【天皇賞(春)】重賞連勝中テーオーロイヤルの勢いを重視 データは勝率28.6%の大阪杯組が優勢
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
最強ステイヤー決定戦の参考レース振り返り
京都競馬場の芝3200mを舞台に争われる最強ステイヤー決定戦、天皇賞(春)。昨年の菊花賞馬ドゥレッツァ、2着馬タスティエーラなど4歳勢に加え、連勝中のテーオーロイヤルをはじめとした長距離路線で結果を残してきた馬たちが激突する。ここでは過去10年のデータとともに主な出走予定馬の参考レースを振り返っていく。
大阪杯【データ:A メンバーレベル:A】
過去10年の成績【2-1-0-5】勝率25.0%、連対率37.5%、複勝率37.5%
出走頭数は6頭と少ないが、16、17年にキタサンブラックが連覇を果たしている。
5番枠から先行争いを制してレースの主導権を奪ったスタニングローズが1000m通過1:00.2というスローペースを刻んだ。向正面でローシャムパークが一気に3番手まで捲っていくも、道中2番手からベラジオオペラがローシャムパークとの追い比べをクビ差制し、GⅠ初制覇を達成。勝ちタイムは1:58.2だった。
道中4番手のインを追走した1番人気タスティエーラは直線に入ると伸びを欠いて失速し、11着。案外な結果に終わったが、本来の能力はこんなものではなく、精神的な影響もあったと考えられる。J.モレイラ騎手の手腕で巻き返しを狙う。
阪神大賞典【データ:B メンバーレベル:B】
過去10年の成績【3-5-4-49】勝率4.9%、連対率13.1%、複勝率19.7%
最多タイの3勝をあげており、23年はジャスティンパレスとディープボンドのワンツー決着。21年から3年連続で連対中だ。
スタートしてからジャンカズマがレースを引っ張る形となり、1000mを1:03.7で通過するスローペース。1周目のゴール板を通過したところで内から3番手までポジションを押し上げたテーオーロイヤルはそのままロスなく立ち回り、2周目4角では抜群の手応えだった。直線を向いて堂々先頭に立つと後続に5馬身差をつけて快勝。稍重で行われ、勝ちタイム3:06.8での決着となった。
2着はワープスピード。序盤は11番手のインから運んだが、2周目の向正面で5番手まで進出。直線は馬群を捌いてレースを進め、好位追走から外を回して伸びてきた3着ブローザホーンの追い上げをクビ差制した。
4着プリュムドールは勝負所で内に包まれてポジションを下げる場面や直線で他馬と接触する場面がありながら、勝負根性を見せてブローザホーンから1馬身差だった。その他にも6着サヴォーナ、7着ディープボンド、8着メイショウブレゲ、11着シルヴァーソニックも出走を予定している。
勝利したテーオーロイヤルは近走の充実ぶりが際立っており、今回も中心視できる存在。ワープスピードは2戦連続でテーオーロイヤルに完敗という内容も、初の3000m挑戦だったブローザホーンとともに自身の力は発揮できた。またタフな展開となった場合、プリュムドールにも引き続き注目したい。
日経賞【データ:B メンバーレベル:C】
過去10年の成績【3-2-3-42】勝率6.0%、連対率10.0%、複勝率16.0%
過去10年では14年フェノーメノ、21年ワールドプレミア、22年タイトルホルダーが勝利している。
レースの主導権を握ったのはマテンロウレオ。スタンド前に入ると徐々に後続を引き離し、1100m通過は1:06.0と淀みないペースで最終的には大逃げの展開に持ち込んだ。ゴール前は各馬が横に広がる展開となるも、道中後方2、3番手を追走していたシュトルーヴェが馬群を捌いて突き抜けた。勝ちタイムは2:31.4だった。
マテンロウレオはキャリアで初めて逃げる競馬を試み、ゴール前までしぶとく粘ったが、最後は差されて0.2秒差の4着。この逃げを復調のきっかけとして今回もすんなり先行するレースができるかがカギとなりそうだ。
ダイヤモンドS【データ:C メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-1-1-16】勝率0.0%、連対率5.6%、複勝率11.1%
過去10年でダイヤモンドS組の勝利はなく、15年フェイムゲームの2着が最高着順。直近では22年にテーオーロイヤルが3着に入っている。
スタートから600m地点まではヒュミドールとグランスラムアスクが競り合いややペースが速くなったものの、スタンド前でヒュミドールが逃げる形でペースは落ち着いた。ほぼ縦一列で淡々と流れ、直線残り400m標識を過ぎたあたりからゴールまでテーオーロイヤルとサリエラの一騎打ちが続いた。最後はクビ差でテーオーロイヤルが制し、2年ぶり2度目のダイヤモンドS制覇となった。
サリエラはテーオーロイヤルの1列前、3番手の外を追走。直線ではテーオーロイヤルに食い下がったが、瞬発力勝負で差しきれなかったことから、最後は長距離適性の差が出てしまった印象だ。それだけにタフな流れになった時は不安が残る。
金鯱賞【データ:C メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-0-0-1】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
金鯱賞から天皇賞(春)への参戦は、23年ディープモンスターのみ。14着という結果に終わっている。
スタートしてシーズンリッチが先頭に立つも、2角でエアサージュがかわしていきレースを引っ張る形となった。1000m通過は58.4。後方から中団までポジションを押し上げたプログノーシスは直線で開いた内から力強く伸びると、後続に5馬身差をつけて完勝。勝ちタイム1:57.6で連覇を達成した。
菊花賞以来の出走だったドゥレッツァは中団のインを追走。直線は外へと持ち出してジリジリと伸びてきたが2着が精一杯だった。当日はインコースが伸びる馬場状態だったが外を回したこと、59kgを背負っていたことを考慮しても2000mがベストのプログノーシスには完敗。それでも今回は距離延長と叩き2走目の上積みもある。長距離路線なら見直してもいい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
《関連記事》
・【天皇賞(春)】「前走で阪神大賞典勝ち」は複勝率77.8% テーオーロイヤル最有力もドゥレッツァの成長力にも注目
・【青葉賞】1番人気は複勝率90.0% 有力なのは2400m経験馬ウインマクシマム、ショウナンラプンタ
・【天皇賞(春)】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事