【有馬記念】乗り替わりは苦戦傾向 継続騎乗の横山武史騎手&ジャスティンパレスで勝負だ

逆瀬川龍之介

有馬記念(過去10年)、短期免許&乗り替わりの外国人騎手は苦戦中,ⒸSPAIA

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乗り替わり、特に短期免許の外国人騎手は苦戦

近年のGⅠではトップジョッキーへ乗り替わりとなった馬の活躍が目立つ。今年のダービーでD.レーン騎手がタスティエーラを勝利に導き、54年ゴールデンウエーブの岩下密政騎手以来、69年ぶり4度目の初騎乗Vを達成したのは記憶に新しいところ。また、先週の朝日杯FSのジャンタルマンタルも、過去2戦で手綱をとっていた鮫島克駿騎手から川田将雅騎手への乗り替わりでの勝利だった。一部のファンから「非情ではないか!?」と声が挙がることも多い乗り替わりだが、騎手を選ぶのはあくまで馬主を始めとした関係者。ファンが文句を言う筋合いではないというのが筆者の見解だが、皆さんはどうお考えだろうか。

それはさておき、有馬記念は意外にも乗り替わりとなった馬が不振のレースだ。直近の乗り替わりでの勝利は14年ジェンティルドンナと戸崎圭太騎手。15年以降の8回に限ると、乗り替わりの馬は【0-4-4-45】勝率0.0%、複勝率15.1%。ちなみに2着の4頭、17年クイーンズリング、20年サラキア、21年ディープボンド、22年ボルドグフーシュは全て単勝オッズ10倍以上だった。単勝オッズが1桁台だった8頭に限れば【0-0-3-5】と1頭も連対できていないのは不思議だ。

もう一点、短期免許で来日した外国人騎手が苦戦しているのも、驚きの傾向ではないだろうか。過去10年を振り返ると、外国人騎手という括りではC.ルメール騎手が【2-2-2-3】の好成績。しかし、短期免許で来日した外国人騎手となると【1-2-4-15】勝率4.5%、複勝率31.8%。19年にリスグラシューのD.レーン騎手、サートゥルナーリアのC.スミヨン騎手がワンツーを決めているものの、この2頭はともに前走からの継続騎乗だったので例外といえる。

短期免許で来日した外国人騎手、かつ乗り替わりとなると【0-1-2-10】勝率0.0%、複勝率23.1%。これは推測だが、ほとんど経験がないトリッキーな中山芝2500mを初騎乗の馬で攻略するのは、世界のトップジョッキーといえども簡単ではない、ということではないだろうか。


心強い横山武史騎手の継続騎乗

それでは最後に今年のメンバーをチェックしよう。

【乗り替わり予定の登録馬】
・ウインマリリン
・シャフリヤール
・スターズオンアース
・スルーセブンシーズ
・ソールオリエンス
・タスティエーラ
・ディープボンド
・ドウデュース
・ハーパー
・ヒートオンビート
・プラダリア

【継続騎乗予定の登録馬(除外対象を除く)】
・アイアンバローズ
・ジャスティンパレス
・タイトルホルダー
・ホウオウエミーズ
・ライラック

乗り替わりを予定している馬は計11頭もいて、このまま出走確定すれば86年以降の有馬記念では最多の頭数となる。主戦に戻るスターズオンアース、ドウデュースは少々事情が異なるかもしれないが、データはデータだ。また、短期免許の外国人騎手が騎乗予定なのはウインマリリン、タスティエーラ、ディープボンド、プラダリアの4頭。いずれも乗り替わり、特にタスティエーラを除いた3頭は初騎乗となるので、データ的には厳しい戦いとなる。

対照的に継続騎乗予定の馬は、除外対象を除いて5頭。中でもイチオシはジャスティンパレスだ。昨年の有馬記念は短期免許で来日していたT.マーカンド騎手への乗り替わりで7着に敗れたが、今年は前走の天皇賞(秋)に続いて、横山武史騎手の継続騎乗となる。これは大きなプラス材料。昨年の悔しさを晴らし、GⅠ・2勝目を手にすることを期待したい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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