【ステイヤーズS】リピーターが強くアイアンバローズに勝機到来 立ちはだかるはテーオーロイヤルとマイネルウィルトス
勝木淳
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年内最後の開催がスタート
いよいよ関東圏最後の開催、5回中山がはじまる。初日は恒例のステイヤーズS。国内平地最長距離で競うマラソンレースだ。距離は1800m2周分の3600m。中山の内回りを2周するため、コーナーリングの巧さやコーナーで息を入れる器用さ、そして勝負所で先に動ける機動力が求められる。長い距離を走るスタミナも当然なければいけないが、中山コースへの対応もカギになってくる。スタミナと機動力、どちらも持ち合わせる馬を探そう。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【5-1-2-2】勝率50.0%、複勝率80.0%と安定している。とはいえ、5勝のうち3勝はアルバートで、残るは3000mで勝ち鞍があるデスペラードと、前走で札幌芝2600mを勝ったリッジマン。いずれも長距離実績があった。18年リッジマンから後は4連敗中で、最近はそこまで期待に応えていない。
以下は7番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%までは大きな差はなく、選択肢は多い。中穴決着も期待できる。
年齢別では4歳【2-3-2-11】勝率11.1%、複勝率38.9%がトップ。続くのは6歳【3-2-3-25】勝率9.1%、複勝率24.2%だが、5歳も【4-2-4-36】勝率8.7%、複勝率21.7%。分母の多さで確率は低くでるが、悪くはない。なお、6歳3勝はデスペラード、アルバート、シルヴァーソニックといずれも(以前にこのレースで好走している)リピーターだった。今年はアイアンバローズ(21年2着)がこのデータに合致する。
過去に当レースで善戦した馬では、昨年5着メロディーレーンもいる。人気を考えると面白いのではないか。
巻き返したいアイアンバローズ
前走クラス別では、GⅡが【5-4-7-48】勝率7.8%、複勝率25.0%。頭数が多く率は目立たないが、16年から7年連続で馬券に絡んでいる。これは取捨選択の大きな味方になる。
前走GⅡ組の内訳はアルゼンチン共和国杯【5-1-4-32】勝率11.9%、複勝率23.8%、京都大賞典【0-3-2-9】複勝率35.7%。前者は2着マイネルウィルトスなど、後者は11着アイアンバローズが当てはまる。これでアイアンバローズは二つ目のデータ一致だ。
アルゼンチン共和国杯の着順内訳は5着以内【2-0-2-3】、6着以下【3-1-2-29】。マイネルウィルトス、セファーラジエルは文句なしだが、大敗組からの巻き返しもあり、ここは慎重にいきたい。
そこで斤量の比較をみる。ハンデ戦のアルゼンチン共和国杯と別定のステイヤーズSの斤量を比べると、斤量増【1-1-1-24】勝率3.7%、複勝率11.1%、増減なし【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、斤量減【2-0-1-2】勝率40.0%、複勝率60.0%となる。ハンデ戦と同じ斤量、ないし斤量減が圧倒的だ。「ハンデ戦だから軽い斤量で出走できた」という馬より、ハンデ戦で別定と同じか背負わされるぐらいがいい。今度は実績がモノをいう。
斤量が増えるセファーラジエル、ヒュミドールより、ステイヤーズSと同じ57キロだったマイネルウィルトス、グランオフィシエや、斤量が減るテーオーロイヤルなどがいい。ダイヤモンドS勝ちがあるステイヤーのテーオーロイヤルは長期休養明け2戦目だが、負けられない。
マイネルウィルトスは中距離中心に使われ、3000m以上は初出走になる。スタミナを感じさせる走りをする馬で、こなせて不思議はない。母系のコスモフォーチュン、マイネボヌールは短距離型だが、スクリーンヒーロー産駒は芝3000m以上【0-2-1-8】複勝率27.3%。勝利こそないが、好走した馬にはゴールドアクター、ボルドグフーシュがいる。
京都大賞典の着順内訳は、6~9着【0-1-2-1】複勝率75.0%、10着以下【0-2-0-6】複勝率25.0%。11着だったアイアンバローズは上々とまではないが、可能性は感じる。
とはいえ、京都大賞典組はこの10年勝っておらず、最後に勝ったのは11年マイネルキッツ。京都大賞典7着から巻き返した。同馬は天皇賞(春)を勝ったGⅠ馬であり、当てはめていいものか。2000年以降だともう1頭、02年ホットシークレットがいる。希代のムラ馬は京都大賞典6着から1番人気で優勝した。ホットシークレットは2年前にもこのレースを勝っていた。4歳時に2着だったアイアンバローズは、なんとしてもここで決めたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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