【チャンピオンズC】「単回収率954%」衝撃的な好走条件に合致 データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

2023年チャンピオンズC、データで導く穴馬候補3頭,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週日曜の中京メインはチャンピオンズカップ。下半期のJRAダート王を決める一戦だ。フェブラリーSと南部杯を制したレモンポップや無傷5連勝の3歳馬セラフィックコールが人気を集めそうだが、前者には距離不安、後者にはあの不器用なレースぶりでGⅠを突破できるのかという課題も残る。

波乱の気配漂うこのレースについて、今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。

「地方での負け」は絶好の買い材料 テーオーケインズ

まず1頭目は一昨年の王者、テーオーケインズ。前走はJBCクラシックに出走し、2番手から抜け出しを図るも伸びあぐね、最後はノットゥルノに差し返されて3着だった。

チャンピオンズCは路線の構成上、地方交流重賞をステップに臨む馬が多い。そして馬券的にはそこで「負けてきた馬」の方が狙い目だ。

前走地方JpnⅠ組の条件別成績(過去9年),ⒸSPAIA


中京移転後の9年、前走地方JpnⅠで1着の馬は【1-1-0-9】複勝率18.2%、単回収率17%、複回収率21%とかなり低調。同2着以下なら【6-4-3-24】複勝率35.1%、単回収率318%、複回収率162%である。なお、仮に2015年の大穴サンビスタ(JBCレディスC2着→チャンピオンズC12番人気1着)を除いても、単複回収率は100%を超える。

なぜこうなるか。逆転がよく起きる理由は主に2つ考えられる。

(1)地方のダートと中央のダートでは求められる適性が違うから
(2)冬場はダートの大レースが集中するため、全て100%の状態では出られないから

このあたりだろう。

やや蛇足だが、「前走地方JpnⅠで負けた馬」に「6歳以下」「過去に中央ダートGⅠで5着内あり」という条件も加えると【5-2-1-4】複勝率66.7%、単回収率954%、複回収率350%となる。中央GⅠで通用することを証明済みの馬が、秋始動戦の交流JpnⅠで馬柱を汚してきたようなケースが理想だ。

メイショウハリオも候補になるが、冬場、左回りへの適性を加味してテーオーケインズを選んだ。自身はこれまで、「前走比マイナス馬体重」で出走した7戦は未勝利という特性を持つ馬。帝王賞以来-12キロの前走は力を出し切れなかったものと割り切りたい。馬体増か、せめて維持で出てくるようなら、古豪健在のシーンが見られそうだ。

「みやこSで前に行った馬」が複回収率308%! メイクアリープ

2頭目はメイクアリープ。デビューから11戦中10戦で3着以内に入る堅実派だ。重賞初挑戦のみやこSを2着に好走してここへ向かう。

前走みやこS組の条件別成績(過去9年),ⒸSPAIA


みやこSは何故か毎度のように差し決着となり、そこで先行した馬が本番で穴を開ける、というパターンが確立されつつある。過去9年で「前走みやこS4角2番手以内」の馬は【0-2-2-4】で複勝率50.0%、複回収率308%。3着以内に粘っていれば【0-2-1-1】でさらに確率がアップする。

これはチャンピオンズCの舞台・中京ダ1800mが、京都や阪神に比べて「先行有利」なコースであることと関係している。……いや、正確には「外差し不利」と表現すべきか。向正面から4角にかけて急な下り坂が設けられていて、3~4角はスピードを出しながら回る。そこで外から追い上げようとすると末脚がなくなってしまう、という原理だ。

今年このパターンに該当するのがメイクアリープ。GⅠは初挑戦だが、6月の三宮SではのちにJBCクラシックを勝つキングズソードとハナ差の接戦を演じている。力が足りないワケではない。先行力と操縦性の高さが生きるコースに替わり、対セラフィックコールとの0.5秒差は現実的な逆転圏内と見ていいだろう。

コース相性抜群のキズナ産駒 ハギノアレグリアス

最後は四位洋文厩舎が送り込むハギノアレグリアス。故障を乗り越え、ついにJRA・GⅠの晴れ舞台に駒を進める。

キズナ産駒の中京ダ1800m成績(通算),ⒸSPAIA


中京ダ1800mで非常に高い回収率を残しているのが「キズナ産駒」の、特に「牡馬」だ。キズナ牡馬はこのコースで【14-11-11-65】複勝率35.6%。良馬場なら【11-7-6-37】複勝率39.3%、単回収率582%、複回収率191%にも達する。

キズナ牡馬は父の現役時代のイメージとは裏腹に、ハイペースやロングスパートの持続力勝負に強い馬が多い。代表産駒のディープボンドがまさに典型例だ。前記した通り、向正面にある坂の下り、具体的には残り1000m付近から早々にペースアップするのがこのコース。キズナ牡馬の特徴とマッチするのだろう。

ハギノアレグリアス自身も中京では2勝2着1回と実績あり。前走のシリウスSはトップハンデタイの58.5キロを背負って快勝した。枠順や展開次第で上位に食い込むだけの実力は有している。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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