【2歳馬ジャッジ】母譲りの末脚が武器 レガレイラが同世代牝馬の最高指数でGⅠ勝ち
山崎エリカ
ⒸSPAIA
12月4週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はホープフルS勝ち馬レガレイラやミッキークイーンの半弟ニュージーズなどが出た、12月23、24、28日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
12月23日(土)中山6R 優勝馬 ウィンドフォール 指数-12(ダート)評価A
レースは12番枠から五分のスタート。ダッシュがついて勢い良く先頭に立った。そのまま逃げるかと思われたが、1角で1番枠のリボルトバレットにハナを奪われて2番手を追走する形になった。道中は折り合いながら同馬と横並びに近い形。ダート1800mの新馬戦としてはペースも緩くない。3~4角では先頭を狙いにいくかなり強気な競馬。4角で早々と先頭に立ち、直線では独走ムード。最後はアムールドパリが迫ってきたが、同馬に2馬身半差、3、4着馬には8馬身半差を付けて完勝した。
指数は古馬1勝クラス勝ちレベルのものを記録し、ラスト2Fは12秒8-12秒6。上がり3Fタイム37秒7も、この週の中山ダ1800mとしてはかなり優秀。まさにテンよし、中よし、終いよしの内容の新馬勝ちだった。2着馬アムールドパリは、次走の未勝利戦を5馬身差で圧勝。ウィンドフォールも今後のダート路線でかなりの活躍が期待できる。
12月24日(日)中山4R 優勝馬 リアレスト 指数-7 評価A
10月中山の新馬戦では13番枠からやや出遅れたこともあり、1角で内に入れず、後方3番手を追走。向正面半ばからじわっと位置を押し上げていったが、4角で一番外を回って4着だった。前走12月中山の未勝利戦も大外18番枠からやや出遅れ。結局、ここでも終始中団後方の外々を追走。3~4角で位置を押し上げ、4角でスピードが乗ってかなり外を回り、直線序盤で置かれ、最後は伸び切れずの4着だった。今回はデビュー3戦目で8番枠に入った。
ここでもやや出遅れたが、やはり枠の利は大きかったようで、1角手前で2列目まで上がり、1角で1列下げ、上手く最内に潜り込むことに成功。好位の最内を追走することができた。3~4角でペースが上がると馬群がばらけ始め、中目に誘導して押し上げ、4角では逃げ馬をかわして先頭に立ったマイネルオーシャンの外2番手に進出。直線では叩き合いになったが、最後は追うものに強みがあり、ハナ差で差し切った。
3着には4馬身、4着馬には6馬身差をつけ、ラスト2Fは11秒7-11秒7と悪くない数字。今までの2戦よりもポジションを上げる競馬で指数が大幅に上昇したことから、かなりのスタミナがあると推測される。今後の芝中長距離で面白い存在となりそうだ。また、2着馬マイネルオーシャンも並の未勝利戦なら勝利できる指数を記録しており、今後も活躍してくれそうだ。
12月28日(木)中山5R 優勝馬 ニュージーズ 指数-7 評価AA
半姉に二冠牝馬ミッキークイーンがいる良血馬。ここでは単勝オッズ1.7倍の断然支持を受けた。レースは7番枠から五分のスタート。そこからじわっと先行して好位の5番手で折り合った。3~4角でペースが上がると馬群がばらけ2列目の中目まで楽にポジションアップ。4角で逃げ馬がヨレ、2列目の2、3番手馬が外に避けてできたスペースを通って、2番手に上がり直線へ。直線序盤で追い出されると、ラスト1F過ぎから素晴らしい伸び。一気に後続を突き放して5馬身差の圧勝だった。
最後の直線では豹のような走りでインパクト十分。ラスト2Fは11秒7-11秒3で、この数字は信頼できそうだ。上がり3Fタイム34秒5もなかなか良い。今回のレース内容はダメージを大きく残すようなものではなく、今後も順調に上昇が期待できそうだ。ミッキークイーンのような活躍を期待したい。
12月28日(木)中山11R 優勝馬 レガレイラ 指数-16 評価AA
7月函館の新馬戦は出遅れを挽回して中団の外から最後の直線で素晴らしい末脚を発揮し、後の札幌2歳Sの優勝馬セットアップを差し切った。この走りから次走のアイビーSでは勝利濃厚と見ていたが、東京では致命的になる出遅れ。しかも高速馬場の超スローペースと前有利の展開になり、結果3着に惜敗した。ただ指数はよく、負けて強しの内容だった。
今回も13番枠から出遅れ。これは今後もついて回りそうだ。レースはGⅠらしくしっかりと流れ、出遅れの不利を打ち消してくれた。道中は後方2列目の外を追走。3角手前で前の列の中目に入れ、3~4角では中団まで位置を押し上げた。4角で好位列が外に広がったので、ワンテンポ待って4角出口で外へ。序盤はジリジリだったが、ラスト1Fで一気に伸び、前のシンエンペラーを捉えて3/4差で完勝した。
