【日経新春杯】前走着順、前走4角位置に明暗 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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淀に帰ってきた新春のハンデ重賞
1月14日、京都競馬場では日経新春杯(GⅡ)が行われる。中京開催となった直近3年は人気薄の激走も目立ったが、17~19年は1番人気馬が3年連続で勝利。京都開催時には人気サイドによる順当決着も目立っており、舞台が淀に戻る今年は傾向をしっかりと見直したい。今回は京都開催の過去10年(11~20年)における当レースのデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
前走での着順は要チェック
出走各馬の前走着順に注目すると、1~5着だった馬が【7-9-8-32】勝率12.5%、連対率28.6%、複勝率42.9%と好成績を収めていた。これに対して6~9着だった馬は【3-1-0-32】勝率8.3%、連対率、複勝率11.1%と振るっておらず、10着以下だと【0-0-1-46】勝率、連対率0.0%、複勝率2.1%とほとんどが好走できていなかった。
前走10着以下の馬の凡走は、勢い盛んな明け4歳馬も例外ではなく、この組に該当する4歳馬は【0-0-0-6】と好走馬が1頭もいなかった。この中には上位人気に推された馬も含まれており、アフリカンゴールド(19年4番人気15着)、ラウンドワールド(14年5番人気11着)などが2桁着順の大敗を喫している。
過去のデータを見る限り、前走で掲示板内を確保していた好調な馬が当レースでも好走している。一方、前走で10着以下に崩れた馬の評価は下げた方が良い。
菊花賞で1.0秒以上負けた馬は割引
今回の登録メンバーを見ると、前走が菊花賞だった明け4歳馬が数多くエントリーしており、人気の中心となりそうだ。菊花賞からの転戦は【3-0-0-6】勝率33.3%となっており、“1着か馬券外”という極端な成績となっている。
この組の取捨を考える上では、前走での着差に注目したい。菊花賞からの転戦馬全てが前走で敗れた馬だったが、その中でも前走着差が0.9秒以内だった馬は【3-0-0-1】勝率75.0%で、4頭中3頭が当レースでの巻き返しに成功している。反対に前走で1.0秒以上の着差をつけられた馬は【0-0-0-5】で1頭も好走していない。
菊花賞は距離こそ違うが、京都の外回りコースという点では当レースと共通している。仮に2つのレースで類似した適性が問われるとすれば、菊花賞での着差が当レースと関連しているデータには納得がいく。サンプル数こそ少ないが極端な結果が出ているだけに、前走菊花賞で1.0秒以上の着差で敗れた馬は割り引きたい。
後方からレースを進める馬は末脚が重要
前走4角位置別成績を見ると、1~9番手につけていた馬が【6-9-8-63】勝率7.0%、連対率17.4%、複勝率26.7%と良好であった。これに対して、前走4角10番手以下の馬は、【4-1-1-47】勝率7.5%、連対率9.4%、複勝率11.3%と低調だった。京都コースは直線が平坦なこともあり、先行馬が残りやすい。当レースにおいても、勝負所となる4角で位置を取れる馬が優勢となっている。
前走で4角10番手以下だった馬からも好走馬が出ているが、この組の見極めには前走での上がり順位に注目したい。この組の中で前走上がりが1位だった馬は【3-0-0-4】勝率42.9%と好成績を収めていた。一方で前走上がりが2位以下の馬は【1-1-1-43】勝率2.2%、連対率4.3%、複勝率6.5%と苦戦を強いられている。前走の勝負所で後手を踏み、かつ上がり最速の末脚を発揮できていない馬は軽視したい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走10着以下
・前走菊花賞で着差1.0秒以上
・前走4角10番手以下、かつ上がり2位以下
これらを踏まえて、今回はサトノグランツを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
当馬は京都新聞杯を勝利しておりコース実績はあるが、このレースの2着以下で後にオープン昇格を果たした馬は現時点で1頭もいない。それどころか3勝クラスで掲示板に載った馬もおらず(3着リビアングラスが菊花賞で4着に入ったのみ)、レースレベルには疑問が残る。ここで5着馬までと0.1秒差という辛勝であった当馬について、この結果のみでコース適性を推し測ることはできない。
また、57.5kgのハンデも見込まれた印象を受ける。GⅡ・2勝の実績があるとはいえ、菊花賞で先着を許した面々との斤量差が大きい点は気がかりだ。上記3つの不安データにも該当しているだけに、実績面から人気を集めるようなら重い印は打てない。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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