海外で計測不能だった前走を除いたレースすべてで上がり1位をマークしている。
また、その他上位人気が予想されるノッキングポイント、ヨーホーレイクは前走で速い上がりを使えておらず好走データには合致しない。
【前走上がり3F1位の出走予定馬】
・ブレイヴロッカー
・リフレーミング
前走の敗因:中山記念のマイネルクリソーラ
マイネルクリソーラの前走は中山記念5着。このレースは前半1000m通過が58.6秒とハイペースだったものの、内の馬場状態がかなり良かったために外を差してきた馬には厳しく、内々をロスなく回ってきた馬が1~3着を独占した。
1番人気ソールオリエンスは大外を追い込む形になって4着、マイネルクリソーラに関しても出遅れた上に外目を追い込んでの5着だった。同馬とは0.2秒差で、上がり最速はソールオリエンス、次点がマイネルクリソーラ。ソールオリエンスには力負けだったが、1~3着馬たちとの勝負付けはまだ終わってないだろう。
今回のメンバーにはソールオリエンスほど強力な馬はいない。4走前には東京で上がり最速の33.0秒を出しているように本馬は速い上がりを繰り出すことができる馬。しっかりと溜めを作ることができれば直線で見せ場があるかもしれない。
血統解説:ヨーホーレイク、レーベンスティール
・ヨーホーレイク
日本での牝祖は3代母ミルド。母のクロウキャニオンは現役時に兵庫JGで3着がある実績馬だが、繁殖としてはさらに優秀。レパードS勝ちのボレアス(父ディープインパクト)、弥生賞勝ちのカミノタサハラ(父ディープインパクト)など重賞級の馬を多数輩出している。ボレアスがディープインパクト産駒ながらダートで活躍したように母父フレンチデピュティの特性を引き出すことが多い。
ディープインパクト×フレンチデピュティはニックスでもあり、ダービー馬マカヒキが出ている優秀な配合だが、古馬になると徐々にフレンチデピュティの血が表面化して筋肉が硬くなりやすいというのもポイントだ。本馬も前走は2年2か月振りのレースを3着と好走したが、休養前と比べると硬さがあり瞬発力勝負となると疑問符が付く。
・レーベンスティール
日本での牝祖は5代母マギージグス。ファミリーでは京成杯3歳S勝ちでエリザベス女王杯2着のタケノダイヤがいる程度で、ほとんど活躍馬が出ていない。ただ、本馬の半姉ルーチェデラヴィタはコスモス賞を勝利しており、ここにきて勢いも感じられる。前走の香港ヴァーズは海外のため上がり3Fタイムは出ていないが、それ以外の6戦はすべて上がり最速を叩き出している。
父リアルスティール自体はダートタイプも出すように柔らかさだけの馬ではないが、本馬の場合母の持つ血が底力と柔らかさを多く内包していて、同産駒随一の瞬発力タイプに出ているのだろう。5、6歳になるとわからないが、現時点ではまだまだ柔らかい動きができており、ここでも上がり最速で1着というシーンが頭に浮かぶ。
Cアナライズではレーベンスティールを推奨
今回のCアナライズではレーベンスティールを推奨する。なんといっても国内では複勝圏内を外したことがなく、いずれも上がり最速というのは新潟大賞典にぴったりだろう。
対してヨーホーレイクは元々は上がり勝負を得意としていたが、前走の走りや歩きを見ると徐々にフレンチデピュティの特性が出てきており、パワーを要するレースが条件としては合いそう。他ではマイネルクリソーラも出走してくれば穴で面白い存在になる。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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