【中山記念】GⅠ馬は近7年勝利なし ソールオリエンスは逆風データを克服できるか

逆瀬川龍之介

中山記念のGⅠ馬成績(2017年以降),ⒸSPAIA

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延べ17頭・21回の出走で【0-3-3-15】

中山記念はどういうイメージのレースだろうか。JRAのホームページを抜粋すると「上半期のビッグレースを目標とする実績馬と、力を付けてきた上がり馬とが激突する伝統のレース」「本競走のあとに3月末のドバイ国際競走、4月末の香港・クイーンエリザベスⅡ世カップといった海外のレースに臨む馬も見られる」とある。

まさにその通りでメンバーは多種多彩。また、11年ヴィクトワールピサ、14年ジャスタウェイのように、このレースをステップとしてドバイでGⅠを制した馬も数多い。

では、馬券的な視点で見るとどうか。サイレンススズカやヴィクトワールピサ、ドゥラメンテのような圧倒的1番人気馬が勝ち、本命党を喜ばせた……のは昔の話。意外に思われるかもしれないが、直近のGⅠ馬の勝利は16年のドゥラメンテが最後。17年以降の近7回の勝ち馬は、すべてGⅠ未勝利馬だったのだ。

かといって、GⅠ馬が出走していなかったわけではない。以下に近7回のGⅠ馬の成績を列挙したので見てほしい。

<2017年>
3着 ロゴタイプ(7番人気)
5着 ヴィブロス(4番人気)
7着 ヌーヴォレコルト(6番人気)
8着 リアルスティール(2番人気)

<2018年>
2着 アエロリット(5番人気)
5着 ペルシアンナイト(1番人気)
8着 ヴィブロス(3番人気)

<2019年>
2着 ラッキーライラック(6番人気)
3着 ステルヴィオ(2番人気)
4着 スワーヴリチャード(4番人気)
5着 エポカドーロ(3番人気)
6着 ディアドラ(1番人気)

<2020年>
2着 ラッキーライラック(2番人気)
3着 ソウルスターリング(6番人気)
4着 インディチャンプ(4番人気)
5着 ペルシアンナイト(5番人気)
7着 ウインブライト(3番人気)

<2022年>
7着 ダノンザキッド(1番人気)

<2023年>
4着 シュネルマイスター(4番人気)
5着 スタニングローズ(3番人気)
11着 ダノンザキッド(2番人気)

驚くことに延べ17頭・21回の出走で未勝利。1番人気が3頭、2番人気が4頭もいながら、【0-3-3-15】という成績は、少し言葉は悪いが酷い。

これはなぜか。「偶然でしょ?」と思う人がいるかもしれないが、個人的には「偶然ではない!」と断言したい。ズバリ、その理由はGⅠ馬の大目標が中山記念ではなく、その先のドバイや香港、大阪杯だから。中山記念では実績が評価されて人気を集めるものの、先を見据えた仕上げとあって力を出し切れないのだ。また、秋のビッグレースを戦ってきた馬にとって、2月末の中山記念は少し早い始動戦。寒い時期ということもあり、仕上げが容易でないことは想像がつく。

今年の中山記念には、昨年の皐月賞を制したソールオリエンスと一昨年の皐月賞馬ジオグリフがエントリー。特にソールオリエンスは皐月賞の後も日本ダービー2着、菊花賞3着と、昨年の牡馬クラシックを中心的存在として駆け抜けた。有馬記念ではリズムの悪い競馬となり、自身初の馬券圏外となる8着に終わったが、今回のメンバーでは一枚上の存在。当然ながら1番人気が予想されるが、果たして“ジンクス”を克服できるか。データを信じれば、馬単や3連単のヒモに留めるのが得策となりそうだ。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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