【京成杯】人気薄でも活躍するハービンジャーの血 ホープフルS勝ち馬とほぼ同血のアーバンシック
坂上明大
ⒸSPAIA
傾向解説
皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に行われる京成杯。GⅠ戦線に乗り遅れた馬のための賞金加算の舞台ともいえ、春のクラシック本番に向けて非常に重要な一戦です。本記事では血統面を中心に、京成杯のレース傾向を整理していきます。
まず紹介したいデータは前走距離別成績。過去10年では前走距離が長いほど成績が良い傾向にあり、マイラーにはなかなか厳しいレースとなっています。元々中山芝2000mは若駒にはタフなコースレイアウトで、前年末からの連続開催により馬場の消耗が進んでいることもこの傾向に大きく関係しているのでしょう。先行馬の苦戦傾向もこの適性予想を後押ししており、やはりスピードだけでは乗り切れないレースといえそうです。
<京成杯出走馬の前走距離別成績(過去10年)>
1400m【0-0-0-1】勝率0%/連対率0%/複勝率0%/単回収率0%/複回収率0%
1600m【1-1-0-17】勝率5.3%/連対率10.5%/複勝率10.5%/単回収率38%/複回収率71%
1800m【4-1-1-29】勝率11.4%/連対率14.3%/複勝率17.1%/単回収率114%/複回収率50%
2000m【5-8-9-62】勝率6.0%/連対率15.5%/複勝率26.2%/単回収率34%/複回収率67%
血統面では、Sadler's WellsやRobertoといった重厚な中長距離血統の活躍が目立ちます。前述の通り、スピード重視のマイラーには厳しいレースですから、中長距離血統の活躍は当然の傾向といえるでしょう。特に、2016年1着プロフェットと22年3着ヴェローナシチーはRobertoのクロス、15年3着クルーガー、20年2着スカイグルーヴ、22年1着オニャンコポンはNureyev≒Sadler's Wellsの3/4同血クロスを持つなど、近年は同血脈を増幅した配合馬の好走が目立ちます。
また、現役種牡馬ではハービンジャーの産駒に注目。2015~16年にはベルーフ、プロフェットが2年連続で本レースを制し、一昨年もロジハービンが5番人気で2着と人気薄の好走馬を複数頭輩出しています。
<血統別成績(過去10年)>
Sadler's Wells【3-1-6-16】勝率11.5%/連対率15.4%/複勝率38.5%/単回収率73%/複回収率109%
Roberto【5-3-7-34】勝率10.2%/連対率16.3%/複勝率30.6%/単回収率91%/複回収率92%
ハービンジャー【2-1-1-7】勝率18.2%/連対率27.3%/複勝率36.4%/単回収率150%/複回収率120%
血統解説
・アーバンシック
3代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母母ランズエッジは名馬ディープインパクトの3/4同血の妹。さらに、母エッジースタイルは2023年ホープフルS優勝馬レガレイラの母ロカの全妹であり、本馬はレガレイラと同じスワーヴリチャードの産駒でもあります。つまり、本馬はレガレイラと血統構成がほぼ同じで、似た適性を見込むことができそうです。母父ハービンジャーは本レースと相性の良い血で、能力面からも血統面からも注目の一頭といえます。
・バードウォッチャー
三冠牝馬アパパネの6番仔であり、兄姉には2021年秋華賞馬アカイトリノムスメなど活躍馬多数。本馬は父にブラックタイドを配し、アカイトリノムスメ(父ディープインパクト)らとは血統構成がよく似ています。ブラックタイド産駒の牡馬である本馬は姉よりも馬力に優れた機動力のあるタイプで、中距離ならコースを問わず堅実な走りを見せてくれるでしょう。
・ジュンゴールド
3代母Numeraria、母母リアルナンバーはともにアルゼンチンGⅠを勝った牝馬で、同牝系には2016年日本ダービー馬マカヒキなどがいます。母がHaloの3×4、本馬がサンデーサイレンスの4×3を持つHalo→サンデーサイレンスを中心とした配合形で、日本の主流条件、特に東京芝2400mがピッタリの一頭です。とはいえ、Sadler's WellsとRobertoの血を併せ持つエピファネイアを父に持ち、同産駒は京成杯でも【0-1-1-2】と健闘。本レースで結果を出しても不思議はないバランスの良さを持っています。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
《関連記事》
・【京成杯】2戦2勝のアーバンシックやジュンゴールドは消し ハイブリッド式消去法
・【京成杯】「7番人気以内の1戦1勝馬」が鉄板 ソールオリエンスと同ローテ、バードウォッチャーが最有力
・【京成杯】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事