【京都2歳S】複勝率57.7%のノーザンFが3頭出し 本命は好位から末脚使うギャンブルルーム

佐藤永記

京都2歳ステークス-ノーザンファームの成績,ⒸSPAIA

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例年少頭数も、今年は多頭数

11月も終盤、ということは2歳GⅠがやってくる。今週土曜に行われる京都2歳SはOP特別時代が長く、重賞としては今年で10回目となるレースだ。京都競馬場改修の影響で阪神開催が3年続いていたので、近年の傾向を見るうえでは注意が必要だ。

レース傾向として今年も参考にできそうなものとしては、上がり3F別成績がある。重賞となってからの9年間、どうも頭数が揃わず、過去9回での平均出走頭数は10.6頭。昨年は最多の15頭立てだったが、うち7年は出走頭数が10頭以下という状況。少頭数でよくある、スローからの瞬発力戦が多かった。

京都2歳S 上がり別成績(過去9年),ⒸSPAIA


一昨年までは6回連続で優勝馬は上がり3Fが1位だったのだが、これは頭数が少ないため、直線で壁ができることなく純粋な末脚勝負になっていたからだろう。ちなみに上がり3Fが2位だった馬も重賞となってから【0-6-0-2】で、こちらも好成績である。

だが、15頭立てであった昨年、上がり2位のトップナイフは2着だったものの、上がり1位のロードプレイヤーは7着だった。明暗を分けたのは道中の位置取り。優勝馬グリューネグリーンが逃げ切ったなかで、トップナイフは道中5~6番手、ロードプレイヤーは後方の14番手を4角まで走っていたのである。多頭数で後ろからとなると、馬群を捌くか外を回すなどのロスが生じ、速い上がりだとしても少頭数と同じように、とはいかない。

例年の京都2歳Sのレース傾向はスローからの上がり3F勝負だが、昨年のように頭数が多い場合は、同時に、後ろになりすぎない位置取りも併せて好走条件になる可能性が高く、注意したい。


2歳戦で圧倒的成績のノーザンファーム

2歳戦全体の傾向として、仕上がりの早いノーザンファーム生産馬はやはり強い。数字で見ても毎年の勝率は20%前後、複勝率も40%台後半で推移している。

京都2歳S 生産者別成績(過去9年),ⒸSPAIA


京都2歳Sでもその傾向は強く、重賞となってからの過去9年でノーザンファーム生産馬は【6-4-5-11】、勝率23.1%、連対率38.5%、複勝率57.7%の安定感だ。ベタ買いをしても単勝回収率150%、複勝回収率140%でプラスになる。

また、勝ち馬を出した他生産者はいずれも9年間で1頭のみの出走歴しかない。コンスタントに出走馬を出している生産者からは勝ち星がなく、データ的には圧倒的に好走馬が多いノーザンファーム生産馬に抗うのは難しい。

昨年こそ、同生産馬はグランヴィノス(1番人気6着)1頭しか出走しておらず、結果も振るわなかった。しかし、今年はカズゴルティス、ギャンブルルーム、ホウオウプロサンゲと3頭が登録、既にOP・重賞実績馬もおり、勝ちにきている印象だ。

なかでも注目したいのは、R.ムーア騎手が騎乗予定のギャンブルルームだ。新馬戦では好発から意図的に後方まで下げての競馬で、最内を突いて上がり最速で追い込み勝ち。前走札幌2歳Sは最終週の稍重馬場で、上がり3位を記録したものの、やや伸びきれずの3着。だが、道中3番手でレースを進めており、位置取りに不安はなかった。また、後方の馬には最後まで抜かれておらず、馬場次第では好勝負になったと思われる内容でもあった。

デビューからの2戦で、今回求められるであろう、上がりの速さと好位に取り付く追走力の両方を兼ね備えていることを示したともいえる。本命に適任と見る。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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