【新潟大賞典】大器レーベンスティールが参戦 穴で面白いリフレーミング
勝木淳
ⒸSPAIA
1、2番人気未勝利だが……
2001年に新潟競馬場が左回りになり、今開催前まで外回り芝2000mは356レース施行され、上がり最速は【190-81-54-92】勝率45.6%、複勝率77.9%と非常に高いアベレージを残す。向正面、正面直線は大河のごとく雄大で、コーナー部分は短い。最後の直線だけしっかり脚を使えればいい。
この舞台で新潟大賞典は22回行われ、上がり最速は【9-5-5-7】勝率34.6%、複勝率73.1%。勝率が全体の数字を下回るのは春開催だからだろう。市内は山間部ほどではないにせよ、冬の越後は雪に覆われる。
上杉謙信も幾度と進軍を阻まれた冬。春への移ろいは太平洋側に位置する福島と比較してもゆっくりで、芝も完全とはいえない。そして5月の新潟は雨も多い。米どころにとって、実りの秋に向けて欠かせない雨だ。そういった気象条件が競馬場の芝を狂わせる。軽いだけではない。春の新潟は難しい。データは過去10年分を使用する。
1番人気【0-2-3-5】複勝率50.0%、2番人気【0-2-0-8】複勝率20.0%。この10年未勝利だ。最近はこう書くと福島牝馬Sのようにあっさり1番人気に勝たれ、馬券もはずれ、データも破られるのでイヤな予感しかないが、不振は事実。GⅠシーズンに行われるローカル重賞は馬券的な魅力であふれている。
3番人気【3-2-0-5】勝率30.0%、複勝率50.0%、5番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、7番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、不思議と奇数人気の数字がいい。ちなみに偶数は4番人気【0-0-0-10】、6番人気【0-0-1-9】、8番人気【0-0-1-9】となっている。
10番人気以下【2-2-3-60】勝率3.0%、複勝率10.4%は逃げ【0-0-0-4】、先行【2-1-1-14】、差し追い込み【0-1-2-42】。大穴は先行馬だ。
年齢別では7歳以上が【5-2-0-50】勝率8.8%、複勝率12.3%ともっとも勝率が高い。4歳【2-5-3-23】勝率6.1%、複勝率30.3%、5歳【2-1-2-24】勝率6.9%、複勝率17.2%と主力はそこまで振るわない。これら世代の上位クラスは当然、GⅠ戦線に照準を定めており、ここには出てこない。重賞制覇を目指すこれからの馬たちにベテランの壁が立ちはだかる。
穴はリフレーミング
ただ、今年はレーベンスティールがここに回ってきた。昨年セントライト記念でソールオリエンスを破った大器がここから始動する。大目標は宝塚記念だろう。負けられない立場だ。
前走GⅠ【2-1-0-5】勝率25.0%、複勝率37.5%は注意が必要だ。直近の大阪杯は【0-0-0-4】と好走がない。
前走GⅡ【1-4-4-29】勝率2.6%、複勝率23.7%のうち、金鯱賞が【1-1-0-10】勝率8.3%、複勝率16.7%。好走は21年にサンレイポケットが前走6着から1着、ポタジェが3着から2着とそれぞれ着順をあげた。今年は金鯱賞組が多くいるが、先行した3着ヨーホーレイク、10着ヤマニンサルバム、新潟記念を勝っているノッキングポイントに注目だ。
中山記念は【0-2-0-2】複勝率50.0%。2着2頭は中山記念4、8着馬。5着マイネルクリソーラも狙える。東京でもそこそこ結果を残しており、速い上がりを苦にしない。
前走GⅢは【2-1-1-40】勝率4.5%、複勝率9.1%。中距離のローカル重賞という共通点がある前走小倉大賞典は【1-0-0-11】。勝ったのは18年スズカデヴィアス。小倉大賞典は3着だった。小倉と新潟ではコース形態が正反対なので、同じ路線といってもつながりは薄い。とはいえ、3着セルバーグは中距離で後ろに脚を使わせる形になれば最後までしぶとい。
前走OP・L【3-1-3-43】勝率6.0%、複勝率14.0%は福島民報杯【2-0-3-24】に注目しよう。3着以内【2-0-2-6】、4着以下【0-0-1-18】。コースは違えど、重賞挑戦にあたり勢いは欠かせない。1着リフレーミングはおもしろいところだ。
前走3勝クラスを勝った昇級組は【2-3-2-8】。前走東京【0-1-2-2】、阪神【1-2-0-3】などが強い。中山も【1-0-0-2】で20年トーセンスーリヤが10番人気で勝った。その前走は美浦S(中山芝1800m)でキングズパレスと同じ。今年の美浦Sは芝2000mなのでわずかに違うが、前走同距離の3勝クラス1着は【0-3-2-7】複勝率41.7%。悪くない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【競馬】2023年「逃げ限定」リーディングは坂井瑠星騎手 「逃げない騎手」などデータで浮き彫りに
・【競馬】2023年新種牡馬リーディングをチェック スワーヴリチャードら10頭の覚えておきたい「買い条件」
・【競馬】2024年に産駒がデビューする種牡馬まとめ ダート馬ルヴァンスレーヴが種付け数トップ
おすすめ記事