【大阪杯】「マイルで勝ち鞍がある牝馬」は複勝率62.5% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
ⒸSPAIA
データで見る「穴候補3頭」
今週末の阪神メインは大阪杯。春の芝中長距離戦線はドバイ組と国内残留組に分かれるのが近年お決まりで、今年もドウデュースやリバティアイランド、スターズオンアース、ジャスティンパレスらが(日本時間)前日深夜に行われるドバイターフ、ドバイシーマクラシックへの遠征を選択した。
一方、国内組の決戦となるコチラはタスティエーラやソールオリエンス、ベラジオオペラといった4歳勢が人気になりそうだ。ただ、周知の通り現4歳の牡馬は世代レベルに疑問が投げかけられており、波乱の可能性はある。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。
「マイル寄りの中距離馬」が穴を開ける ハーパー
まず1頭目はハーパーをピックアップ。昨年はリバティアイランドという絶対的な存在に阻まれたが、三冠を皆勤して4、2、3着と善戦した。ここは鬼の居ぬ間に、と意気込んでいることだろう。
GⅠ昇格以降の大阪杯では「マイル寄り」の距離適性を持つタイプがよく穴を開けている。17年7番人気2着ステファノス、18年6番人気2着ペルシアンナイト、19年9番人気1着アルアイン、23年10番人気3着ダノンザキッドあたりがその典型例だ。この点をデータで洗い出す。
過去7年の大阪杯で「過去に1600mで勝ち鞍があった馬」は【3-5-3-19】複勝率36.7%、単回収率128%、複回収率90%。比較対象として「2400mで勝ち鞍があった馬」も調べると【1-2-2-21】複勝率19.2%、単回収率9%、複回収率42%と大きな差が付いた。マイルで勝てるスピードが武器となる一方、長めの距離が得意なスタミナ型は苦戦している。
マイルで勝ち鞍がある馬のうち、牝馬は【2-3-0-3】複勝率62.5%、単回収率203%、複回収率137%。また現時点で枠は未定だが、馬番1~8番【3-2-2-9】複勝率43.8%、単回収率240%、複回収率105%となっている。「マイルをこなせる牝馬」または「マイルをこなせる内枠の馬」が穴候補だ。
ハーパーは昨年のクイーンCを1:33.1で勝利。現行条件の同レースとしては史上2位タイの好タイムであり、スピードという観点では申し分ない。オークス2着の走破時計は2:24.1。これは翌週ダービーの勝ち時計より1.1秒速く、ペースの差があるとはいえタスティエーラとソールオリエンスを遥かに上回っていた。有馬記念でもその2頭とはほぼタイム差なしでのゴールイン。それでいてオッズに差がつくならお買い得だ。
「前哨戦で負けた実力馬」の反撃に警戒 ルージュエヴァイユ
2頭目にはルージュエヴァイユを選ぶ。昨秋は府中牝馬Sとエリザベス女王杯で連続2着。休養明けの京都記念2番人気8着から巻き返しを期す。
かつて「天皇賞(春)に向けた始動戦」だったこのレースは、GⅠ昇格に伴って「前哨戦を叩いて獲りに来る大一番」に様変わり。その結果、暮れのGⅠから直行する馬より、2~3月のGⅡを使った組が好成績を残すようになってきた。
警戒すべきは「前哨戦で負けた実力馬」だ。先ほど少し触れたアルアイン(前走金鯱賞5着)やダノンザキッド(前走中山記念11着)あたりもこのパターンだった。「前走GⅡで3番人気以内に推されて5着以下」の馬は【1-2-1-9】複勝率30.8%。このうち過去にJRAのGⅠで連対したことがあれば【1-2-1-4】複勝率50.0%、単回収率277%、複回収率193%となる。調整途上のレースで大きく負けたからといって、本来の能力を忘れてはならない。
ルージュエヴァイユがちょうどここに合致する。もともと3勝クラスを上がり32.9秒で勝ち、府中牝馬Sでも同32.7秒をマークするなど軽い芝で良さが出るタイプ。重馬場の愛知杯で12着大敗の過去もあり、京都記念も荒れた馬場が合わなかっただけと片付けてよかろう。週末の馬場コンディションにもよるが、軽視禁物の1頭だ。
「サンデーレーシングの関西馬」は休み明けでも問題なし スタニングローズ
最後は5歳牝馬スタニングローズを取り上げる。3歳時にオークスと秋華賞でスターズオンアース、ナミュールとしのぎを削った実力馬だ。各所予想オッズでの低評価は、やはり約11か月ぶりの実戦となる点が嫌われているのだろう。ただ、そこは天下のノーザンファームしがらき調整。さほど敬遠する必要もなさそうだが、いかがだろうか。
外厩については公式なデータがないので、他の情報から類推するしかない。今回は「サンデーレーシング所有の関西馬」というくくりでデータを調べてみた。
過去10年のJRA重賞において「サンデーレーシングの関西馬」が中20週以上空けて出走したケースは【6-4-5-21】複勝率41.7%、単回収率203%、複回収率119%。なかでも芝1800~2400m戦なら【5-3-3-9】複勝率55.0%、単回収率261%、複回収率159%と好走率も馬券妙味もバツグンだ。ちなみに中19週以内の出走なら【60-62-53-393】複勝率30.8%、単回収率73%、複回収率76%。これと比べても妙味があるのは出走間隔が空いている方だ。少なくとも、減点する必要はどこにもない。
スタニングローズは同舞台で秋華賞を勝ったあと3連敗中。ただしそれぞれ、重馬場、開幕週で外々を回って0.2秒差、適性外のヴィクトリアマイル、と敗因は明確であった。休み明けの不安だけで評価を落とすなら、前記のデータを信じて攻めるのも一考だ。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
《関連記事》
・【大阪杯】タスティエーラ、ソールオリエンスは揃って消し ハイブリッド式消去法
・【大阪杯】前走内容から巻き返し必至 GⅠ級の能力秘めるローシャムパーク
・【大阪杯】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事