今回でレガレイラが記録した指数は先に行われた阪神JFをわずかに上回るもの。指数上は世代牝馬No.1となった。展開に恵まれての優勝だったことや出遅れ癖など、今後に向けた懸念材料はあるが、母ロカ譲りの末脚はクラシック戦線で輝くものとなるだろう。
このレースの2着馬は凱旋門賞馬ソットサスの全弟シンエンペラー。6番枠からまずまずのスタートを切って、ある程度促して緩みない流れの2列目の最内を追走した。4角で外に出す時にやや外に膨れたが、直線序盤で早々と先頭。早めに動いたことでラスト1Fで甘くなって2着に敗れたが、レース内容はレガレイラ以上だったとも言える。秘めたスタミナにかなりのものを感じさせるあたりは、さすが凱旋門賞馬の全弟である。今後も大活躍が期待できるだろう。
驚かされたのはサンライズジパングの3着激走だ。前々走のJBC2歳優駿はかなりの高指数決着での2着だったので、前走のカトレアSは疲れが残っての大敗だろう。そう考えても見事な巻き返しだった。後半勝負となった新馬戦では、好位の外から手応え良く前との差を詰めながらも、スピード負けするように後退した辺り、「芝はどうか?」と見ていたが、難なくこなした。ただレースが緩みなく流れ、後半で速い脚が求められなかったというのもある。
この結果からJBC2歳優駿で高指数勝ちしたのに疲れも残さず、全日本2歳優駿ではさらに上昇したフォーエバーヤングは一体どこまで強いのか。同馬が今後どこを使われていくかもとても興味深い。
12月23日(土)阪神4R 優勝馬 クイーンズウォーク 指数-6 評価A
新馬戦は大外11番枠から出遅れたが、じわっと位置を挽回して好位の外を追走。最後の直線では良い脚で逃げ馬オスカーブレーヴを追い詰めたが、同馬もしぶとく2着敗退。それでもなかなかの好指数を記録していた。今回はデビュー2戦目、単勝オッズ1.5倍の支持を受けたように、どのように勝つかが注目された。
スタートは新馬戦よりも良く、6番枠からやや出遅れた程度。そこから促されるとすぐ勢いがついて好位の直後を追走。やや掛かり気味だったが、上手くなだめて我慢。3~4角でも3列目の外付近で我慢させて脚を溜め、直線で外に誘導して追い出されると、素晴らしいフットワークを見せた。一気に抜け出し、ラスト1F地点では2番手。そこから逃げ馬を楽々と捉えて2馬身差で快勝した。
ラスト2Fは11秒4-11秒2。上がり3Fタイム33秒7は同日の阪神Cに出走し、2着だった半兄グレナディアガーズの33秒8を上回るもの。なかなか高評価できる数字だ。今後も着実な上昇が期待できそう。重賞戦線で活躍する馬となっていくだろう。
12月28日(木)阪神5R 優勝馬 ベラジオボンド 指数-7 評価AA
千葉のセリで1億円以上で取引され、注目を集めた馬。新馬戦の今回も1番人気の支持を受けた。半兄サトノペルセウスは門別でデビューし、JRA移籍後は芝に路線転向。転向2戦目の芝1勝クラス勝ち時の指数から、後は芝のオープン、重賞で活躍するだろうと見ていたが、その後は不思議と伸び悩んでいる。弟の本馬は堂々とJRA芝新馬戦でデビューした。
レースは5番枠から好スタートを決めて、軽く促されて好位馬群の中目で流れに乗った。3~4角では前のスペースを詰めて2列目の中目まで上がり、直線で外に出して追われるとジワジワと伸び、残り300m付近で先頭に立った。そこからもバネを感じさせるフットワークでしっかり伸びて3馬身差で快勝した。
芝1800mの走破タイム1分47秒5はかなり優秀。上がり3Fタイム33秒9もこの日の阪神芝としてはなかなか評価できる。結果、好指数での新馬勝ちとなった。レース内容としては朝日杯FS勝ち馬ジャンタルマンタルの新馬戦に似ている。今回の走りの疲れが残るかどうかは本馬の潜在能力次第だが、順調にレースを使えるようなら重賞戦線でかなりの活躍ができる楽しみな馬だ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)レガレイラの指数「-16」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.6秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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