【朝日杯FS】複勝率50%の「1月生まれ」が成長面で優勢 データや血統から上積みあるシュトラウスを推奨

貴シンジ

朝日杯FSの生まれ月別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週のカペラSはメタマックスを推奨し6番人気3着。ハイペースながら先行勢が残る展開の中で唯一中団から馬券内に入った。さて今回は12月17日(日)に阪神競馬場で行われる朝日杯FSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。

重要データ:生まれ月に要注目

前走距離別成績,ⒸSPAIA


朝日杯FSは阪神JFの次に行われる2歳GⅠ。阪神JFは牝馬限定戦のため牡馬にとっては初めてのGⅠということになる。この時期からトップ戦線で活躍できる馬は早熟タイプの血統の馬が多く、血統を深掘りすることも重要だ。

一方でシンプルに生まれた月が重要になることにも注目が必要だ。人間でも小学校低学年くらいでは4月生まれや5月生まれの子たちの成長は他より抜けていることはあるが馬も同様。2歳のこの時期ではいくら早熟馬といっても身体は完成していない。1月生まれの馬の成績は【2-2-1-5】で単勝回収率79%、複勝回収率102%。2月生まれの馬の成績は【4-5-3-29】で単勝回収率106%、複勝回収率91%。3月生まれの馬の成績は【2-3-4-42】で単勝回収率18%、複勝回収率96%。馬券内という意味では3月生まれまでは人気以上の走りが期待できそうだ。

4月生まれの馬の成績は【1-0-2-44】で単勝回収率4%、複勝回収率21%。5月生まれの馬の成績は【1-0-0-13】で単勝回収率55%、複勝回収率14%。4月生まれ、5月生まれに関してはかなり厳しい数字になっている。今回上位人気が予想されるダノンマッキンリーは4月生まれでデータ的にはかなり厳しい。勝ち馬を見つけるという観点からは1月生まれ、2月生まれの馬をピックアップするのが良さそうだ。

【1月生まれ、2月生まれの出走予定馬】
・エコロヴァルツ
・オーサムストローク
・サトミノキラリ
・シュトラウス

前走不利データ:東スポ杯2歳Sのシュトラウス

シュトラウスの前走は東スポ杯2歳S1着。関東馬ということもあってこれまでの3戦は全て東京競馬場を走っているが、モーリス産駒の東京競馬場芝コースの成績は【49-41-31-240】で単勝回収率67%、複勝回収率69%となっている。直線が長く急坂もない東京競馬場の芝コースは瞬発力勝負になりやすく、持続性能やパワーを武器にしているタイプが多いモーリス産駒にとっては決して得意な競馬場とは言えないだろう。

一方、阪神競馬場芝コースの成績は【44-22-41-278】で単勝回収率83%、複勝回収率68%。複勝回収率ではそこまで差は出ないが、単勝回収率は10%以上も東京競馬場より高い数字だ。阪神競馬場芝コースのゴール前には勾配1.5%の急坂が待ち構えている点が単勝回収率の向上につながっている可能性が高い。

シュトラウスにとって阪神への舞台替わりは上積みを期待できて、初めての遠征ということで嫌われるのであれば積極的に狙っていきたい。

血統解説:シュトラウス、タイキヴァンクール

・シュトラウス
日本での牝祖は祖母マイワイルドフラワー。繁殖として優秀で本馬の母ブルーメンブラット(父アドマイヤベガ)の他に、エニフSやBSN賞を勝利したジョイフルハート(父サクラバクシンオー)、小倉サマージャンプ2、3着の経験があるアグリッパーバイオ(父チチカステナンゴ)や青葉賞と札幌2歳S3着のアドマイヤウイナー(父ワークフォース)の母であるソングバード(父ダンスインザダーク)を輩出。

3代母Wildwookを中心に世界で牝系を伸ばしていて、エクリプスS(GⅠ・芝10F7y)やドバイシーマクラシック(GⅠ・芝約12F)を勝利したホークビルやBCマイル(GⅠ・芝8F)勝ちで日本でもおなじみのCozzeneなども同じファミリー。スピード性能と操縦性が高いタイプが多いのが特徴の牝系だ。

母ブルーメンブラットは現役時マイルCSや府中牝馬Sを含む8勝を挙げた実績馬。繁殖としても優秀で重賞級こそ本馬のみだが、本馬以外もJRAで出走した産駒9頭のうち8頭が勝ち上がっていて、6頭が複数勝利を挙げている。牝系の活力としては今回のメンバーでもトップレベルだろう。

モーリス×ブルーメンブラットの組み合わせではサンデーサイレンスの4×3というクロスになるが、タイプ的にはモーリスも本馬の牝系も似たようなタイプでスピード性能の高さで押し切るような競馬を得意としている。サウジアラビアRCではやや立ち遅れからの瞬発力勝負で切れ負けした感があったが、前走は先行し脚を伸ばして快勝。それでも少し引っかかるとこがあったから距離短縮とGⅠのペースというのはこの馬にとってプラスだろう。

1歳時に本馬を見た時は大柄で恵まれた筋肉を有しているものの少しおっとりしたところがあって身体を持て余している印象を受けた。馴致されて調教を積んで闘争心もしっかり出てきており、現時点で完成度の高い一頭と言えるだろう。

シュトラウスの血統表,ⒸSPAIA


・タイキヴァンクール
日本での牝祖は3代母ロイヤルブライド。アルゼンチン共和国杯勝ちのタイキエルドラド、函館SS勝ちでマイルCS3着のタイキトレジャーを輩出した優秀な繁殖だった。4代母ロイコンからの枝も日本では広がっていてシンコウラブリイ、コディーノ、サブライムアンセムあたりも近親になる。Miswaki、Blushing Groomの影響が強く中距離で活躍する馬が多かったが、本馬の母タイキキララの産駒はキングヘイローの影響が強いのかスピード性能の高い馬が多い。牝系の活力ではGⅠ級とまでは言えないかもしれないが、タイキキララは優秀な繁殖で、本馬以外のJRAで出走した産駒5頭のうち4頭が勝ち上がっている。

本馬は3月生まれだが、2歳の年明けくらいまでは早期からいけるタイプという感じはなく、しっかりと乗り込みを重ねられていた。しかしそこからの馬体の成長が著しく、夏を越えて競走馬としてしっかりとした身体つきになっており、今回のメンバーでも決して見劣りしないだろう。阪神競馬場も合うだろうし気のいいタイプだから距離延長もプラスに捉えられ、穴で面白い一頭だ。

タイキヴァンクールの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではシュトラウスを推奨

今回のCアナライズではシュトラウスを推奨する。好走データである1月生まれに該当、加えて東京から阪神への競馬場替わりも期待が持てる。血統的にも十分勝ち負けできるだけのもので、GⅠのペースへの対応も可能だろう。スタートを決めてしっかりと先行できれば2歳王者の称号が見えてくる。他だと、タイキヴァンクールも穴で面白い存在。人気になりそうなダノンマッキンリーはかなりの素質を持ち合わせていそうだが、4月生まれということから今回は軽視してみたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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