【きさらぎ賞】武豊騎手が他を圧倒する6勝 クラシック前哨戦の「記録」を振り返る
緒方きしん
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父サンデーサイレンスを圧倒する戦績の種牡馬ディープインパクト
今週はきさらぎ賞が開催される。スペシャルウィークやネオユニヴァース、アサクサキングスやサトノダイヤモンドといったクラシックホースを数えきれないほど輩出してきた一戦。牝馬のルージュバックが勝利したこともあるように、多種多彩なメンバーが集結する。今回は、きさらぎ賞の記録を振り返っていく(データはすべて1986年以降のもの)。
種牡馬としての最多勝は、5勝をあげているディープインパクト。2011年トーセンラー、2012年ワールドエース、2014年トーセンスターダム、2016年サトノダイヤモンド、2019年ダノンチェイサーと、2010年代の半分を占めた。トーセンラーは皐月賞7着、ダービー11着と春クラシックこそ振るわなかったが、舞台が京都競馬場に戻った菊花賞では3着と好走。5歳シーズンには同じく京都競馬場のマイルCSを制するなど、無類の京都巧者と呼ばれた同馬の重賞初挑戦、初制覇が、このきさらぎ賞だった。
ディープインパクトに続く4勝をあげたのが、ディープインパクトの父でもあるサンデーサイレンス。こちらは1996年ロイヤルタッチ、1998年スペシャルウィーク、2001年アグネスゴールド、2003年ネオユニヴァースが制しており、スペシャルウィークは2009年リーチザクラウンで、ネオユニヴァースは2010年ネオヴァンドームで同レースの父仔制覇を達成している。他にもマンハッタンカフェ産駒が2勝、フジキセキ産駒が2勝など、父の父としても存在感を示し続けている。
3着以内に範囲を広げると、ディープインパクト産駒の占有率はさらに高まり、なんと17頭もの馬が馬券圏内に食い込んでいる。サンデーサイレンス産駒は8頭と、差を広げられる結果となった。また、ステイゴールドの仔は、オルフェーヴル、アッシュゴールドの全兄弟がいずれも3着と好走しているが、馬券圏内はその2頭のみ。しかしオルフェーヴルは2019年に2着タガノディアマンテ、2021年に勝ち馬ラーゴムを送り出し、父としてリベンジを果たしている。
ディープインパクト産駒で4勝をあげる池江泰寿厩舎
調教師としての最多勝は、4勝をあげる池江泰寿調教師。勝ち馬は2012年ワールドエース、2014年トーセンスターダム、2016年サトノダイヤモンド、2019年ダノンチェイサーと、なんと全てがディープインパクト産駒。上述したきさらぎ賞を制した同産駒5頭のうち、トーセンラーを除く4頭が池江泰寿厩舎の管理馬であった。他に3着以内に食い込んだ管理馬は4頭いるが、オルフェーヴル、アッシュゴールドはステイゴールド産駒、アルジャンナ、サトノアーサーはやはりディープインパクト産駒と、非常にわかりやすい傾向が見られた。
騎手としては武豊騎手の6勝が最多。3勝以上をあげている騎手がいないなか、圧倒的な戦績となった。特に1998年の勝ち馬スペシャルウィークはその後、皐月賞3着、ダービー1着、菊花賞2着という戦績を残し、引退してからは人気種牡馬となった。父としてはリーチザクラウンが、母父としてはフリームファクシがきさらぎ賞を制しているが、人気種牡馬エピファネイアの母父としても血統表に名を残していて、今後もきさらぎ賞をはじめ多くのレースで見かけることになるだろう。
騎手として2位タイは、2勝をあげているM.デムーロ騎手、O.ペリエ騎手、丸山勝秀騎手、川田将雅騎手、藤田伸二騎手の5名。うちM.デムーロ騎手と藤田伸二騎手は2年連続勝利で掴み取った2勝となる。
藤田伸二騎手とともにきさらぎ賞を制したのは、マイネルブルックとコンゴウリキシオー。コンゴウリキシオーは芝ダートどちらにも適性を示した素質馬で、日本ダービーとジャパンダートダービーの両方に出走した。同期にディープインパクトやカネヒキリという歴史的名馬がいたこともあり、GⅠまでは手が届かなかったが、藤田伸二騎手とのコンビで5歳時に芝1600mのマイラーズC、6歳時にはダート1400mのかきつばた記念を制するなど、幅広く息の長い活躍を見せた。
今年の勝ち馬は果たして、どのような道のりを歩んでいくのだろうか。素質馬たちの激突を見守りたい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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