【2歳馬ジャッジ】シックスペンスが好位押し切りで白星 来春の重賞戦線でも注目

山崎エリカ

12月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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12月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は休養明けの一戦を好位から制したシックスペンス、朝日杯FSを非凡なレースセンスで勝利したジャンタルマンタルなどが出た、12月16、17日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

12月16日(土)中山4R 優勝馬 メイショウヨゾラ 指数-6 評価A
11月東京のゼーゼマンが勝利した新馬戦は、好位の最内で包まれ直線では前が壁。外に行ったり内に行ったりで、ラスト1Fでも前の馬がフラフラしてスムーズに捌けずの5着だった。

今回はデビュー2戦目。10番枠から五分のスタートだったが、ダッシュ良くハナを主張。道中はマイペースの逃げに持ち込み、3~4角で後続各馬が上がってくるのを待って4角出口でスパートした。そこから一気に差を広げてラスト1F地点では後続と3馬身差。ラスト1Fで一気に外から来られたが、振り切って1馬身差で完勝した。

逃げて早めに仕掛けたのでラスト1Fは甘くなったが、未勝利クラスとしてはなかなか良い指数で勝利。次走、折り合う競馬でもう一段階の上昇があるようなら、今後もなかなか楽しめる馬になりそうだ。

12月16日(土)中山5R 優勝馬 ターコイズフリンジ 指数-6 評価A
7番枠から五分のスタートを切り、序盤は中団馬群の中目を追走していたが、1~2角で一列下げて中団馬群の後方の内。向正面で再びじわっと中団中目まで上がり、3~4角で外に出しながら前との差を徐々に詰めた。4角では外の馬と接触したが、早めに動いて好位の外に出し、前のミッキーラッキーを追いかけてスパート。ラスト1Fで同馬に並びかけると、最後は競り落として1馬身1/4差で完勝した。

芝2000mの走破タイム2分1秒1は新馬戦としてはなかなか優秀で、好指数を記録しての勝利。4着以下には3馬身3/4以上の差をつけており、今回の上位3頭はなかなか強かったようだ。ラスト2Fは11秒7-11秒7と減速せず。以前なら11秒7-12秒0くらいだろうが、それでも悪くない。今後の活躍がかなり期待できる。

12月17日(日)中山9R 優勝馬 シックスペンス 指数-9 評価AA
9月中山開幕週の芝1600mの新馬戦は2列目の最内を追走し、3~4角の最内から直線でもラチ沿いの狭いスペースを突き、鋭い伸びを見せて勝利した。ラスト2Fは11秒9-10秒7でとても優秀な数字。以前ならこの時点で重賞当確、GⅠ級と評価してもおかしくないラスト1Fの数字だった。ところがその新馬戦で差のない2着だったアタラヨはその後未勝利戦で凡走続き、3着馬オーヴァーザトップも同様。そういった事情と休養明けということもあり、今回のシックスペンスについては半信半疑だった。

しかし、今回は6番枠から好スタートを決め、2番手外でピッタリと折り合い追走。最後の直線序盤ですっと先頭に立つと、そのまま押し切って1馬身半差で完勝。ここでも折り合いスムーズで操縦性の高さを感じさせる走りを見せた。

高指数決着となる年も多々あるひいらぎ賞としては、平凡な指数での勝利。それでも、新馬戦よりも前目のポジションから堂々の早め先頭から勝利したことや、休養明けだったことも考えれば、価値はかなり高い。

今秋以降のラスト1Fの数字には違和感を覚えていたが、さすがに11秒9-10秒7の数字は価値が高かったようだ。今回のシックスペンスは走破タイムも平凡で能力を出し切ったものではないだろう。当然、来春の重賞戦線で大活躍が期待できる。

12月17日(日)阪神2R 優勝馬 ラビットアイ 指数-8 評価A
新馬戦で4着。その後の未勝利戦でも連続4着。しかし、新馬戦の勝ち馬ジュンゴールドは最後に急加速をして、ゴール板を過ぎても加速し、数字ではなく、映像でインパクト抜群だった。ジャスティンアースが勝利した前走の未勝利戦は、実力のある牡馬が上位を独占した一戦だった。このように今まで牡馬の強いところとぶつかってきたが、今回は牝馬限定戦に出走した。

レースは13番枠から五分のスタート。内のダノンアルムの方がテンが速くハナを主張したが、外から徐々に本馬も主張し、2F過ぎで先頭に立った。そのまま緩みないペースを刻み、3~4角で仕掛けを待って直線へ。直線序盤では外にモタれる場面もあったが、立て直して追われると、後続をどんどん引き離して5馬身差で圧勝した。

