【2歳馬ジャッジ】オスカーブレーヴが逃げてラスト2F11秒0-11秒1を記録 稍重馬場で価値あるタイム
山崎エリカ
ⒸSPAIA
11月2週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は逃げて古馬級の上がりを計時したオスカーブレーヴや初ダートで大差勝ちしたラヴオントップなどが出た、11月11、12日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
11月11日(土)東京2R 優勝馬 エコロブルーム 指数-8 評価A
重馬場で行われた前走の東京新馬戦では、抜群のスタートで先頭に立ったが、そこから抑えて3番手で折り合う優等生の競馬。最後の直線では伸びそうでなかなか伸びず、3着止まりだった。今回はデビュー2戦目、前走ほど速くはなかったが、ここでも好スタートを決めて3番手を追走した。最後の直線で前2頭の外に誘導し追い出されると、しっかり伸びて先頭へ。そこから後続を突き放して4馬身差の快勝だった。
好位からの追走で上がり3Fタイム33秒2は、この日の東京では古馬を含めてもなかなか優秀だった。ラスト2Fは11秒0-11秒1。以前なら手放しで優秀と評価するところだ。しかし今秋以降、特に関東主場のラスト1F数字は以前よりも速い印象で、少し違和感がある。以前と計測方法が変わっているのかもしれない。もしそうなら0.3秒以上は速い数字が出続けている可能性もある。
重賞レースでラスト1Fが加速してフィニッシュなど、以前は稀だったが、今秋以降は頻発している。ダートで最後に加速してゴールしたレースもチラホラ。このレースもラスト1F11秒1のわりには映像を見るとグンと伸びた感があまりなかった。ただ上がり3Fタイムを古馬と比較することは、相対的なものなので評価法としては信頼しても良いだろう。
今回のエコロブルームは後続に差をつけて走破タイムもなかなか優秀。1クラス上でも通用する指数を記録した。重馬場の新馬戦と良馬場の今回で大きく変わったので、馬場状態を選ぶタイプなのかもしれないが、今後の活躍が期待できそうだ。
11月12日(日)東京2R 優勝馬 トラジェクトワール 指数-6 評価A
6月東京の新馬戦ではやや出遅れ、中団やや後方外を追走。道中もやや折り合いを欠き、チグハグな走りとなった。最後の直線では良い脚で伸びてはいたが、5着まで。今回はそれ以来の一戦。今回も前走同様、大外12番枠からやや出遅れ、後方2番手からの追走。前走と違うのは後方で気分良さそうに走っていたことだ。3~4角で最短距離を回って4角で後方馬群との差を詰めたが、前とはかなりの差、これで届くのかと思わせた。
4角で中目を通って、直線で外に出されるとラスト2F付近からフットワークの回転が上がって追い込み開始。目立つ脚色でラスト1Fで3番手まで上がり、先頭のウインマクシマムとの一騎打ちになった。最後は追うものの強みで差し切って、アタマ差で勝利した。上位2頭で3着に3馬身、4着には8馬身差をつけてゴール。なかなか良い指数での一騎打ちとなった。
ラスト2Fは11秒4-11秒2での決着。ただ、トラジェクトワールの脚色はラスト2F付近からラスト1Fで前に並ぶまで素晴らしい回転だったが、そこからは加速したような感じには見えなかった。どちらにしても今回の上位2頭は、なかなかの好指数をマーク。今後が楽しみな馬たちだ。
11月11日(土)京都2R 優勝馬 マルチャレアル 指数-10(ダート)評価A
BCディスタフを勝利したあのマルシュロレーヌの半弟にあたる。前走の新馬戦は枠なりに逃げる競馬で、最後に伸びきれず3着だった。今回はデビュー2戦目、8番枠からまずまずのスタートを切って、好位の外で折り合う競馬となった。4角では他馬と手応えが違い、外から捲るように上がって直線では早々と先頭。外からライバルに迫られると、そこからもうひと伸びして2着に3馬身差、3、4着馬にはそこから9馬身差をつけて勝利した。
ラスト2Fは13秒1-12秒9。おおよそ映像でも加速していたように見える。指数は1クラス上でも通用域のもの。2戦目で大きく前進した良血馬ということで、今後の上昇ストーリーがとても楽しみだ。
