【朝日杯FS】シュトラウス、ダノンマッキンリーは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去9回の朝日杯フューチュリティステークス『中9週以上』かつ『前走東京以外』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の阪神JFでは凡走条件を免れた馬が3頭出走していたが、その中でも特注馬として名前を挙げたアスコリピチェーノが勝利した。前走の好時計やローテーションの面も含めて推奨していただけに、当記事を参考に的中に至った読者がいれば嬉しい限りである。

今週は12月17日に阪神競馬場で行われる朝日杯FS(GⅠ)を予想する。今回は登録馬19頭から、先週の阪神JFに出走していたスウィープフィート、回避を表明したナイトスラッガーを除いた17頭を対象に絞り込みを行う。当レースが阪神開催となってからの過去9回(14~22年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走未勝利、1勝クラス』×『前走12頭立て以下』 ★0.0%★

前走で未勝利、1勝クラスを使っていた馬は【3-0-1-39】(複勝率9.3%)で、意外にも勝ち馬の1/3はこの組に含まれていた。しかし、これを前走が12頭立て以下のレースだった馬に限ると、【0-0-0-25】(同0.0%)と極端に悪化する。反対に、前走13頭立て以上だった馬は【3-0-1-14】(同22.2%)と好走率が高く、回収率も単201%/複181%と抜群であった。

当レースは例年多頭数で実施されており、かつ世代トップが集う一戦で、道中では速いラップが刻まれる。スローペースで流れる少頭数の下級戦を勝ち上がってきた馬が苦戦を強いられるのは当然である。25頭が全て凡走と極端なデータが出ているだけに、前走が少頭数で、下級条件の未勝利、1勝クラスを走っていた馬は消去する。

【今年の該当馬】
・オーサムストローク
・サトミノキラリ
・ジューンテイク
・タイキヴァンクール
・タガノデュード
・ダノンマッキンリー


『前走JRAのOP以上』×『前走3着以下』 ★8.3%★

前走でJRAのOP戦以上を使っていた馬は【5-9-7-75】(複勝率21.9%)と良好だ。だがこの組における好走馬の多くは前走で連対していた面々であり、前走3着以下の馬に限ると【0-2-1-33】(同8.3%)と低調である。

今年のメンバーでは、前走GⅡで3着以下に敗れた5頭が該当する。クラスの壁に跳ね返された馬が、更にレベルの高いGⅠで巻き返すことは難しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・アスクワンタイム
・クリーンエア
・ナムラフッカー
・バンドシェル
・ミルテンベルク


『前走上がり3位以下』×『前走1600m以外』 ★4.3%★

前走の上がり順位別成績では、上がり2位以上の末脚を使っていた馬が【8-7-6-54】(複勝率28.0%)と好成績を収めており、馬券に絡んだ馬の多くがこの組に含まれていた。一方で前走の上がりが3位以下だった馬は、【1-2-3-63】(同8.7%)と苦戦傾向にある。

この組から好走した6頭のうち4頭は前走で1600mのレースを使っており、それ以外の距離から転戦した馬は【0-1-1-45】(同4.3%)と更に低調だ。阪神マイルは長い直線での瞬発力が要求される舞台であり、前走の上がり順位は当レースでの結果に直結している。また、走り慣れた距離も好走要因の一つになりうるということだろう。

このデータには新たに、東スポ杯2歳Sを制したシュトラウスが該当する。実績は今年のメンバーの中でも最上位だが、前走は先行有利の馬場や展開に恵まれた部分が大きい。例年ハイペースとなる当レースでは、前走のように恵まれることはないとみて軽視する。

【今年の該当馬】
・シュトラウス
・(アスクワンタイム)
・(バンドシェル)
・(ミルテンベルク)


『中9週以上』×『前走東京以外』 ★0.0%★

当レースでは中9週以上の間隔を空けて挑んだ馬は、【3-2-2-19】(複勝率26.9%)と優秀な成績を収めている。だが、この組で好走した7頭全てが前走で東京競馬場でのレースを使っており、その他から転戦してきた馬は【0-0-0-13】(同0.0%)と全く好走できていない。

この中にはジオグリフ(21年2番人気5着)、ブライトエンブレム(14年2番人気7着)といった人気馬も含まれていた。この2頭はそれぞれ札幌2歳Sからの直行だったが、奇しくも今年はセットアップが同様のローテーションを選択している。後の皐月賞馬をも沈めたデータだけに、これを跳ね返すことは容易ではないとみて消去対象とする。

【今年の該当馬】
・エコロヴァルツ
・セットアップ


『前走馬体重460kg以下』×『キャリア2戦以内』 ★6.5%★

最後は馬体重に関するデータを基に絞り込む。前走馬体重が460kg以下だった馬は【1-2-1-39】(複勝率9.3%)と低調だ。この中で連対を果たした3頭はいずれも3戦以上の出走歴があり、キャリア2戦以内だった馬に限ると【0-0-1-11】(同8.3%)と振るっていない。

特に、16年は4番人気以内の馬が3頭もこのデータに該当していたが、ミスエルテ(1番人気4着)、クリアザトラック(3番人気7着)、レッドアンシェル(4番人気8着)といずれも馬券圏外に沈んでいる。

このデータには新たに1戦1勝のタガノエルピーダが該当する。キャリアが浅い小柄な牝馬にとって、デビュー2戦目でGⅠ、かつ多頭数の舞台は決してプラスに働かないはず。よって消去対象とする。

【今年の該当馬】
・タガノエルピーダ
・(バンドシェル)

全ての条件を終えて凡走データに該当しない馬は、エンヤラヴフェイス、ジャンタルマンタルの2頭となった。

特にジャンタルマンタルは、2戦2勝でデイリー杯2歳Sを快勝しているだけに期待が大きい。前走はレース内容も評価できるもので、淀みのない展開を先行して突き抜けた経験は当レースへと繋がるだろう。馬群の中で競馬ができた点も多頭数のGⅠにおいてはアドバンテージとなるはずで、無敗での戴冠へ視界は良好だ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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