【有馬記念】「3歳」や「牝馬」が優勢 好データ満たすハーパーの善戦に期待

門田光生

有馬記念の前走クラス別成績(過去15回),ⒸSPAIA

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中心は3歳

2023年12月24日に中山競馬場で行われる第68回有馬記念。ファン投票1位イクイノックス、2位リバティアイランドが出走しないのは残念だが、3~7位までの馬をはじめ、古馬の中央GⅠ戦線を締めくくるにふさわしいメンバーがそろった。本当は28日のホープフルSが年内最後の中央GⅠだが、今年の筆者の原稿は、このレースで終了。なので、締めくくると書かせてください。古い人間なので、有馬記念で終わりにしたいのです(笑)。

例年、有馬記念ウィークになると、時事ネタやら、各方面の著名人予想やら、いつもとは違う角度からも予想が行われる。まさに何でもありのお祭りレースだが、データ面ではどういう傾向が出ているのか。今回も過去15年の成績を基にして分析してみる。

本題に入る前にネタをひとつ。今年の有馬記念は12月24日、つまりクリスマスイヴに行われる。イヴといえばサンタさんで、サンタの帽子は赤と白が基調。そこで直近2回の12月24日に行われた有馬記念(2006、2017年)の、枠帽を調べてみた。結果は、2006年は赤帽(3枠)が1着で、2着が白帽(1枠)。2017年は白帽(1枠)が1着だった。まさに、有馬クリスマス記念。今年も白帽と赤帽が連に絡む……かも。

☆所属
美浦所属馬が4勝(5連対)、栗東所属馬が11勝(25連対)。勝率は大差ないが、連対率で栗東所属馬がリードしている。

有馬記念出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
牡馬・セン馬が11勝(22連対)、牝馬が4勝(8連対)。こちらは勝率、連対率とも牝馬が優勢。ただ、牝馬で馬券に絡んだ馬は、すべて栗東所属馬。2019年に1番人気に支持された名牝アーモンドアイ(美浦)も、9着に沈んでいる。

有馬記念出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
3歳馬が半数近い7勝を挙げており、連対数11も世代トップ。また、この11頭のうち10頭は牡馬だった。3歳牝馬で唯一馬券に絡んだのは2009年ブエナビスタ(2着)だけ。もっとも、3歳牝馬はブエナビスタと、2015年ルージュバック(10着)の2頭しか出走していないが……。

不振なのは6歳馬で、26頭出走して、2018年シュヴァルグランの3着が最高着順だった。7歳以上は2008年に7歳馬アドマイヤモナークが2着しているが勝ち馬は出ていない。この年は、3着も7歳馬エアシェイディだった。エアシェイディは翌年も3着と好走しているが、7歳以上の馬が馬券に絡んだのは、その2009年が最後。結論、3歳馬が優位、続いて4、5歳馬で、6歳以上は苦戦傾向としたい。

また、年齢のデータを美浦所属馬に絞ってみる。すると3歳で出走した9頭中3頭が勝っていた。逆に、5歳以上は、該当する33頭すべてが連対を外している。

有馬記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
連対馬が出ているのは、前走で国内GⅠかGⅡ、もしくは海外で走っていた馬だけ。GⅢ以下では、2010年トゥザグローリー(GⅢ中日新聞杯からの臨戦)の3着が最高。GⅡに関しても、勝ち馬は2015年のゴールドアクター(GⅡアルゼンチン共和国杯組)だけ。基本は前走が国内GⅠ、もしくは海外組が中心となる。

有馬記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆前走
相性のいい前哨戦は、天皇賞(秋)。最多となる5頭の勝ち馬を出しており、連対率も28.0%と悪くない。それを勝率、連対率で上回るのが菊花賞組。3歳馬が挙げた7勝のうち4勝がここから。ちなみに、直近2年は天皇賞(秋)を走った3歳馬が勝っている(今年は該当馬なし)。また、計4勝している牝馬だが、エリザベス女王杯組からは勝ち馬が出ていない(2着馬は3頭)。

有馬記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
勝ち馬15頭中、14頭が前走4着以内だった。一方の、前走が5着以下だった馬の勝率は1%を切っている。