今回はかなりのスタミナを感じさせる強い内容で、1クラス上でも勝ち負けになる指数を記録した。混戦でスタミナが問われそうな牝馬限定重賞などで穴を開けるタイプに見えた。

12月17日(日)阪神5R 優勝馬 トップオブザロック 指数-2 評価A
5番枠から出遅れ、そこから押して中団まで挽回。その後も促しながらの追走で内から徐々に進出し、3~4角の最内を通って直線へ。直線では内を突こうとしたが、前が壁。そこから徐々に進路を外に誘導し、ワンテンポ待って外から上がってきたシルバーカレッジの後ろから追い出した。外のジャズと併せて仕掛けるとグイグイ伸び、ゴール寸前でシルバーカレッジを差し切ってクビ差で勝利した。

今回の指数はそこまで高くなく評価できるものではないが、能力を出し切ったものではないだろう。終始促されながらの忙しい競馬だった。また今回の上がり3Fタイム35秒0は、この日の阪神芝としては悪くない。今後の上昇が期待できそうな馬だ。

12月17日(日)阪神11R 優勝馬 ジャンタルマンタル 指数-16 評価AA
レースは新馬戦から2連勝中のジャンタルマンタルが優勝。同馬は前走デイリー杯2歳Sで2列目の最内を追走し、最後の直線でも馬場が悪化した最内から抜け出して完勝と、着差以上の強さを見せていた。

今回は3番枠からまずまずのスタートを切った後、外から被されて進路がやや狭くなり、中団付近まで下がってしまった。その後も窮屈な中団の最内を追走し、3~4角では最短距離から2列目まで上がって直線へ。直線序盤で馬場の良い外へ誘導しながら追われると、すっと抜け出し、そのまま1馬身1/4差で押し切り完勝した。

ジャンタルマンタルは序盤で位置が下がったことで逆に展開に恵まれた面はあった。窮屈なところを上手く走れたのは鞍上の手腕もあるが、同馬のレースセンスでもある。今回で記録した指数は例年並で突出して強いわけではないが、この先も混戦になれば、この弱点のない競馬ぶりはさらに生きてくるだろう。

2着は前走のコスモス賞で折り合いを欠きながら早々と先頭に立つ競馬で好指数勝ちし、底知れぬ印象があったエコロヴァルツ。レースは1番枠からやや出遅れ、押して先行しようとしていたが、折り合いを欠いて下がってしまい、思い切って最後方付近まで下げた。そこからスペースを上手く拾いながら徐々に外に誘導。4角で馬群の中目から外に誘導して直線へ。直線序盤で外に出し切ると、ラスト1Fでグンと伸びて2着を死守した。能力はとても高いが、気性的な脆さはついて回りそう。好走するタイミングの見極めが重要になりそうだ。

3着は1戦1勝の牝馬タガノエルピーダ。新馬戦でラスト2F11秒0-11秒0を記録したことから、2015年の勝ち馬リオンディーズの再来に期待した(リオンディーズも新馬戦でラスト2F11秒1-11秒0を記録)。5番枠からまずまずのスタートを切って、2列目の内を追走。終始勝ちを意識した騎乗で展開的にはかなり厳しかったが、3着を死守した点は立派。もう少し脚をタメることができれば勝ち負けしたのではないか。ラスト1Fの数字が以前のように価値があったなら、タガノエルピーダが勝っていた可能性も高いと言えそうだ。

指数上位の存在だったセットアップ、シュトラウスはそれぞれ7、10着に敗れた。ただ、今回は能力を発揮できる状態になかったことが敗因なので、評価を落とす必要はない。また条件が揃ったところで反撃してくるだろう。

12月17日(日)中京9R 優勝馬 ラムジェット 指数-15(ダート)評価A
新馬戦は後方に置かれ、最後の直線ではとても届きそうもないところから驚異の追い込み勝ちを決めた馬。デビュー2戦目のヤマボウシ賞は、強敵サトノフェニックス、ナスティウェザーに次ぐ3着となり、能力の高さを見せた。前走のオキザリス賞では中団最内を追走したが、最後の直線で最内を狙って前が壁。キックバックを嫌がる場面もあって9着に大敗した。

今回はデビュー4戦目。10番枠からいつものように出遅れたが、やはりこの馬には外枠が大きなプラスだった。後方外から徐々に進出し、3~4角では大外から2列目付近まで上がった。外を回るロスが生じたぶん、4角ではやや置かれたが、直線では一番外から良く伸び、残り100mで逃げ粘るサフランヒーローを捉えて1馬身差で完勝した。

現状は揉まれ弱い気性で、好走するにはかなり条件が揃う必要はあるが、ハマれば重賞でも好走できる瞬発力を秘めている。馬券的に楽しみな馬となりそうだ。

2023年12月3週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シックスペンスの指数「-9」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.9秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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