【根岸S】先行馬や前走1400m以下の馬は苦戦傾向 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
ⒸSPAIA
フェブラリーSへ直結する重要な一戦
1月28日、東京競馬場では根岸S(GⅢ)が行われる。当レースの勝ち馬は過去10年で、4頭が次走のフェブラリーSを勝利しており、GⅠへと直結する重要な一戦だ。
過去の傾向を見ると、2番人気以内の馬が直近10年で【6-4-3-7】(複勝率65.0%)と安定した成績を収めており、比較的堅い決着が多い印象だ。馬券検討においては人気馬の取捨選択を慎重に行ない、買い目を絞って勝負したい。今回は過去10年(14~23年)における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
前走で積極策を取っていた馬は割引
まずは前走の3角位置別成績に着目する。前走3角で3番手以内だった馬は【1-1-0-38】勝率2.5%、連対率、複勝率5.0%と振るっていない。回収率でみても単回収率4%、複回収率9%と厳しい数字となっており、前走で積極策を取っていた馬は評価を下げた方がいい。
前走3角で4~13番手だった馬は【7-7-8-79】勝率6.9%、連対率13.9%、複勝率21.8%となっており、さらに後方の3角14番手以下だった馬は【2-2-2-6】勝率16.7%、連対率33.3%、複勝率50.0%と秀でた成績を残している。ダートレースは先行勢に有利な印象があるが、当レースではむしろ追込脚質の馬が有利のようだ。
東京競馬場のダートは最終直線の長さが501.6mあり、これは日本のダートコースで最も長い。他の直線が短いコースでは末脚が届かなかった馬でも、東京であれば差し切ることが十分に可能である。この点を踏まえれば、当レースにおける追込馬優勢の傾向にも納得がいく。先行馬の評価を落として、後方からレースを進める馬を積極的に狙いたい。
GⅠ転戦組を除いても、距離短縮馬が優勢
続いては各馬の前走距離に関するデータを取り上げる。なお、前走障害競走の馬は除く。前走1400m以下だった馬は【3-6-5-95】勝率2.8%、連対率8.3%、複勝率12.8%と振るわない一方、前走1500m以上の馬は【7-4-5-31】勝率14.9%、連対率23.4%、複勝率34.0%と素晴らしい成績を残している。
このデータだけなら、当レースにおいては距離短縮のローテーションが有利だとわかる。ただし、この中にはハイレベルな前走チャンピオンズC組が含まれており、距離短縮馬の好成績は当然という見方もあるはずだ。
そこで前走がGⅠ、JpnⅠだった馬を除いて、改めて前走距離別の成績を集計した。すると前走1400m以下の馬が【3-5-5-91】勝率2.9%、連対率7.7%、複勝率12.5%であるのに対し、前走1500m以上の馬は【4-3-2-16】勝率16.0%、連対率28.0%、複勝率36.0%。2つの組の差は縮まるどころか、さらに好走率に差が出る結果となった。
データから判断するに、前走クラスにかかわらず「距離短縮組が優勢」である。今年はチャンピオンズCからの転戦組は1頭もいないが、素直に距離短縮馬を評価したい。反対に、前走1400m以下のレースを使っていた馬に重い印は打ちづらい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走3角3番手以内
・前走1400m以下
これらを踏まえて、今回はエンペラーワケアを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
当馬は2勝クラス、3勝クラスを圧勝しており、そのパフォーマンスから今回は上位人気の可能性が高い。しかし今回はOP昇格初戦でいきなりの重賞挑戦であり、一気の相手強化となる点は注意が必要だ。
また、今回紹介した2つの不安データに該当しており、特に先行脚質である点は気がかりだ。近2走で圧勝した時も先行押し切りだったが、直線が極端に長い府中でも粘り込みが図れるとは限らない。加えてキャリアが6戦と浅いなかで、今回が初の関東圏への輸送である点も懸念材料だ。
力関係やコース対応など様々な面が未知数なだけに、上位人気に足る信頼は置きにくい。重い印を打つことは避けるべきとみる。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
《関連記事》
・【根岸S】武蔵野S組が10年で4勝と好相性 注目はタガノビューティー、4連勝中サンライズフレイムにも魅力あり
・【根岸S】過去10年で差し追込9勝、武蔵野S組4勝 東京巧者タガノビューティーを推奨
・【根岸S】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事