11月11日(土)京都3R 優勝馬 メリオーレム 指数-7 評価A
新馬戦は中団追走から3~4角で上がっていき、直線では伸びきれずの3着。前走は好位の最内と新馬戦よりも前目から最短距離の競馬で、最後の直線はインから差を詰めたが2着だった。
今回はデビュー3戦目、3番枠から好スタートを決めて、今までよりもさらに前、2番手からの追走。向正面でショウナンハウルが捲って3番手に下がったが、そこから食らいつき、4角で先頭列に並びかけ出口で先頭に立った。そのまま最後まで脚色衰えず、重馬場の一戦を押し切った。
2着馬とは1馬身半差だったが、3着以下は着差がバラバラになっており、1クラス上でも通用域の指数を記録した。一戦ごとに前で戦えるようになっており、成長が著しい。このタイプは叩かれながら重賞などで穴を開けたりすることが多い。面白い存在になりそうだ。
11月11日(土)京都5R 優勝馬 オスカーブレーヴ 指数-5 評価AA
父はオスカーパフォーマンスという日本ではあまり馴染みのない外国馬。7番枠から好スタート後、鞍上は抑えていたが、結局逃げる競馬となった。スローペースの逃げだったが、4角手前で気合いをつけられると、後続を一気に引き離すスピードを見せた。直線では独走態勢から最後に2着馬クイーンズウォークに1馬身差まで詰め寄られたが、そのまま押し切って完勝した。
ラスト2Fは11秒0-11秒1。稍重の京都なのでこれはかなり価値が高いと言えそうだ。また上がり3Fタイム33秒9は、この週の京都芝では古馬を含めても3位タイと、かなり優秀。特に逃げて記録したタイムだけに、さらに価値が高い。
これは今後かなり期待できる。重賞で活躍する馬になるだろう。また今回の2着馬クイーンズウォークの上がり3Fタイム33秒6はこの週の京都芝では1位タイ。こちらもかなりの素質を秘めているはず。同馬は半兄に現在活躍中の朝日杯FS勝ち馬グレナディアガーズがいる良血馬。クイーンズウォークも当然、重賞で大活躍する馬となるだろう。
11月12日(日)京都1R 優勝馬 ラヴオントップ(ダート)指数-17 評価A
デビューから3戦は函館芝1200mを使われ4、2、2着。そこから約4ヵ月の休養をとって、初ダートとなった。今回は相手がやや弱く、ダートで好指数を記録したことがないメンバーばかり。ただ、そうは言っても鞍上C.ルメール騎手で単勝オッズ1.7倍は明確に騎手人気で、大敗の可能性もあると見ていた。
レースは1番枠からやや出遅れて、少しテンに置かれたが、気合いをつけられると加速し、ハナに立つスピードを見せた。走ってみるといかにもダートが合いそうなフットワーク。これはダート馬だ。
4角手前では後続馬の鞍上の手がバタバタしている中で、本馬は抑えたまま。直線は完全に独走で大差勝ちとなった。記録した指数は古馬2勝クラス勝ち相当のもの。初ダート、休養明けの悪条件を覆しての圧勝劇。今後のダート短距離での大活躍が期待できる。
11月12日(日)福島2R 優勝馬 マイネルレグルス 指数-6 評価A
半姉にオークス馬ユーバーレーベン、他きょうだいに活躍馬が多い良血ということもあってか、10月東京の新馬戦では1番人気で6着。次走の未勝利戦でも3番人気で5着と、ここまでは人気を裏切る競馬が続いていた。
そしてデビュー3戦目の今回も1番人気。14番枠から出遅れて後方からの追走。縦長の展開で1角を回った時点では前から離された。しかし、福島特有の実質緩みない流れのなか、徐々にポジションを上げ、4角では好位直後の外と前を射程圏に入れた。そこから最後までバテることなく、2着馬に3馬身半差をつけて勝利した。
緩みない流れで潜在的なスタミナが生きた勝利だった。指数も未勝利クラスとしてはなかなか良い。きょうだい同様にスタミナが生きる舞台で活躍することになるだろう。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)オスカーブレーヴの指数「-5」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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