【高松宮記念】「香港スプリント組」「ペアポルックス」「ナムラクレア」に熱視線 ママコチャには気になるデータ

勝木淳

過去10年のデータから見る高松宮記念,ⒸSPAIA

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人気も年齢も傾向なしの混戦

名古屋に春を告げる桶狭間の電撃戦はここ5年、雨の影響を受け続けた。5年連続で重、不良。快晴だった年も前日の大雨によって馬場が回復しきらないまま本番を迎えるなど、スプリントGⅠながら、スピードを削がれる状況が続いた。

そんな道悪の高松宮記念で2年連続2着だったのがナムラクレア。これまではシルクロードS、京都牝馬Sと前哨戦から本番に進んでいたが、今年は暮れの阪神C1着から直行。間隔をとっての出走で3度目の正直を目論む。

スプリンターズSも2022年から5着、3着、3着であり、スプリントチャンピオンにもっとも近い存在ながら、その頂点が遠い。先に頂点に立ったママコチャ、マッドクール、ルガルも顔をそろえるここは、是が非でも勝ちたいところ。6歳牝馬、もうそんなにチャンスは多くない。

今回もデータは過去10年分を使用して分析を行っていく。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と主役がなかなか期待に応えられない。2番人気が【2-5-0-3】勝率20.0%、複勝率70.0%なので人気馬総崩れのイメージもないが、3~6番人気が各1勝、8番人気以下も3勝と人気による差がない。どこからでも入れるGⅠだ。


年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢も4歳【2-3-2-32】勝率5.1%、複勝率17.9%に5歳【4-4-2-38】勝率8.3%、複勝率20.8%で、6歳も【2-3-4-36】勝率4.4%、複勝率20.0%と互角。7歳以上も【2-0-2-44】勝率4.2%、複勝率8.3%なので、年齢もどこからでも入れる。なかなか傾向をつかめないGⅠである。


ママコチャ、カンチェンジュンガに黄信号

各前哨戦の勝ち馬、シルクロードSのエイシンフェンサー、阪急杯のカンチェンジュンガ、オーシャンSのママコチャのうち、1番人気の勝利はママコチャだけだった。

カンチェンジュンガは7番人気、エイシンフェンサーも9番人気と前哨戦も堅く収まらない。各チャンピオンにナムラクレアという強力布陣の上位陣は格の違いをみせつけられるだろうか。


前走レース別成績,ⒸSPAIA


高松宮記念は前哨戦経由が7勝と、休み明けで挑むローテを上回る。

一方で、暮れの香港スプリント経由は【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%と好成績。今年は3着サトノレーヴ、9着トウシンマカオ、11着ルガルと実績馬が並ぶ。

ちなみに1着【1-0-0-0】、6着以下も【1-0-1-1】と着順は問わない。マッドクールは昨年8着から頂点に立った。重賞2勝のサトノレーヴ、重賞4勝に昨秋GⅠ2着のトウシンマカオ、そして昨秋チャンピオンのルガルと、実績でいえばどれが勝ってもおかしくない。


前走シルクロードS・着順別成績,ⒸSPAIA


シルクロードSは【5-2-0-25】勝率15.6%、複勝率21.9%と最近の主要ローテだ。

ここは着順をみる。1着は【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%と勝ってしまうと凡走する可能性も高まる。だったら2着【2-0-0-4】勝率、複勝率33.3%がいい。

5着以内だと【5-1-0-16】で、6着以下は【0-1-0-9】。今年だと2着グランテストが好走候補になるが、こちらは残念ながら除外対象。23日の愛知杯に出走した。


前走阪急杯・人気別成績,ⒸSPAIA


近年は【1-2-3-34】勝率2.5%、複勝率15.0%と好走馬が少ない阪急杯。こちらは着順よりも人気で明暗くっきり。4番人気以内【1-2-3-16】、5番人気以下【0-0-0-18】と上位人気でないと厳しい。

カンチェンジュンガをはじめ、今年の登録馬は6番人気以下で好走ゾーンなし。2ハロン目からゴールまですべて11秒台を並べ、それなりに評価できるレースだが、データ上、買える馬はいない。


前走オーシャンS・着順別成績,ⒸSPAIA


オーシャンSは【1-1-4-52】勝率1.7%、複勝率10.3%とさらに厳しい。ここは着順に注目。1着が【0-0-0-9】と連勝はおろか、好走もない。ママコチャにとっては試練のデータと言える。

好走ゾーンは2着【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%か、5着【0-0-2-1】複勝率66.7%といったところ。こちらはペアポルックスが一致する。

同馬はテイエムスパーダの逃げを早々にとらえ、直線でセーフティリードをつくる勝ちパターンをつくった。最後はママコチャにつかまったものの、上位のスピードはGⅠでも武器になる。

最後にナムラクレアの阪神Cは【0-1-1-7】複勝率22.2%で、1着馬は【0-1-0-1】。2020年グランアレグリアが2着(※3位入線)だった。前哨戦組に好データに合致する馬が少なく、チャンスは十分ある。

香港スプリント組、ペアポルックス、そしてナムラクレア。今年の布陣だとここに勝ち馬がいるのではないか。


過去10年のデータから見る高松宮記念,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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