【日経賞】軸は4番人気以内に絞れるレース アーバンシック、ハヤヤッコに好機到来

勝木淳

過去10年のデータから見る日経賞,ⒸSPAIA

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4番人気以内10勝

舞台は有馬記念と同じ芝2500m。このコースはペース次第でレースの色が目まぐるしく変わる。

昨年の有馬記念は1000m通過が推定1:02.9。当日9Rのグッドラックハンデよりも遅い流れになったことで、最後は決め手比べになり、牝馬レガレイラが勝ち、2着はシャフリヤールだった。どちらもスローペースの末脚勝負に強く、決してスタミナ型ではない。

一方、タイトルホルダーらが平均的な流れを演出すると、持続力型が台頭する流れになる。

日経賞は実績馬が休み明けで出走する年が多く、天皇賞(春)を見据えた位置になるせいか、ほぼスローペースで流れ、良馬場なら決め手比べになる。末脚勝負となれば、よほどポジションが優位でない限り、人気薄に出番は回ってこない。

だが、雨の多い季節柄、過去10年で3回は稍重、不良馬場で行われ、悪化した馬場への対応力も求められる。今年の春も道悪での競馬があり、馬場はいいとはいえない。掘れる馬場への適性も結果に影響してきそうだ。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%をはじめ、勝ち馬はすべて4番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%以内だ。

穴は7番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%あたりまでで、人気薄はちょっと苦しい。4番人気以内を軸に7番人気ぐらいまで。比較的絞りやすい重賞ではある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


4歳が【5-4-0-13】勝率22.7%、複勝率40.9%と一歩リードし、5歳【4-2-3-24】勝率12.1%、複勝率27.3%が続く。

ただし、7歳以上【0-3-4-31】複勝率18.4%と経験豊富なベテランが2、3着に入るケースも目立つ。4、5歳中心も、高齢馬にも気を配らないといけない。

アーバンシック中心も穴馬の影あり

菊花賞馬アーバンシックがここから始動する。有馬記念6着も含めなんとなくタイトルホルダーのイメージに近い。ベテランが2、3着に入るというデータから重賞連勝中の7歳シュヴァリエローズも侮れず、ハヤヤッコの出走も尊い。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


ざっくり距離別成績を出すと、同距離が【3-4-3-13】勝率13.0%、複勝率43.5%と高い。

当然、前走有馬記念が【3-4-3-8】勝率16.7%、複勝率55.6%と中心。さらに9着以内なら【3-2-2-2】なので、アーバンシックの中心は揺るがない。10着以下も【0-2-1-6】で、15着ハヤヤッコだって出番はある。ハヤヤッコは、基本は上がりがかかる持続力勝負タイプで、馬場や展開次第で狙える。

距離延長【7-5-5-68】勝率8.2%、複勝率20.0%は2400m【5-2-0-11】勝率27.8%、複勝率38.9%に注目。日経新春杯【3-1-0-4】なので、3着マイネルエンペラーはチャンスか。ただし、今年の日経新春杯は中京芝2200m。気をつけよう。ちなみに2200mは【2-3-3-33】勝率4.9%、複勝率19.5%とトーンダウンだ。

前走2200m・レース別成績,ⒸSPAIA


その2200mのレース別ではAJCCが【2-3-3-16】勝率8.3%、複勝率33.3%で好走はすべてここ。それ以外は京都記念【0-0-0-10】など全滅だ。2着リビアングラスなど上位人気候補もいる。

AJCCは中山記念、金鯱賞と相性が悪く、阪神大賞典や日経賞とつながる。2200mという距離以上にスタミナを試されるレースだ。

前走AJCC・着順別成績,ⒸSPAIA


だが、AJCC2着以内は【0-0-0-3】と好走なし。距離以上にタフになりやすく、好走後の反動もあるので、ややこしい。好走ゾーンは3~5着【1-3-2-3】、あっても6~9着【1-0-1-7】まで。2着マテンロウレオではなく、9着マイネルクリソーラか。

マイネルクリソーラは昨年中山金杯、中山記念は3、5着。勝ち鞍は洋芝の1800、2000mで、イメージより長い距離が合いそうだ。父スクリーンヒーローはアルゼンチン共和国杯を勝ち、父の父グラスワンダーは有馬記念連覇。2500mでこそ輝くのではないか。

2500m超からの短縮は【0-1-2-18】複勝率14.3%。AJCCでスタミナを強調したが、冒頭で触れたとおり、スローペースの末脚勝負になりやすいのも日経賞の特徴。短縮はそう機能しない。

ステイヤーズSは【0-0-2-1】で見限れないものの、勝ち馬シュヴァリエローズには気になるデータだ。また、ダイヤモンドSは【0-0-0-10】と好走なし。3着ヴェルミセルは2走前に同舞台を勝っており人気になりそうだが、ちょっと危険な香りがする。

過去10年のデータから見る日経賞,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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