有馬記念出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着差
前走で1秒以上負けていた馬は61頭いて、ここから勝ち馬は出ていない(2着馬は2頭)。また、美浦所属馬で、前走コンマ5秒以上負けている馬は、連対すらしていない。

有馬記念出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータは3つ。まず1つめは前走人気。1番人気に支持されていた馬は8勝、勝率22.2%、連対率30.6%の数字も悪くない。2つめは出走間隔。中2週以内で挑んできた馬から勝ち馬は出ていない。最後に前走の馬番。11番枠だった馬は17頭いて、本番ですべて着外となっている。これは因果関係が不明なデータだが、有馬記念は「何でもあり」的なところがあるので、付け加えておく。

有馬記念におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


今回は2着も見据えての本命

有馬記念のデータをまとめてみよう。

【好走データ】
A「栗東所属馬か、3歳の美浦所属馬」
B「栗東所属の牝馬」
C「3歳馬」
D「前走が天皇賞(秋)、もしくは菊花賞」
E「前走が1番人気」

【好走率ダウン】
F「前走がGⅡ」
G「前走5着以下」

【勝ち馬なし】
H「前走がエリザベス女王杯」
I「前走が1秒以上の負け」
J「中2週以内」

【連対馬なし】
K「6歳馬、もしくは5歳以上の美浦所属馬」
L「前走がGⅢ以下」
M「美浦所属で、前走がコンマ5秒以上の負け」
N「前走馬番が11番」

最多のプラスデータを持つのはソールオリエンス。計4つ(ACDE)の好走データに該当する。菊花賞組の成績もよく、すんなり本命が決まったかと思ったのだが、連対馬が出ていないM「美浦所属馬で、前走がコンマ5秒以上の負け」にも当てはまっている。このデータは、サンプル数が26頭とそれなりにあるので無視するわけにもいかず、今回はノーマークとする。同様の理由で、プラスデータを3つ持つタスティエーラも消しとなる。

プラスデータを3つ持つ馬は、タスティエーラのほかにもう1頭、ハーパーがいる(ABC)。こちらは勝ち馬が出ていないH「前走がエリザベス女王杯」に該当している。ただ、2着馬は3頭出ていて、連対率も11.1%とそこまで悪くない。最近では2017年クイーンズリングと2020年サラキアが2着と好走している。これが3年周期であるなら次は2023年で、つまり今回。頭では狙えないが、2着にくる確率は高いとみて、今年はハーパーを本命としたい。

対抗以下だが、今回は連対馬が出ていないK「6歳馬、もしくは5歳以上の美浦所属馬」や、M「美浦所属馬で、前走がコンマ5秒以上の負け」に引っかかる馬が多い。この2つを含むマイナスデータに当てはまらない馬の中から、相手候補を探していく。

まずはジャスティンパレス。ADのプラスデータを持ち、マイナスデータはなし。データでも出したが、天皇賞(秋)組は最多の勝ち馬を出しており、加えて現在、5年連続で連対、さらに3年連続で勝ち馬を出している、勢いのあるローテーションだ。

続いてシャフリヤール。プラスデータはAしかないが、マイナスデータを持たない、今回では貴重な馬。ブリーダーズC帰りの馬は馬券に絡んでいないが、そもそも過去15年で2頭しか該当馬がいない。海外帰りでくくると、2勝、2着1回と結果は出ているので、この点に関しては問題がないとする。

ドウデュースもプラスデータがA1つ、マイナスデータなし。ジャパンカップ組は勝率、連対率ともに10%未満で強調できないが、連対数だけでいえば、前哨戦の中では最多の8頭。これも押さえておく。

最後の1頭はプラダリア(プラスデータA)。好走率が下がるF「前走がGⅡ」に該当しているが、京都大賞典組は過去に1頭(2022年14着アリストテレス)しかいない。この組に関してはまだ分からないとみて、未知の魅力にかけてみる。

◎ハーパー
◯ジャスティンパレス
▲シャフリヤール
△ドウデュース
×プラダリア

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
前走の3文字短縮表記が「チャC」。「チャンピオンズC」「チャレンジC」の両方が該当。上記の2レースを走っている馬が、有馬記念に登録しています。間違わないようにしましょう(←自分への戒めとして)。

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